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2004/08/24
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今日は朝から曇り。
午前中は涼しかったのが、午後は湿度の高い、
蒸し暑い天気になってきました東京です。
天気予報によると、明日からはカラッとした暑さになるそうなので、
明日に希望を託して、扇風機のお世話になっています。


☆注意。今日の話はものすごく長いです。
なので、最後にこぼれ話として、
(個人的に)とてもコワい話を載せてみました。


今日のお題は「ファーデン水晶」でいきたいと思います。
ファーデン水晶は、板状の水晶のほぼ中心に、
糸状の白い筋が入っている水晶のことで、
「ファーデン」はドイツ語で「糸」を意味するそうです。
英語に直せば「ファイバー」ですね。
日本語で「糸水晶」とか「繊維水晶」なんて名前を付けられなくて
よかったかも……。

特徴は、結晶の中に筋が通っているといっても、
水晶をポイント(とがった方)を上にして立てた場合の
縦軸方向(C軸方向といいます)に入るのではなくて、
この「筋」にの両側に板状(タビー)のポイントがくる、
つまり両錐(DT)のタビー水晶のちょうどおなかのあたりに筋が通っていることです。

つまり、ファーデン水晶は、そのほとんどが両錐(DT)です。
中には、筋を中心に板状の結晶がいろんな方向に成長しているものもあります。
(中には普通の結晶の真ん中に白い部分があるものをファーデン水晶と言っていたりするので注意)

まずは写真を見ていただきましょう。



まずは写真を見ていただきましょう。ファーデン水晶の一大産地、パキスタン産です。
この石は、全体的にみると鳥の羽根みたいな形をしていてとてもキレイです。
よく見ていただくとわかるように、真ん中の筋を中心に写真の上下方向が結晶の先端になっています。


次にブラジル産です。
板状の結晶がL字型にくっついたもので、
わかりにくいのですが、Lの角に当たる部分に白い筋が入っています。
「筋を中心に板状の結晶がくっついた」ものは、これにあたります。(もっと複雑な形のもあります)


紛らわしいのがこちらです。これはファーデン水晶ではありません
これはヒマラヤ水晶(インド産)のシングルポイント(片方にだけとがっている結晶)なのですが、途中が一度折れかけたのか、その部分だけ白くなっているのです。
とあるWEBショップで、こういうのをファーデン水晶として紹介しているのを見てびっくりしてしまいました

さて、このファーデン水晶、どのようにできたのかが
謎につつまれている石でもあります。

ものの本や鉱物系のサイトを見ると、
いくつか説があります。

簡単にまとめてみますと……

(1)すでに結晶していた板状の水晶に地殻変動などで割れ目ができ、
   その後、珪酸分に富んだ熱水がやって来て、割れ目をふさぐように結晶して白い筋ができた。

(2)岩と岩の間に、はじめに筋の部分が育ち、そこから水晶の結晶が徐々に育った。

(3)水晶を形成する晶洞(すきま)を満たした熱水に、何らかの衝撃で気泡や水泡が発生し、
それが刺激となって複数の結晶がいっせいに成長した。

(1)は筋があとからできた説
(2)は筋が先説
(3)は同時説
……というところでしょうか。

結論から言いましょう。

私のいちおしは(3)です。

なぜだと思いますか?

まず(1)です。
地殻変動で水晶が割れたといいますが……。変です。
なぜ、板状の水晶ばかりが、同じように割れたのでしょう?
板状だから割れやすいとも言えますが、
ことごとく同じように真ん中で、割れるものでしょうか。
写真の羽根のようなファーデンなど、筋の通りに割れるより、
別の方向に割れた方が自然でしょう。
それに、割れたものが全部くっつくというのも変です。
割れたままのもあっていいはずです。

ファーデン水晶は珍しい水晶の部類に入りますが、
ほとんど見ることができないというほど珍しいものではないと思います。
つごう良く水晶が割れてつごう良くくっつく……そんな奇跡のような水晶が
珍しいとはいえ、それなりの数が出回っているというのはあり得ないのではないでしょうか……。

(1)にはもうひとつ腑に落ちないところがあるのですが、
それは(2)と一緒に説明します。

それでは(2)です。
(2)は、(3)と似ているようですが、「岩の間で」というところと、
なぜ筋の部分だけが成長したのかが説明できない所が違います。

ここで、簡単に水晶の成長のしかたをおさらいします。
水晶が成長する状況には何種類かあるようですが、
ここれはもっともスタンダードと思われるものをまとめてみます。

ただ……先に言い訳してしまいますが、
調べてみたのですが、水晶の成長方法というのは、
案外資料が少ないのです。資料があったかと思うと
専門用語だらけで難しい……。
それを無理矢理理解して(理解したつもり)、まとめたので、
間違いがあるかもしれません。


