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Sep 9, 2011
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カテゴリ:伊庭求馬活殺剣
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     「影の刺客」(9)

鋼と鋼が火花を散らし、村正が相手の大刀ともども頭蓋を空竹割り

とした。小川町広小路の闇に鮮烈な血潮の臭いが漂った。

「いかに」

 くるりと躰を反転させた求馬が冴えた声を浴びせた。

 残った二人の頭領と覚しき男が地ずり正眼に構えを変化させていた。

「お主の名を聞いておこうか」

 余裕のある声である。

「埒もない、貴様には何の遺恨もないが、襲われたら斬る」

 求馬が乾いた双眸になんの陰りも見せずに答えた。

 じりっと相手が後退した。

「二人の配下を討たれても、逃げるか」

「いずれ機会もあろう。その時に存分の勝負をいたしてやろう」

「臆したか?」

 求馬が揶揄いの言葉を浴びせた。

「重ねて問う、お主の名を聞いておこう」

「答える謂れは持ち合わせてはおらぬ」

 求馬の返答と同時に足元に爆発音が響き閃光が奔った。

 瞬間、求馬は敵の動きをさっし眼を閉じた。再び眼を開いた時、

路上には曲者の姿が忽然と消え失せていた。

「何事か?」

 突然の爆発音に驚き、付近の屋敷から警護の武士が集まってきた。

「見ての通り、賊に襲われましてござる」

「二名はご貴殿が斃されたか?」

 集まった警護の士が着流し姿の求馬に、提灯をかざし訊ねた。

「残念ながら、頭領と覚しき曲者は逃し申した」

「そこもとは?」

「それがしは一介の浪人にござる。ご不審なれば大目付殿の嘉納主水

殿に、伊庭求馬が討ち果たしたとお伝えあれ」

 求馬は踵(きびす)をまわし、もと来た道を引き返していった。

「伊庭求馬か、大目付の知り合いとは丁度よい」

 闇を利し大木の翳に潜んでいた曲者が、痩身の求馬を見つめ不気味な

嗤いを浮かべていた。


 その夜の深更、老中松平信明(のぶあき)の屋敷が、得体の知れない曲者

に襲われた。襲った曲者は十名ほどであったが、警護の士の働きで大事に

は至らなかった。

 さらに書院番組頭の内藤右京が、何者かに暗殺される事件が勃発した。

 内藤右京は役高千石で布衣(ほい)を許された幕臣で、上役の大番組頭

は若年寄支配で役高四千石、従五位下諸大夫の要職にあった。

 火付盗賊改方は非常呼集をうけ、天野監物、若山豊後等は組頭の山部

美濃守の組屋敷に集合した。

「二人ともご苦労じゃ」

 大篝火の焚かれた屋敷で頭の河野権一郎が、厳しい顔で駈けつけた二人

に声をかけた。

「お頭、大事件でも起こりましたか?」

「組頭さまから説明があろう。暫し待て」

 時刻は暁七つ(午前四時)を少しまわっている。夜空も周囲もまだ薄暗い

闇につつまれている。

 山部美濃守が高い鼻梁をみせ姿を現した。千五百石の役高で切れ者と

して知られていた。

「皆の者、大儀である。今宵、二件の大事件が勃発した」

 山部美濃守が言葉を切り、一同を見廻し驚くべきことを述べた。

「一件は老中松平信明さまの屋敷を、何者とも知れない刺客の一団が

襲ったことじゃ。幸いにも老中さまはお怪我もなく健やかにおられる。

しかし、上様お膝下の西の丸に十名もの曲者が忍び込んだことは幕府へ

の挑戦じゃ。断じて許せぬ暴挙じゃ」

「組頭さま、曲者はいかがいたしました」

「河野、奴等は六名の警護の士を斬り捨て逃げうせた」

「容易ならぬ曲者にございますな」

「たかだか十名の曲者にだ。だが老中を襲うなんぞ言語道断、我等、

火付盗賊改方としては見逃せぬ事件じゃ」

「もう一件とは何事にございます?」

 河野権一郎が篝火の火の粉を浴びながら訊ねた。


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Last updated  Sep 9, 2011 02:29:40 PM
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