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ペルーアマゾンの泥染めとシピボ族の人々

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2024.04
2012.03.04
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テレサさんは、知り合った時には確か42歳位だったが、今は55歳なのであり、髪を木の実で黒く染めているからか見た目は太ったくらいで大して代わりがないが、やはり若くはなくなっているらしい。

ここ数年はいつもどこかが悪いと言っていて、たまにリマに来て検査などもしているが、結局出費だけして結果がよくわからない。

今回は、というか、今月も前払いを望んでいて、生活するのに十分なはずなのにと思って「何に使うのか」と聞くと、リウマチらしく足が痛くて痛くて、医者で見てもらいたい、そのためにお金がかかる、という。

いつもお金が余計に必要だというときは、自分の具合が悪いか、自分の母親が病気か、そのあたりなんだけど、それにしたって希望する額が大きいので不思議に思うのだ。なにか他の理由があるんじゃないかなと考えている。正直に言ってくれればいいのに、嘘を言ってたりすることがあるので、様子をみているところ。




テレサ50×40.JPG






いずれにせよ、彼らが住むサンフランシスコ集落は、ロウソクの灯りで夜を過ごした10年前とは大きく変わってきている。最後まで自然の状態を好んだテレサさんの家まで、2年前ほどから、電気がきて、テレビがあり、ガスを使っている。金銭が余計に必要になるのも無理はないのだ。




レオニダやベロニカのように、まだお金のかかる子供たちが居ない分、テレサさんはお金がかからないはずなのだけど、実際、医療に必要以上の投資をしていることも確かで、そのことも心配だ。

基本的には森の人たちの医者はシャーマンで、たいてい薬草やまじないで治療をする。それでも治らない時に病院へ行く。最近はシャーマンの治療では治らない病気が多いのだという。


去年行った時、集落のはずれに不自然にも見えるコンクリートの大きな病院を建設中だった。地元の人が利用できるとは思えないのだけど、何故そこにそれを作ったのか私には意味が分からない。


去年、テレサさんの義姉で、女性シャーマンとして有名だった人が子宮癌で息をひきとった。

シャーマンが治療できず、病院でも治療することができず、最後に集落の静かな自宅に戻って過ごしていた。どんどん弱って苦しむ義姉のことを、テレサは心配し心を痛めていた。

医者でもあるシャーマンも、病院も、高額な薬も、ちっとも治してくれないどころか、悪くなる一方で苦しみは増すばかりだという。そんな現状に腹を立て、医者やシャーマンを責め恨んでいた。報道関係やアメリカ人の言いなりになって立て続けにアヤワスカを飲み続けたから毒がまわった、とも本気で怒って言っていた。

末期の癌だったので仕方がなかった。テレサは、癌の治療が難しい病気なのだということを知らなかった。高額な薬も痛み止めも買えるわけはなく、苦しんでも助けることはできなかった。
そばで介護する苦しみや難しさも、老後に抱える問題は都会もジャングルの集落も、何も変わらない。

アマゾンの夜、ロウソクの灯りで夕涼みするときの、ぽつりぽつりのおしゃべり。
テレサは「苦しみ弱っていく義姉が可哀想で可哀想で・・・どうしたらいいんだか・・・」と泣きそうな声をしてため息を繰り返した。元気な時に私も会って話をしたことがあったので、テレサと一緒に悲しんだ。

テレサさんに癌という病気のことを、一般知識のレベルで話し、医者も治せなくても仕方がない病気なのだと説明したけど、何も理解しようとはしなかった。

それで、最後にしてあげられるとしたら、できるだけ、そばに、いてあげること、だと思うよ、と言った。死を待つ人にいったい何ができるか、それは、とても難しいことだった。


しばらく後に、義姉は亡くなった。

彼女の家系が望んでそうしてきたということで、墓地ではなく、庭に埋葬したということだった。








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最終更新日  2012.03.05 01:34:08
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