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龍5777

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Sep 10, 2011
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カテゴリ:伊庭求馬活殺剣
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     「影の刺客」(10)

「書院番組頭の内藤右京殿が、やはり正体不明の刺客に襲われ暗殺

されたのじゃ。この二件は繋がりあるとよめる、我等は組を半分に分け

る。老中屋敷はわしと河野権一郎が出向く、五つ半(午前九時)には

西の丸に入る。皆の者、支度をぬかりなくやれ」

「組頭さま拙者はどちらの組にございます」

「天野監物、そちは若山豊後と手勢十五名を率い内藤家の探索じゃ。

町奉行所からも出張っておろうが、この事件は我等の任務じゃ」

「畏まりました、内藤家は神田駿河台でございましたな?」

「そうじゃ、ぬかるなよ」

 代わって河野権一郎が答えた。

「豊後、我等は用意の整いしだい出動する。町木戸も開かれる頃じゃ、

一気に駈けるぞ」

 江戸の町が白々と明け染めた刻限に、天野監物率いる一隊が組屋敷

をあとにした。坂下御門から北にむかい竹橋御門と一橋御門をぬけると

内濠と外濠に囲まれた武家屋敷町に入る。内藤家に着くと既に月番の

南町奉行所の同心が出張っていたが、彼等の管轄は町人に限られていた。

「ご苦労に存じます」

 町奉行所の同心が天野監物に挨拶をした。

「ご苦労にござった。ここからは我等が勤めお任せ願いたい」

 天野監物が丁重に労った、こうした関係を保持せぬと探索が巧くゆか

ない。彼等は火付盗賊改方に現場を譲り引き上げていった。

 天野監物が開け放たれた大扉から屋敷に踏み込んだ。

「ご苦労に存ずる。拙者は内藤家の用人本多平左衛門にござる」

 五十年配のただ齢を経ただけの武士が丁重な挨拶で出迎えた。

「ご無念なことでありましょうな、拙者は火付盗賊改方の天野監物に

ございます。取りあえず現場を拝見つかまつりたい」

「ご案内いたす」

 本多平左衛門が先にたって現場に先導した。

「曲者の侵入を知った刻限は分かりますか?」

「丁度、丑の刻(深夜二時)頃かと思いますな」

「物音でもいたしましたか?」

「いや、主人の叫び声で目覚め申した。その時には既に主人は殺され、

奴等が逃げ去るところでござった」

「貴方さまは曲者と刃を交わされましたか?」

「無念ながら、一太刀も浴びせる暇がござらなんだ」

 その時だけ本多平左衛門が無念そうに顔を歪めた。

 長廊下を伝え奥座敷に通された。ここが寝所のようだ。壁や襖に

血糊の痕が付着し、犯行のなまなましさが想像できる。

 既に死体は片づけられていた。

 天野監物と若山豊後が座敷をつぶさに調査したが無駄であった。

 証拠らしい物は一切なにも見つからなかった。

「手慣れた連中の仕業てすね」

 若山豊後が吐き捨てるように言った。

「本多殿、奴等の面体はいかがにございました」

「黒覆面に黒装束で面体と言われてもな」

 本多平左衛門が顔を曇らせた。

「些細なことでも構いません、思いだしては頂けませんか」

「そう申せば、奴等の一人が変なことを口走りましたな」

 本多平左衛門が乱闘を思い浮かべ確信する顔つきをした。

「我等が駈けつけた時にござった、最後尾の男にむかって土塀の男

が変な言葉を発しました。こういん、早くせえと怒鳴っておりましたな」

「こういん、ですか?」

「間違いはござらん。何かの符丁ですかな」

「見当もつきませんな、早朝からお手数をおかけいたしました」

 天野監物が潮時とさとって引き上げを命じた。

 組屋敷に帰り着くと組頭の山部美濃守の一行に戻っていた。いずれも

疲労と落胆の色を顔に色濃く残している。

「どうであった?」

 河野権一郎が二人に訊ねた。

「なにも出ませんでした、そちらはどうでした」

「我等も一緒じゃ、ただ斃された警護の士の傷跡を見たが、いずれも凄い

斬り口じゃ。それ以外は皆目分からぬ」

「曲者は黒覆面に黒装束でしたか?」

「天野、内藤家の曲者もそのような衣装であったか」

 河野権一郎と天野、若山の三人が草叢に腰を落とした。落胆と疲労で

関節が痛んでいる。

明日はお休みいたします。


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Last updated  Sep 10, 2011 10:48:31 AM
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