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● 親に遠慮する子ども +++++++++++++++++ 親に遠慮する子どもがふえている。 親からみれば、できのよい子どもに 見えるかもしれないが、 しかしそれは、子ども本来の姿では ない。 +++++++++++++++++ ある女性(四〇歳)が、こう言った。「盆などに、実家へ帰っても、心を許して、親に甘えることができません。子どもに何かを買ってもらったりすると、つい親に、『悪いから、いいです』などと言ってしまう。親は、『いいんだよ』と言いますが、どこか他人行儀の私たちです。これでいいのでしょうか」と。 このケースで、まずわかることは、子どもが親に遠慮しているということ。義理の父母なら、そういうこともあるが、実の親である。本来、こういう感覚をもつこと自体、おかしい。 そこであなたのチェックテスト。 あなたは実の両親に対して、つぎのうちのどれに近いだろうか。 (1) 実家で料理を出されても、親に対して、「申し訳ない」という気持になり、それなりの金銭を、親に渡すようにしている。そんなわけで実家で食事をするより、近所のレストランで食事をしたいと思うことが多いし、そのほうが気が楽。実家へ帰るのが苦痛に思うことがある。 (2) 実家では、私が「いらない」と言っても、親が勝手に料理を用意することが多い。親に恩返ししたいという気持はあるが、実際には、甘えることが多い。たいていは、「ありがとう」ですんでしまう。実家に帰ることは、それほど苦痛ではない。 (3) 自分の家で食事をしたりするように、実家でも食事をする。出された料理でも、平気で食べるし、何も用意してないこともあるが、そういうときは、冷蔵庫に残っているものを食べる。親に「ありがとう」と言ったこともないし、そういう意識をもったこともない。実家へ帰ると、気が休まる。心も体もリフレッシュできる。 この中で、理想的な親子関係は、(3)である。こうであるからこそ、親子という。またそうでなくてはいけない。一見、乱暴な親子関係に見えるが、その実、より深い親子の絆(きずな)で結ばれている。 日本型の子育てでは、無意識のうちにも、親は子どもに対して、「産んでやった」「育ててやった」と教える。(そういう意識を植えつける。)一方、子どもは、「産んでいただきました」「育てていただきました」と教えられる。(そういう意識をもつ。)実際、自分の娘(三四歳)に向って、「親に向かって、何という態度だ。お前が言葉を話せるようになったのも、親のおかげではないか!」と怒鳴った父親(六〇歳)がいた。 冒頭の女性は、実家へ帰っても、どこか他人行儀だという。恐らく親側から見れば、親思いのよい娘に見えることだろう。しかしその実、心は離れている。 今、子どもを愛せなくて、人知れず、悩んでいる母親は多い。しかしそれ以上に、親との折りあいが悪く悩んでいる母親も多い。「親だから子どもを愛しているはず」と考えるのは、まちがっているが、しかしそれと同じくらい、「子だから、親を思っているはず」と考えるのは、まちがっている。(たいていは、「自分の子どもを愛せない」と悩んでいる母親は、同時に、「自分の親とは相性が合わない」と悩んでいる。) 親子関係といえども、基本的には、一対一の人間関係。親子であるという、「関係」に甘えてはいけない。とくに、親のほうが、甘えてはいけない。 私たちは、親として、子どもを育てる。しかしそのとき、親は、無条件で子どもを育てる。また無条件でなければならない。子どもに恩を着せてはいけない。いくら子どもに裏切られることがあっても、最後の最後まで、無条件をつらぬく。見返りを期待するのも、要求するのも、まちがっている。 親子関係も、信頼関係で、成りたつ。全幅のさらけ出し。受け入れという基盤があって、その上で成りたつ。それを忘れてはいけない。そこで今度は、あなたとあなたの子どもの関係を振りかえってみよう。 あなたの子どもは、あなたに対して、全幅に信頼しているだろうか。あなたのそばにいて、外の世界でキズついた翼を、ゆっくりと休めているだろうか。もしそうなら、それでよし。どうも「?」と感じたら、今からでも遅くないから、あなたの家のあり方を、もう一度見なおしてみてほしい。これはあなたの子どものためというよりは、実は、あなた自身のためなのである。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++はやし浩司 ●子どもの心の内側に入る 親が子どもを見るとき、外側から子どもを見るか、それとも内側から子どもを見るか。このちがいは、大きい。少なくとも、子どもを外側から見るかぎり、子どもの心をとらえることはできない。たとえば……。 子どもが家で、勉強をしないで、ゴロゴロしている。そのとき、「何、やっているの! さっさと勉強しなさい!」と。これは子どもを、外側から見たときに使う言葉。しかしそのとき、「今日は暑いわね。こういうとき、勉強するのも、たいへんね」と話しかける。これは子どもを、内側から見たときに使う言葉。 当然のことながら、相手の心をとらえようと考えたら、その内側に入る。説得力がますばかりではなく、相手の心をとらえることができる。 で、子どもがいつものように勉強を始めたとする。そのときも、「さっさと、終わりなさい」と。これはこどもを、外側から見たときに使う言葉。しかしそのとき、「むずかしくて、わからないのがあったら、もってきてね」と話しかける。これは内側から見たときに使う言葉。 子どもを動かすには、コツがある。そしてそのコツというのは、子どもの心の中に入り、子どもを内側から指導する。ほかにもいろいろと応用できる。 (静かにしなさい)→(口を閉じようね) (まじめにやりなさい)→(この前より、まじめにできるようになったね) (ここがまちがっている)→(前より、まちがいが少なくなったね)(おしいね)(こんなミスをするなんて、あなたらしくないわね) (元気を出しなさい)→(よくがんばったね)(もう疲れたよね)(少し休もうか) (勉強しなさい)→(勉強って、いやなものね。好きな人なんて、いないと思うわ) (何よ、この成績は!)→(成果が出るのは、これからよ) (がんばれ)→(気楽にやりなよ)(無理をしなくて、いいのよ) (こんな成績では、どうするの!)→(やれるだけやってみようよ。それでだめなら、しかたないもんね) これを心理学では、「外世界」「内世界」という言葉を使って、説明する。その人が内世界へ入ってくると、親近感が、どんとますことが知られている。わかりやすく言えば、気を許した人から、あれこれ説得されると、説得されやすいが、そうでない人では、そうでないということ。その内世界へ入るためには、心の内側に入る。それがここでいう「心をとらえる方法」ということになる。 要するに、子どもの立場に立った言い方ということになる。これは子どもを指導するときの、イロハ。覚えておいて、損はない。 (はやし浩司 親に遠慮する子供 遠慮する子ども 子供を伸ばす会話術) 【追記】 不登校を起こした子どもなどに、「学校へ行きなさい」「勉強に遅れてしまう」などと言っても、効果がないばかりか、かえって子どもを、より苦しい世界に追いこんでしまう。私はそういうとき、こう言うことにしている。「いろいろ、つらいことがあったんだね? 君もよくがんばったよ。つらかったけど、君は今まで、がんばって学校へ行っていたんだね。みんなはそれに気づかなかったんだね。先生も、悪かった」と。 ただし子どもといっても、心はおとな。心底、子どもの立場になること。口先のごまかしだけでは、すぐ見破られてしまう。ご注意! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005年10月19日 10時38分03秒
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