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働く女性たち 「壬生菜古漬けの女 華子」…純京漬物の古道駅 駆け込み寺居酒屋ポン吉」37話
京都観光土産の一番の人気は「京漬物」になる。しかし、これらの有名漬物店の多くの漬物は京都以外の契約農家から塩漬けしたものを京都の工場で加工、袋詰めされている。もちろん京都で加工されていれば「京漬物」にはなる。その昔は町内には必ず漬物屋さんと豆腐屋さん、それに乾物屋はあったといわれている。しかし、もうこれらの商売はスーパーなどの進出でほぼなくなってしまった。 JR西大路駅近くにある「洋風居酒屋ポン吉」のマスターの音吉はこの漬物が好きで店用と自分用に自転車で10分ほどの漬物屋さんに週に1回は買いに行っていた。この店は江戸時代(慶応元年・1865年)からの創業でもう152年の老舗になるが、そんな能書きは店のどこを探しても見つからない。店も農家の家のようで派手な看板もなく遠慮気味に「壬生菜古漬け、朱雀屋」とあるだけだった。 この店の裏にはマンションに囲まれた畑があり、ここで野菜を栽培しているが、この畑だけでは漬物にするだけの収穫はないから同じ農家仲間が漬けた漬物を寄せ集めてこの店で売っていた。これを買うのは地元の人だけで仮に贈り物や土産にしたいといっても化粧箱も洒落た包装紙もなくナイロンの袋に入れるだけの質素なものになる。この店は老夫婦がやっていたが、今ではその孫娘の華子が野菜を育てたり漬けたりしていた。その華子がポン吉の店に遊びにきた。華子は音吉に、 「マスター、マスターの好きな壬生菜の古漬けを持ってきました。それに今年最後の「すぐき」もです」 「ほう、それはありがたい、そのすぐきは華子さんの畑のもの?」 「いえ、これは上賀茂の親戚が漬けたものです。もうこの京都で純粋に京漬物といわれるものはこのすぐきと柴漬けの紫蘇程度になりました」 「そうですよね~中には中国産の野菜を加工して「京漬物」としているのもあります」 「はい、今日伺ったのは少し音吉さんにアドバイスしてほしいことがあって…」 この華子は四国の青年と恋愛結婚をして四国のある町に嫁入りしたが、子供がいないままに離婚して京都に帰ってきた。まだ42歳だった華子はその店を引き継いだか経営はかなり苦しかった。そんな折、東京の漬物店が店の看板を買いたいといってきているという相談だった。音吉は、 「そう、その東京資本というのは京都の老舗の看板を買いあさり、たとえば華子さんの店なら「創業慶応元年・京漬物朱雀本舗」として東京の出版社とタイアップして京都人も知らない有名店にしてガッポリ稼ぐという商法になる」 「そうなると大量生産になるので近所のお爺さん、お婆さんの漬ける本当の意味の京漬物はなくなります。それに漬物を漬けてくれる約10数軒の農家の収入もなくなります」 「そうですよね~伝統と文化というのはその土地の風土やそこで採れたものをいうのです、それに京漬物の漬け方の伝承がここで終わってしまう」 音吉はこの老舗の看板を売ることに反対してこの漬物の販売をせめて20%程度上げる作戦を考えていた。それは、漬物を漬けてくれる農家の名前をその漬物に記して「山田トメ」「尾崎義明」さんの漬物という風に売る。そしてPCでの宣伝はするが、PCでの販売、地方発送はしない、つまり、店にこなければ買えない「京漬物の古道」という付加価値を付けることを提案していた。もちろんこれには「創業慶応元年・純京漬物」というブランド力を前面に出す。その漬物をナイロン袋に入れて売るということも京の文化にしてしまう。つまり、この漬物は京都の人々が毎日食べている漬物でこれが本当の「純京漬物」というブランドを作ってしまうのです。 これを聞いた華子は、 「それならなにも投資はいらない、ただPCで「これが本当の京漬物」という宣伝ではなくて記事にするのですね」 「そう、私が華子さんの店の漬物が大好きですが、これと同じ味を求める人々にしか売らないという大宣伝にするのです」 「これなら東京発ではなく本当の京都発の新鮮な記事になります」 「そうそれに、タクシーの運転手さんもこの店を知っていますから、観光客を案内してくれるかもわかりません。もちろん京漬物の本当の味、穴場としてネ」 こんな夢のある話で盛り上がっていたが、華子はもう一つ悩みがあるという、華子は、 「壬生菜の古漬けだけは私しか漬けていないのです。この古漬けというのは乳酸菌が自然発酵してできる発酵食品になります。ところがたまには新しい菌を入れないと味がまろやかにならないのです。この菌はやはり私の信頼する人の菌でなければ…」 「ほう、そうでしたか?それで新しい菌とは?どうするの?」 「はい、それは簡単です。音吉さんの菌を私の身体に移すだけです…その手を壬生菜の古漬けの樽に入れてかき混ぜるだけです」 これを横で聞いていたママの幸子は、 「あらら、こんな音吉どんの老菌及び雑菌でよかったらいつでもお使いください」 これを聞いた音吉は、 「おいおい、老菌、雑菌とはひどい…」 「いえ、わたしももう42歳の古漬けになりました。