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カテゴリ:BLマンガ
『ドントクライ、ガール』ヤマシタトモコ ヤマシタさんは不条理ものをやりたいんだろうというのは、以前読んだ作品からも感じた。だからこそサブカル系に分類されたり、少女誌や青年誌も自由に横断できるのかもしれない。でもやりたいことと絵柄が合ってないんだよね。ほんと、いつも惜しいと思う。シリアスな作品において、この人の絵の半端さは致命的で、結構重いテーマを扱っているにもかかわらず、絵がすべてを台無しにしていた。 それでもコメディはそれなりに面白くて、軽く読めて好きだったけど、この作品はコメディのなかに説明しがたい不条理さを詰め込んでいて、これまた笑いながらも微妙な気分になった。しかもこれ、BL誌に発表したわけじゃないんだよね。大いに笑って楽しめたから結果オーライだけど。 思春期の少女の揺れ動く真理を表現するために、深層心理から引っ張り出したものが全裸で暮らす30男、というのは結構古いテーマで、私が知る限り70年代にはもうあった。妄想たくましく何でもシニカルに対処してしまう頭でっかちな少女が、実は女子高の中でもオクテで処女だというのは、まるで昔の自分を投影しているみたいで怖かったよ(笑)。あちこちにしかけられた小道具やエピソードがばかばかしいほどに10代の性を刺激する要素に満ちていて、さらに同居する男性が全裸の理由は最後まで語られないという。 全裸というのは、少女の中にある無垢なる男性像のメタファーなんだろうな。それが結婚という生々しい現実を突きつけられたときに、彼は普通に服を着た男性となって現れるといいう。私は台詞にモザイクがかかってしまうロンゲのお友達のほうが気になるぞ(笑)。 まりもっこり(北海道)とかち○こすこう(沖縄)とか、ご当地シモネタキャラやお菓子はいろいろあるらしいが、マラドレーヌというのは吹いたよ。この呼称は江戸時代の黄表紙にはよく登場するけど、いつから使われなくなったんだろう。私はずっと方言だと思っていた。 興味のないフリをしながら、実は頭の中は性的な妄想でいっぱいで、でも体は無垢で実際に経験するのはコワいと思っている少女話は、その少女がボーイッシュだったりオトコ嫌いで知られていたりヘンジン扱いされているほど面白い。思春期少女の成長譚はよしながふみさんも描いていたし、さんの十八番だけど、こういう新しい感性で描かれたマンガも楽しい。ヤマシタさん、このラインで行って欲しいよ。シリアスはもういいから。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.07.25 17:11:58
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