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龍5777

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Sep 12, 2011
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カテゴリ:伊庭求馬活殺剣
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     「影の刺客」(11)

「皆共、集まれご苦労じゃった。徒労となったが落胆するな、あの斬り口

の凄まじさは尋常一様ではない。一休みいたしたら探索に乗りだせ。必ず

二人一組で探索いたせ、不審な者を発見しても手をだすな。跡を追って棲

家を見つけだすのじゃ」

 流石は切れ者といわれた男である。憤りを隠し山部美濃守は注意を与え

屋敷に下がった。

「お頭、我等二人でも叶いませんかね?」

「豊後に天野、お主等が浅利又七郎道場で免許を許された腕は承知じゃ。

だが奴等に遭ったら勝負は避けな」

「二人でも荷が重いと言われますか?」

 天野監物が不精髭をさすり憮然とした顔付をした。

「そうじゃ、あの手口を思い出すと鳥肌がたつわ」

 河野権一郎が二人の肩を軽く叩いて遠ざかっていった。

「悔しいですね」

 若山豊後が無念そうにつぶやいた。

「仕方があるめえ、自分の未熟を悟るんだな」

 天野監物が草を払って腰をあげた。

「天野さん、ご老中の松平信明さまと内藤右京さまとは、どこかに接点は

ありませんかね」

「ご老中は譜代の大名だ、かたや内藤家は書院番の旗本だぜ。接点なん

ぞある訳がねえが、眼をつけたら探索にあたるもんだぜ」

 吐き捨てるように言葉をなげた、天野監物が行きかけた足を止めた。

「どうかしましたか?」

「畜生め、おいらとしたことがぬかったぜ」

 天野監物の顔が険しくなっている。

「豊後、おめえは九月九日に何があったか覚えているかえ」

「忘れる訳はありませんよ、大風のあった日ですよ」

 若山豊後が答え顔を引き締めた。天野監物の様子がただ事ではない、

こうした態度とる時の天野監物は、何かを感づいた時の癖であった。

「あの日は我等は西の丸から駿河台一帯を巡視していた。その時、嘉納

さまの行列が曲者に襲われておられた」

「嘉納さまが?・・それは初耳ですよ」

 豊後の言葉を無視し、天野監物が話を続けた。

「我等に気づき曲者は逃げ去ったが、あの曲者も黒覆面、黒装束であっ

た。嘉納さまの手で五名の曲者が斃されていた、我等は死骸を番屋に運び

証拠を確かめた」

「何も発見でなかった。そうでしょう」

「おめえの言う通りだが、死骸の二の腕に奇妙な刺青があった」

 若山豊後の若々しい頬が紅潮している。

「どんな彫り物です?」

「甲午、甲子、庚申、癸未、癸酉、一人一人にこの文字が彫られていた」

「まるで干支ですね」

「そうだ、この一件は嘉納さまに報告してある」

「天野さん、昨夜の事件が同じ曲者としたら、襲われた方は三人ということ

になりますね」

「ご老中さまに大目付さま、それに書院番。なんの繋がりがある」

 天野監物が足元の小石をけりあげた。

「豊後、内藤家の用人が覚えていた、こういん言う言葉じやがな干支

では甲寅をこういんんともきのえとらとも言うの」

「そうですね、天野さん、嘉納さまを襲った曲者も昨夜の曲者も同じ一団

に間違いありませんよ」

「よし曲者は繋がったな、あとは何が目的かだな」

「嘉納さまのお下知はどうでした?」

「暫くは他言無用と仰せられた」

「そうですか」

 既に江戸の町は昼を迎え、青々とした秋空が広がっている。紅葉で

彩られた千代田のお城が聳えたっている。

 突然、組屋敷の表門が騒がしくなった。

「なにか起こったようだぜ」

「天野監物は居るか?」

 お頭の河野権一郎の声が聞こえた。

「行くぜ」

 天野監物と若山豊後が表門に駈けつけた。

 表門の脇に筵をかむった死骸が二つ並び、傍らに四十年配の十手持ち

が待ち受けていた。

「何事じゃ」

「へい、神田明神下の同胞町で十手を与かります繁三と申しやす」


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Last updated  Sep 12, 2011 11:15:57 AM
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