こんな古漬けは音吉さんの好みではないのですか?」 「いえいえ、華子さんはとても綺麗で素敵です」 「それなら今夜その菌の培養をよろしくお願いします」 「うん…????…なんの話?」 そこで幸子が、 「音吉どん、最近私があの接骨医(36話)に通っているので相手にしないでゴメン、その代わりに華子さんとのことを私が許します。ささ、さっさと華子さんとマンションにいってよ、それともラブホ?それならタクシーを呼ぶよ!」 「おいおい、俺は種馬ならぬ、種菌か?} この音吉の考えたアイデアは大成功して「京の本当の京漬物」として新聞、雑誌、それにテレビで取り上げられて「純京漬物の古道駅バスツアー」まで企画されて大繁盛したお話してした。ちなみに「壬生菜の古漬け」には音吉の菌は絶対に入ってはいません。 このコラムが少しでもおもしろかったら↓↓↓の画像をワンクリックしてください。ブログランキングに参加しています。現在3~4位どす。。。 小説家ランキング 働く女性たち…「医療事務 詩織」…セクシーマッサージ 駆け込み寺居酒屋ポン吉」36話 働く女性たち…「無毛の女 高校女教師 純子」 駆け込み寺居酒屋ポ35話 働く女性たち…「雪女 ゆき」自己破産に自力で挑戦・駆け込み寺居酒屋ポン吉 34話 働く女性たち…「ダンプ姉ちゃん 理恵」…駆け込み寺居酒屋ポン吉 33話 働く女性たち…「痔の女 ひふみ」 駆け込み寺居酒屋ポン吉 32話 働く女性たち…「お年寄りにやさしいメンズパンツ 律子」…駆け込み居酒屋ポン吉 31話 働く女性たち…「バニーガール うさ子母娘」駆け込み居酒屋ポン吉 30話 働く女性たち…「美容師の復讐 理子」…駆け込み寺「洋風居酒屋ポン吉 29話 働く女性たち…「赤ちゃんポスト 涼子」(こうのとりゆりかご) 28話 働く女性たち…「イナリスミレ 菫という女」…駆け込み寺「洋風居酒屋ポン吉」25話 働く女性たち…「病院検査技師 静香」…40歳年上老人との禁じられ恋 24話・あんこう鍋 「働く女性たち…「ゴミ屋敷の女 美幸」…駆け込み寺 「洋風居酒屋 ポン吉」23話・100均のすぐれもの、デッキブラシ 「働く女性たち…「眼科医 瞳」…鋭利な剛毛は凶器にもなる」…22話…フランス食パン(ハードトースト) ブラザーベーカリー西大路店 働く女性たち…「老人女装の玉ちゃん」…駆け込み寺「洋風居酒屋 ポン吉」21話 働く女性たち…「女の愛の計算は複雑怪奇 恵梨香」…駆け込み寺「洋風居酒屋 ポン吉」20話 屁理屈コラム…女の綺麗好き、男の汚い好き・妄想を定着させるのが小説なのか?、それとも邪道なのか?…関西のアイドル・出町柳けい子 小野篁の禁断の恋…藤原香子に貢いで閻魔さんの書記官としてのアルバイト。生まれた子供が「小野小町」「紫式部」 伏見稲荷大社の物語 85話 小説…「働く女性たち」…「めんどう婚 瑠璃子」 19話~「洋風居酒屋 ポン吉」駆け込み寺 音川伊奈利 嵯峨天皇の即決断で1200年前からお寺に保育所ができた。この日本ではまだ「保育園落ちた!」の状況とは日本の恥になる。伏見稲荷大社の物語 84話 小説…「働く女性たち」…幸子の復讐 18話~「洋風居酒屋 ポン吉」駆け込み寺 音川伊奈利 無料の電子書籍…「働く女性たち」~話はここでも読めます お賽銭の勘定に京都銀行の行員10名が一週間もかかるという伏見稲荷大社・その1200年前のお賽銭のお話し 83話 神様は目に見えないからこそ神である。仏壇の位牌は元々朝廷の官位を証明するものであった。伏見稲荷大社の物語…82話 初詣客の警備にフォックス警備の狐が大活躍するも人間に化ける特訓は大変になる・伏見稲荷大社の物語…81話 お笑いコラム…「伏見稲荷大社」の物語も80話にもなりました。最初の1話は「吉祥院天満宮・政所公園の白狐」これになります 新・京のいけず石・いけず石・古典のいけず石、背丈80センチ、駐禁ダメ押し、花壇風の上品な、・ど根性いけず石… この コラムに関するご意見等は「音川伊奈利の掲示板」にお書きください。HNは必ず書いてネ、 新電子書籍…このブログの記事をまとめた無料の書籍になります。 「伏見稲荷大社の物語・嵯峨天皇と稲荷神社 73話…更新随時」 http://p.booklog.jp/book/108339/read 「京都歴史裏のコラム・吉祥院天満宮・政所公園の白狐、北政所御墳墓、吉祥院稲荷・キュウリの糠漬け」 http://plaza.rakuten.co.jp/kyoto24/diary/201607090000/
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最終更新日
2017年03月10日 07時04分42秒
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