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Mar 17, 2007
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カテゴリ:小説 上杉景勝
  この神指原城とは、景勝が会津に入封した時、兼続と将来を見越して築城を

急いでいる巨城であった。若松城の西北に位置する神指原に築いていた。

  兼続が縄張りをした城で本城は東西約百八十メートル、本丸は南北約三百

メートルの規模で、それを五百メートルの二ノ丸が取り囲む回廊式の近代城塞

であった。人夫だけでも十二万名を徴発しての大工事が、今も懸命に行われて

いた。


  閏三月四日、伏見の石田屋敷は慌しい雰囲気におおわれていた。

  加藤清正を頭とした武断派の荒大名どもが、石田屋敷を襲撃すると軍勢を

整いていたのだ。それが洩れた。疎漏(そろう)もはなはだしい出来事である。

  石田家の誇る三家老の島左近、蒲生郷舎、舞兵庫らが手をこまねいている。

「面白い、奴等と一戦いたすか」

  この三名は、合戦の名手として天下に聞こえた名士であった。

「清正や正則なんぞ錆槍の餌食にしてやるわ」

  蒲生郷舎と舞兵庫が嬉しそうに破顔している、彼等も合戦に飢えていた。

「左近、伏見城下で豊臣家の家臣が争っては、天下に聞こえが悪い。わしは

逃げる」  三成が平然と島左近に語りかけた。

「どこに行かれます」  島左近の問いに三成が、童顔をほころばしている。

「窮鳥ふところに入れば、漁師も殺さぬと申す。わしは内府の屋敷に隠れる」

「なんとー」  三家老が唖然として言葉を失っている。

「供はいらぬ、わし一人で参る」 流石の島左近も主人の蛮勇に仰天した。

  七将をけしかけているのは、ほかならぬ家康である。

「七将どもが参ったら、わしは逃げたと申せ。だが屋敷内に踏み込む気配なれば

存分に相手をいたせ」  島左近は三成の胸中を素早く看破した。

「畏まりました」  「わしは、これから家康に会いに参る」

  三成の小柄な躯が、すっと闇に溶け込んで行った。

「驚いた、お方じゃ」  三家老が毒気にあてられ改めて主人を見直した。

  三成が向島の徳川屋敷を訪れていた、家康の謀臣の本多正信が玄関に出

迎えている。  「治部少輔の三成じゃ、佐州であるな」

  と、三成は官名で正信をよんた。  「本多正信にございます」

「わしは困っておる。荒大名の七将に追われ、ご当家を頼って参った」

「加藤主計頭(かずえのかみ)殿にございますか?」  「そうじゃ」

「お匿い申しあげましょう」  正信が陰鬱な声で応じた。

「存外と奴等をあおっておるのは、佐州、そちではないのか」  

  三成の言葉に毒がある。

「滅相な、お寛ぎいただく部屋にご案内いたします」  枯れ木のような痩身の

正信が三成を先導した。

  このままこの小男の命を絶つか。正信の胸に強い欲望が奔りぬけた。

  三成は慣れた様子で足を運び、 「わしを殺すか」 声に艶がある。

「お揶揄いなされますな、かりにも内大臣のお屋敷内ですぞ」

「腹が減った、湯漬が所望じゃ」  「畏まりました」

  部屋に通され、三成は庭に面した障子戸をからりとあけた。何度となくみた

光景である、秀吉存命のおりは別荘として使っていた屋敷である。

  三成は行儀よく饗された湯漬をかきこんでいる。さて家康、どうでる。今の

境遇を楽しんでいるように呟いた。

  その頃、奥の部屋で家康は思案にふけっていた。傍らに本多正信がひっそり

と座し黙している。  「三成は、おとなしくしておるか?」  「いかがなされます」

「あの荒武者どもの説得が面倒じゃな」  「このまま生かしておきますのか」

「殺せば、わしの苦労が水の泡じゃ。奴が楯突けば楯突くほど、わしのもとに

天下が転がり込んでくる」  家康が低く笑い声をあげた。

「申し上げます。七将の方々が石田殿を渡せと息巻いてお見えにございます」

「先のよめぬ者共じゃ、書院にでも通しておけえ」

  家康が不機嫌な声を発した。  「拙者が応対いたしましょうか」

「正信、そちでは荷が重い」  家康が肥満した躯をもとあげ書院にむかった。
 
  家康の姿をみるや清正が吠えた。

「内府殿、治部少輔を匿われておるとお聞きいたした」   

「それがいかがなされた」  肥満した家康の顔が厳しく変貌している。

「我等にお引き渡し願いたい」  「それはならぬ」

「あれほど内府殿に逆らった男にござるぞ、我等が奴のそっ首を刎ねてやりま

す」  清正が身を乗り出し叫んだ。

小説上杉景勝(65)





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Last updated  Mar 17, 2007 09:26:33 AM
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