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Nov 2, 2012
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カテゴリ:改訂  上杉景勝
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       「改訂  上杉景勝」  (101)


「石田殿に、お伝え願いたい儀がござる」

 山城守が言葉を改め、左近の眸を覗き見た。

「家康という男は野戦の名人。いたずらに周囲の者に煽られ決戦を

急がれないよう、この山城が申しておったとお伝い願います」

「心得申した」

 そう答えつつ左近は内心面白くない、わしも天下に聞こえた男じゃ。

 その自負もあった。すかさず山城守が左近の胸中を察した。

「そこもとが付いておれば大事はないと思いますが、三成殿、いささか

逸るところがござる。こたび合戦は長引くほど、豊臣家と西軍に有利となり

ます。家康幕下の諸大名共は、いずれも太閤殿下の恩顧の者。大阪城に

おわす、秀頼公の存在をお忘れあるな」

 山城守の言葉に左近は胸をえぐられた思いがした。主の三成は自説を

曲げず、他人を不愉快にさせることが往々としてあった。

 また思い込みが激しく左近も、その対応に苦慮することが多かった。

「拙者ともあろう者が大切なことを忘れておりました」

 左近が寂びた声でカラリと応じた。

 福島正則などは、我が主を嫌う理由のみで家康に肩入れをしているが、

彼や加藤清正など、秀吉子飼の将は強烈なほで故殿下と秀頼を慕って

いる。この事実を山城守は指摘したのだ。

「いずれ中央の地でお逢いいたすでしょうが、我が上杉家はすでに臨戦

体制となっております」

「・・・・-」

 山城守の言葉に左近は首を傾けた。

「さる三月十三日は先代謙信公の二十三回忌にあたりました。その追善

法要を盛大につかまりました。その法要には領内諸城の将をこの城に

集め、義戦を起こすことを打ち明け戦略も説明してあります。

 何時でも合戦の出来る体制は整っておると石田殿にお伝い下され」

「ご念のいったお言葉、その旨しっかりと主にお伝いいたします」

 あとは二人のみの酒宴となり、心行くまで酒を楽しみ談論風発した。

「山城守さま、今宵は久しく戦略を論じました。この左近にとり二度と

ない楽しい晩にございました。そこで最後にお聞きいたします」

「改まって何事にござる」

「合戦とは理でもっても勝てぬ場合がございます。それは運気と言うもの

と思います。もし万一、こたびの合戦に敗北いたしたら如何成されます」

 百戦錬磨の島左近が、赤子のような眸で山城守を凝視している。

「他家は知らず、我が上杉家は主景勝以下、家臣一同揃って討死つかま

つる。これが上杉家の家法にござる」

 山城守の白皙の面が乾いて見えた。

「これが山城守さまの義にございますか?」

「左様、武士たる者は爽やかに身を処すべきと考えております」

 左近は数日滞在し、佐和山城に戻り会津での出来事を報告した。

「ことが敗れれば、上杉家は全滅を覚悟すると申されたか」

 三成はそこに、山城守の強烈な美意識を感じとっていた。

「左近、こたびの合戦は上杉家の為にも負けられぬ一戦となったの」

「御意に」  島左近が片膝つきで応じた。

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Last updated  Nov 2, 2012 11:23:33 AM
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