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Sep 20, 2011
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カテゴリ:伊庭求馬活殺剣
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     「影の刺客」(17)

「江戸っ子は薩摩芋が好物でスッポン、鰻とならんで最も好まれた

食材であった。江戸から四里離れた川越が産地として知られ、そこで、

「栗(九里)より(四里)美味い十三里」と、栗をこえた美味さであると誉め

讃えている。

 番屋にもどるなり、河野権一郎が二人の傍らに寄ってきた。

「天野、晒し首の件を組頭に報告せぬとは越権行為じゃぞ」

 と声を荒げて責めた。

「お頭、岡崎以来の名門で大番頭の当主が、側女と同衾中に暗殺され、

首が晒されていたことが知れたら、岡部家はどうなります」

 天野監物の言葉に河野権一郎も驚いた。

「なんと側女と同衾中での暗殺事件か?」

「野暮は言いこなしです。お偉さんでも色の道は一緒にござるな」

 天野監物が堅物のお頭を揶揄った。

「調子にのるでないぞ、この件は内密にするが洩れることはないか?」

「岡部家からは洩れませんが、兵庫の手勢には注意が必要でしよぅな」

「分かった、わしから話はつけておく」

 若山豊後が寒さに躰を震わしている。

「立ち話はないでしよう、寒くてたまりませんよ」

「二人とも詰所に入れ」

「豊後、その前に山本兵庫を呼んできてくんな」

 天野監物が豊後に命じ、詰所の火鉢の前に腰を据えた。

 お頭の河野権一郎みずから茶を淹れてくれた。

 間もなく若山豊後と山本兵庫が姿をみせ事件の話となった。

 山本兵庫が浅草御門での晒し首の一件を報告し、天野監物が

岡部家の被害と手口の様子を告げた。

「例の刺青の曲者の仕業かの」

「手口からみて間違いありません」

 若山豊後が断言した。

「お頭、我等は探索と巡視の方法を変えねばなりませんな」

 天野監物が茶を啜り、探索の方針を変更するように迫った。

「天野、おまえ達の話で読めた。奴等は外濠を船で移動しておる、そうで

なければ、首を浅草御門に晒すことは不可能じゃ」

 流石は老練な火盗改方の与力である、直ぐに捜査の弱点を指摘した。

「厄介な事件です、隠れ家が何処にあるのかさっぱり分かりませんし、

大川を利用すれば、思いのままに犯行が出来ますからな」

 天野監物が不精髭をさすって呟いた。

「天野、組頭よりお聞きしたが、この事件は大目付の嘉納さまに一任され

たそうじゃ」

「それは本当にござるか?」

「真も真、老中首座松平定信さまが決定なされたと聞いた」

「我等は嘉納さまの指揮下に入りますのか?」

「いや、我等は若年寄支配じゃ。じゃがことによれば協力もあり得る」

「豊後、また嘉納さまと仕事ができるぞ」

「心強いことですね」

 二人の火付盗賊改方が嬉々としている。

「天野、暇をみつけ若山豊後と嘉納さまにお会いして参れ」

 河野権一郎が粋な計らいをしてくれた。

「畏まりました」

    (三章)

 大目付の嘉納主水の屋敷に求馬の痩身が現れた。何度となく訪れた

屋敷である、周囲は落葉した葉が風に舞い上がっている。

 求馬は迷うことなく脇門に近づいた。それを目ざとく見つけた門番が

奥に駈けこんで行った。すぐに慌ただしく用人の根岸一馬が現れた。

「伊庭さま、急用にございますか?」

「居られますかな?少しお訊ねしたきことがありましてな」

 求馬が醒めた相貌をみせ用向きを告げた。

「本日は非番にございます、暇を持て余す主人には難儀をしております」

 苦笑いの根岸一馬の案内で、求馬は慣れた態度で廊下を伝った。

 書院には嘉納主水が退屈そうな所作で茶を喫していた。

「御前、伊庭さまがお越しにございます」

 根岸の声で主水が視線を廻した、相変わらず濃い髭跡をみせている。

「伊庭殿、お久しい」

「御貴殿も息災で何よりです」

「ささっ、上がられよ」

 促され求馬は主水の前の座布団に腰を据えた。

「根岸、茶を勧めよ、そのあとは酒肴の用意をいたせ」

 大目付で三千五百石の旗本が、まるで子供のようにはゃいでいる。

「伊庭殿、本日はいかが成された?」

「ご城下がいささか騒がしゅうございますな」

「伊庭殿、貴殿はこの事件に係りをもたれたようにござるな」

 主水が脇息に身をもたせ、巨眼を光らした。

「左様、既にお耳に届いておると思いますが、過日、小川町で胡乱な

曲者に襲われ二名を斬って捨てました」

「その件は聞き及んでおりますが、伊庭殿、最初は拙者が襲われました」

「なんと嘉納殿が襲われたと申されるか?」

 求馬の白面の相貌が引き締まった。

「あれは重陽の節句の夜にござった」

 主水が襲われた経緯を仔細に告げた。


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Last updated  Sep 20, 2011 12:04:37 PM
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