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楽天・日記 by はやし浩司

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2007年01月28日
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カテゴリ:家族のこと
● 介護録

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今日は天気もよかったので、
母を車椅子に乗せて、片道1・5キロの
道を歩いた。

母には、ケアセンターで、今夜は、一泊してもらう。

明日は、息子が、自分で飛行機を操縦して
名古屋空港(小牧)へやってくる。

息子の晴れ舞台。
ワイフが、それを見にいく。私には仕事がある。
で、母には、ケアセンターに一泊してもらうことにした。

+++++++++++++++++++

 今日は天気もよかったので、母を車椅子に乗せて、片道1・5キロの道を歩いた。小寒かったので、母には、毛布を上から下まで、すっぽりとかぶせた。

 歩道をガタガタと押していると、母がこう言った。「悪い道やな」と。歩道には、ブロックが敷きつめてある。

私「車椅子用には、できていないの」
母「ガタガタ道や」
私「ここは歩道だから」と。

 途中、テレビ塔が見えてきたので、「あれが東京タワーや」とからかうと、「小さな東京タワーやな」と。

 頭は、ぜんぜん、ボケていない。そうそうその少し前、歩道に乗りあげたとき、車椅子が角にひかかり、母の体だけが、前に落ちそうになった。

私「落ちるところだったな。しっかりと、手すりにつかまっとれよ」
母「手が折れるところやった」
私「手の1本や、2本、折れたところで、死なないから、だいじょうぶ」
母「ひどいことを言うな」と。

 のどかな昼時。行き会う人も、ほとんどいない。母と話すときは、大声になる。それがめんどうで、話しかけるのもおっくうになる。

母「ここが浜松か?」
私「そうや」
母「町の中か?」
私「そうや。美濃町とは、ちがうやろ」
母「あの町は、名前はいいが、田舎や」
私「よくわかっているじゃん」と。

 浜松市内までは、7~8キロはある。母の質問にいちいちまともに答えるのが、めんどう。母が町の中だと思っているなら、それはそれでよい。大きなちがいはない。

 しかし美濃町と浜松市とは、まるでちがう。美濃町は、田舎町以上に田舎町。明治時代そのままの町といった感じ。一方、このあたりは、アメリカかオーストラリアの新興住宅地のよう。浜松市の中でも最高級住宅地。(私の家は、そのスミの、旧住宅団地の一角にあるが……。)

 「寒い」とこぼす母。ハーハーを息を切らしながら車椅子を押す私。私のほうは、背中からジワジワと汗が出てくるのが、わかる。「もう少しだから、がまんせい」と。

 私は、観光でもさせようと思って、そうした。が、母は、毛布を顔半分までかぶり、空を見あげている。

私「あのなあ、明日、5時ごろ、また迎えに行ってやるから、今夜は、センターで泊まれよ」
母「どうしてや」
私「用事がある。ぼくも、晃子(ワイフ)も、明日はいない」
母「わかった」と。

 いやがるかと思ったが、意外にも、すなお。母にしてみれば、すでにこんな生活が、2年もつづいている。

 センターに着くと、すでにワイフが車を止めて、そこで待っていた。「あなた、30分もかかったわ」と。

 「30分かア……」と言って、玄関から、いっしょに中に入る。豪華なケアセンターである。広い通路は、まるで旅館のそれか、ホテルのそれのよう。近くにいたヘルパーさんに、「林ですが……」と声をかけると、私のかわりに、車椅子をもってくれた。あとは職員の人に任せばよい。私とワイフは、しばらく母の様子を見たあと、その場を離れた。

私「結構、いい運動になったよ」
ワ「そうね」と。

 「介護はたいへん」とこぼす人は多い。会うたびに、グチを並べる人も多い。しかし介護で(たいへん?)なのは、便の始末だけ。多少なりとも介護者と披介護者の間で、心が通いあえば、その(たいへんさ)は、半減する。もしくは、それ以下になる。

私「同じ仕事でも、いやいやするのと、求めてするのとでは、負担感もちがう。それと同じではないかな?」
ワ「そうね」
私「ところでさ、お前さ、ぼくの夕食の支度(したく)をするとき、負担に思わないか」
ワ「ぜんぜん……」
私「それならいい。もしぼくが嫌いだったら、料理をつくるのもいやだろうね」
ワ「それはないわね。私、料理するのは、好きだから……」と。

 親の介護もそうだ。それを運命と受けいれてしまえば、何でもない。数日前、N県のいとこがあれこれと心配をしてくれたが、心配をしてもらうまでもない。「浩ちゃんも、たいへんね」と言ったから、私は、「何が? 『たいへん』?」と、思わず、言いかえしてしまった。

 決して、強がりを言っているのではない。ウソを書いているのでもない。運命というのは、そういうもの。こちらが笑えば、悪魔は、シッポを巻いて、逃げていく。悪魔というのは、もともとは、小心。恐れてはいけない。

 母は、あっという間に、私たち家族の一員になってしまった。それもそのはず。いろいろあったが、もともと私の家族。あとは「今」という現実だけを見つめながら、前向きに生きていけばよい。

 しかし介護制度が、ここまで進歩しているとは、私も知らなかった。日本も、すごい制度を完成させたものだ。……と感心したところで、この話は、おしまい。





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最終更新日  2007年01月28日 21時26分58秒
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