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Sep 28, 2011
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カテゴリ:伊庭求馬活殺剣
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     「影の刺客」(24)

「組頭、伊庭さんは老中首座さまともご縁がある方にございます」

 天野監物が自慢げに、伊庭求馬の身分を明かした。

「そうか、頼もしき味方じゃな」

 そんな会話を交わしていると門前が騒がしくなり、駕籠をともなって

若山豊後が帰り着いた。

「豊後、どうであった?」

「伊庭さまの申されたとおり、一人は死体で転がっておりました。祠から

は厳重に縛られた曲者を見つけましたよ」

「豊後、刺青はどうじゃ」

「新手と思われますな、死体は辛巳で捕えられておった男は辛丑です。

伊庭さまはいかが成されました」

「吟味の時は猿轡を解いてはならぬと注意され戻られた」

「早速、尋問しますか?」

「慌てるな、とりあえず牢にぶち込んでおけ。念のために猿轡と縄目を

確かめな」

「分かりました」

 若山豊後が縄目を確かめ、驚きの声をあげた。

「どうした豊後」

「この曲者は縛られたのちに両脛を砕かれたようです」

「そう言われて帰られた」

 二人は改めて伊庭求馬の凄さを知らされた。公儀隠密の生き残りで、

第一の遣い手と言われた求馬の、過去を彷彿させる出来事を見たのだ。

「尋問は死んでもよいから、情け容赦もなくやるように申された」

「天野さん、貴方は出来ますか?」

「今までの事件を考えてみろ、遣らずばなるめえ」

「どうせ逃げても、此奴は味方の手で殺されますね」

 若山豊後が薄寒そうな顔つきをしている。

「豊後、気合をいれて吟味するぞ」

 天野監物が不精髭の顔を引き締めている。

 こうして火付盗賊改方の牢屋で、眼をそむけるような拷問が始まった。

 辛丑は肋骨を折られ、両脛を砕かれた重体の身で油汗を流し拷問に耐

えている。時には何度も失神したが、火付盗賊改方は拷問の手を緩める

ことはなかった。

「こんなにしぶとい奴は初めてじゃ、これ以上痛めつけると本当に死ぬな」

 天野監物が全身の汗を拭いながら呟いた。

「わたしは、この手は苦手です」

 真っ先に若山豊後が音をあげた。

「馬鹿め、誰が好き好んでこんな拷問をするものか」

 天野監物も好むところではないが、何としても口を割らせる必要があった。

 翌朝、一人の町人が組屋敷を訪れてきた。

「その方は何者じゃ、町人が来るところではない」

 門番が居丈高に町人を見据えて大声をあげている。

「あっしは猪の吉と申しやす、伊庭求馬さまの言付けを持って参りやした。

天野監物さまか若山豊後さまに、お取次ぎをお願い申しやす」

「なに、伊庭さまの使いの者か、そこで待て」

 門番が慌てて奥に駈けこんだ。

 猪の吉は物珍しそうに坂下門を見上げている。今日もいなせな恰好を

して、手に風呂敷包みを下げている。

「珍しい、猪のさんではありませんか」

 若山豊後が額に汗を浮かべて現れた。

「お久しぶりにございやす。その有様ではてこずっておられやすね」

「これ以上責めると命が危うい」

 豊後が顔を曇らせた。

「伊庭の旦那もそれを心配し、手助けしろと言われ伺った訳にございやす」

「それは助かる」

 若山豊後の顔に安堵の色が浮かび、猪の吉を牢屋に案内した。

 一歩、踏み込んだ猪の吉の顔が引き締まった。

「おう、猪のさんか」

「天野の旦那、だいぶ痛めつけたようですね」

 辛丑は猿轡をはめられ、板敷の上で蒼白な顔をみせて横たわっていた。

半裸体の胸が苦しげに大きく上下し、猪の吉の眼には助からぬと映った。

「猪のさん、お手上げじゃ」

 天野監物が辛丑の横にある長椅子に腰をおろした。

「実は旦那も心配されやしてね、こうして伺った次第です」

「猪のさん、あんたも拷問するのかえ」

「御冗談を、助からぬ命なら白状させ極楽往生させよとの、旦那のお指図

にございやすよ」

「極楽往生?」

 天野監物が不思議そうな顔をした。

 猪の吉が風呂敷包みを解いて、なかの物を長椅子の上に並べた。

「その煙管のような物はなんじゃ」


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Last updated  Sep 28, 2011 11:25:08 AM
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