水晶は地下のマグマの中にできた空洞や熱水脈の中で成長します。
たとえば、マグマは固まりやすい成分が徐々に固まり、
最後に固まりにくい成分が凝縮されると、
二酸化炭素や水がマグマの中に溶け込んでいられなくなって
気泡(水泡)となって空洞を作ります。
そんな中に二酸化珪素(SiO2)を豊富に含む熱水が入りこみ、
壁面に小さな水晶の結晶ができて、空洞は密閉されます。
しだいに圧力と温度が下がっていく中で、
壁面の小さな結晶を種に徐々に大きな結晶が育っていく
……と、このような感じらしいのです。
(必ずしもマグマの中の空洞とは限りません)

覚えておいていただきたいのは「空洞」と「熱水」です。
アメシストの「カペラ」を思い出していただくとよくわかるのではないでしょうか。
カマクラみたいな岩の固まりの内部に、
紫水晶の結晶がびっしりくっついているアレです。

そうです。水晶は空洞を満たした熱水の中で育つのです。

そんな場所の水晶が地殻変動によって割れるでしょうか?
水晶が割れるほどの衝撃が加わったら、
この空洞も壊れてしまうでしょう。
そうしたら、割れた水晶は修復されません。

水晶の成長課程を考えると、
(2)の「岩と岩の間で」というのも変です。
これを「岩の中の空洞で」という意味だとしても、同じ環境ならば、普通の水晶に結晶するはずなので、
なぜ、筋の部分が結晶するのか考えなくてはなりません。

それが説明できそうなのが(3)です。
水晶が結晶する条件がととのった空洞に、細かい亀裂が入り、
あるいは元々あった隙間から、
新たな熱水が入り込んできたとしたらどうでしょうか。

そう……ぷしゅーっっと勢いよく。

ちょっと話は変わりますが、人工雨というのがあります。
雲も中に弾丸を撃ち込んでショックを与えたり、
ヨウ化銀を散布すると、雲の中の水蒸気が集まって雨になるというのです。

私が想像するファーデン水晶の成長過程はこれに似ています。

この↓写真をご覧下さい。



パキスタン産のファーデン水晶のクラスターです。
この石を見るまでは、ファーデン水晶というと、
単結晶しか見たことがなかったので、
ファーデン水晶がクラスターで産出されるなんて思っても見ませんでした。

そして、このクラスターを見たときから、割れた水晶が修復されたという
ファーデン水晶誕生の説明がおかしいと思い始めたのです。

写真がピンぼけで申し訳ないのですが、よくご覧下さい。
それぞれ違う方向を向いているこれだけの水晶が、
こうもつごう良く、割れるものでしょうか?

左上の結晶は、やや厚みがあるのですが、
ファーデン水晶であると証明する筋は、
厚みの真ん中を通っているのです!

すべてのファーデン水晶が同じ課程で誕生したとは言いませんが、
少なくともこの石は……もしかしたら、
典型的ファーデン水晶であると思う、パキスタン産のものは、
空洞の割れ目から吹き出した新たな熱水の刺激によって
誕生したものだと思います。
板状の結晶となったのは,熱水液のかなり強い流れの中で
成長したためではないかという説もあるようですから、
これもファーデン水晶誕生の説明としては合理的です。

そして何より、この石を手に持っていると、
突如吹き出した熱水の細く鋭い流れが感じられるような気がするのです。
一筋ではなく幾筋も、細かな泡を伴うほどの勢いの流れが。

真実は、こうして手の中にある。

石の形そのものが、真実を語っている。

石が語る言葉を、正しく理解できているかどうかは
心許ないですが……。

※2007年11月12日、写真差し替え

☆こぼれ話

うわあああ……7000文字を越えてしまった!
前後編に分けた方が良かったかも。
長くてスミマセン!

最後まで読んで下さった方に、感謝として
あつ~い夏にもさむ~くなる、
身も凍るようなお話
いたしましょう。

石がらみのお話です。

……といっても「○○石を持ったら体の調子が悪くなった」
「事故にあった」なんてオカルトな話ではありません。

どっちかというと、今日の石の話に関係があります。










あるとき、私はあるお店でおもしろい水晶を見つけました。
ガネーシュ産のヒマラヤ水晶のペンダントヘッドに似た、
何かに切り刻まれたような柱面を持つ水晶です。

変な水晶が好きな私は、もちろん、手にとって眺めました。

お店のスタッフの方が説明して下さいました。

「その水晶は、氷に成長をじゃまされて、

そんなふうになっちゃったんですよ」


……え? 「氷?」


思い出して下さい。
水晶は熱水の中で成長するのですよ?
それが……氷に?


もう、頭がフリーズするかと

思いました!


とりあえず「水晶は熱水の中で……」と言ってみました。
するとお店の方は、
「よくご存じですねー」

こんなところで引き合いに出して大変申し訳ないと思うのですが、
氷はちょっと……。
鉱物系ショップではないにしても、悲しいです。


……という、身(頭)も凍りそうなお話でした。
お粗末☆










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Last updated  2007/11/13 09:05:24 PM
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スターブラリー@ Re:名前を使う、意味を使う(10/08) この写真に掲載されている水晶は、販売予…
spiranthes@ Re:Vサイン!(11/15) 55度24分のベローダ(Belowda)式双晶かもし…
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