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カテゴリ:トルコの手工芸
最終日の前日午後には3作目の整経作業を終えて織りをスタートさせることができた。
これが自分たちでやりつつも、もしわからないところがあったら先生に聞ける最後のチャンスである。 モチーフ選択、カードへの糸通しから最後のカットまでなんとか終えたいところ。 しかも長さは3mほど。 手を休めている暇はないぞ~。 選んだモチーフはこれ。 最初の糸通しだけ位置を間違えなければ、回転方向は14枚のカードを特定回数を全部同じ方向に回すだけなので2作目よりは簡単である。 グレーがないのでその部分は淡いピンク色でやってみた。 図面の読み方も3つ目なのでスムーズにできた。S字撚りとZ字撚りだけ気をつける。 そして後はただひたすら織るだけ。 経糸は部屋の端と端にあるS字フック細い木材に刺した小さな釘などに引っかけた。 テンションはゴムチューブを間に入れて紐の縛り具合で調整した。 先生たちも卓上用の機や、床で使う機などで試したようだ。 この位置が一番身体に負担がないと言っていたが、私もこれが一番簡単で長く作るのに手間のない方法だと思う。 できあがった3作目はこちら。 ほぼ見本と同じ感じで作れた(と思う…)。 あとは押さえ糸の引き具合とか、詰め方とかの調整は手を慣れさせながら覚えていこう。 もっと複雑な図面もあるが、それらの図面の見方も教えてもらって理解できたので、いずれはやっていきたいと思う。 資料や関連本もたくさんあって全部コピーさせてもらった、トルコは伝統文化関連本に関しては廃版ものが多い上に官公庁などが無料で配布するため発行部数が極端に少ない。 本そのものを手に入れるのが困難である。 資料は大切。 遊牧民の民具として知っていたチャルパナだけれど、資料によるとオスマン帝国時代のスルタンや貴族たちの衣装や道具類のパーツとしていろんなシーンで使われていたことがわかる。 もちろんスルタンのためのチャルパナの多くは素材はシルク糸や金属糸である。 そしてその分、想像を絶するほど細かかったりもする。 手間がかかるのもわかる。 でもチャルパナ自体はスルタンの衣装の襟やポケットの縁飾りだったり、遊牧民のチュワルにしても主役ではなくてあくまでわき役として存在していたものである。 そう、考えてみたらたかが紐なんだよね。 でもこのただの紐がオスマン風衣装を取り入れるデザイナーさんたちに今注目されているそう。 修行中にも有名女性デザイナーたちがチャルパナ見学に来て、オーダーを入れていった。 そのうち国内外のファッション媒体で「トルコのチャルパナ」を目にすることがあるのかもしれない。 手工芸はなんでもそうなのだが、陽の目を見てなんぼの世界である。 伝統手工芸を調査して研究して道具や作り方を再現する。 そして作り手を育成する。 でもただそれだけでは意味がない、それを現代でも使えるようにデザイナーたちとタッグを組んでアレンジして、さらには具体的な使い方を提案して売れる商品作りをしていく。 それが売れるのであれば、注文が入り、作り手も十分な収入が得られ、収入が見込めるのであれば作る人も自然と増えていく。 というのも伝統手工芸が消えていった大きな理由のひとつには、作っても収入が得られないというのがあるからだ。 需要が変わりオリジナルの形は忘れられていくかもしれないけれど、技術を人々の間に残すこと。 それが現代においてできる唯一のことなのかもしれない。 ------------------------------------------------------------------ YouTubeに「ikumi nonaka」チャンネルを開設しました。 トルコの伝統手工芸、食文化、生活、牧畜などをご紹介していきます。 新着のお知らせがいくように、チャンネル登録をぜひお願いします❤ ikumi nonaka チャンネル ------------------------------------------------------------------ ミフリのショッピングサイトはコチラ↓ ミフリ&アクチェ にほんブログ村 にほんブログ村 その他・全般ランキング お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
February 4, 2022 08:28:29 PM
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