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カテゴリ:イ―ネオヤ、その他のオヤ
エフェオヤと言う分類があります。
現在では円形だったり、扇型であったりの馬毛、またはテグスが使われた大きな平面のオヤを指して言われることが多いかと思います。 今回のオヤマニアの会のアンティ―ク本でも「エフェ」としてまとめてしまいましたが、エフェオヤっていったい何? という話を今回改めてしたいと思います。 エフェオヤのセミナーでは何度となくお話してきましたが、たぶん過去のブログでもエフェオヤについて説明している回があるかと思います。探してみてください。 エフェオヤはエフェに与えられた、もしくはエフェが身に付けたオヤを指します。 そしてエフェとは何かというと、色々端折っておおまかに説明すると、エーゲ海地方アイドゥン近郊で発生した自警団のリーダーのこと。初期は地方のお代官の悪行に反発して政府から反乱軍とされ、その後、20世紀初頭には一転して政府の要請によりギリシャ軍と戦いました。 地域の庶民にとっての英雄的立場でもありましたが、その存在は共和国の成立と共に自然消滅していきました。 元々は村の遊牧民たちの集団でした。山間部でのゲリラ戦に秀でており、アイドゥンやオデミシュ、ナージリリの山間でのギリシャ戦では戦果をあげたそうです。 戦士たちは見習いから始まり、ゼイベッキの集団となり、各グループのリーダーがエフェということになります。エフェは子孫が代々承継する場合もあれば、適当な跡継ぎがいない場合はグループの優秀な若者に譲られる場合もあったそうです。 そのエフェが身に付けたもの、その家系に受け継げられてきたものがエフェオヤになります。 そしてエフェは名前が挙げられるほど限定された人数しか存在しないのです。 つまり骨董品であっても、あの円形や星型、扇型であればなんでもかんでもエフェオヤ、というわけではなく、エフェのお家から出たことが明らかである場合以外はエフェオヤにはなりません。 現在使われているエフェオヤという名称は本来の意味とはかけ離れていて、ただその形が似ていることからモチーフに対してそう呼ばれているに過ぎないのです。 別の形で一人歩きしてしまっている「エフェオヤ」という言葉。 あえて言うとしたらエフェオヤではなく、ゼイベッキオヤというのが正解になります。 またこれらアイドゥン周辺の男性用のオヤが全てゼイベッキオヤではなく、もちろん地域差はありますが、年代やモチーフによりゼイベッキオヤとされるもの、それ以外のものに分けられます。 ではゼイベッキオヤ(戦士たちのオヤ)以外は何であったのか・・・・。 それは村の若者が結婚する時に送られる「花婿のオヤ」です。 現在の生き証人たちの話で聞ける範囲では、アイドゥンやナージリリの山間部の村では結婚式の時に花婿の肩に掛けられたそうで、花嫁側から贈られたり、花婿の親族が作ったものなどもあったそうです。 もちろんゼイベッキであった若者が結婚するときも同様でした。 ゼイベッキオヤが過去に作られてきた特定地域では、現在も結婚のために花婿側の親族によって円形のゼイベッキオヤが作られます。 ただし花婿に贈るためにではなく、花嫁の腰に巻くためにです。 昨年、その習慣がある山間部の村々のお家を訪ねた時、女性たちは自分が結婚の際に婚家から贈られた大きな円形のオヤがついたスカーフを誇らしげに見せてくれました。それが立派であればあるほど、自分はこれだけ望まれて嫁に来たのだという証になるのです。 エフェオヤ(ゼイベッキオヤ)を含む男性のために作られたオヤの故郷を訪ねる旅が再び始まります。 昨年とまた異なる場所をピックアップしましたが、もちろん現在はその風習も廃れ、古いものは手元に残らず、知識や情報を持っている女性たちも存命ではない状態での調査ですがら、昨年以上に困難極まりないことは想像に容易いです。 ただゼイベッキ文化について、根本的なことを知ることはできそうな気がしています。 さあ、何が飛び出すか、それは行ってからのお楽しみです。 今回のオヤ本にはアイドゥンとオデミシュのエフェオヤとして31点(厳密には32点)掲載しています。 詳細な地域や目的別分類も記載しましたので、興味ある方は入手必須です! そして何よりもこれだけのエフェオヤが一度に見られる機会は他にはありません。 ---------------------------------------------------------------------- オヤマニアの会の新刊本<第2回配本分予約受付け>のお知らせです。 初回配本分の予約はおかげ様で完売となりました。 お申込みを逃した方に第2回配本分の予約受付をしております。 アイドゥンエフェオヤ(31点)、アイドゥン(15点)、キュタフュヤ(29点)、カスタモヌ(7点)、ブルサ(29点)、ナウルハン(13点)、エーゲ海地方(22点)など、トルコ各地の貴重なアンティ―クイーネオヤ146点を掲載しています。1目1目が見えるようにに撮影していますので骨董オヤの再現にも参考になるかと思います。 古いイーネオヤはトルコに来ても特定の博物館でしか見ることができません。 博物館レベルの個人所有のイーネオヤコレクションをまとめた世界初無二のトルコのオヤ本です。 1ページに全体画像とモチーフの拡大画像、データとして地域、モチーフ名、素材、サイズが表記されています。トルコのオヤ好きさんはもちろん、レース、手仕事、手芸、民族文化、古いもの、美しいものなどに興味ある人にオススメです。 タイトル:OYA Traditional Turkish Needlelace (日本語・トルコ語・英語併記) オヤマニアの会編 サイズ:21×29.7cm A4版 ページ数:160ページ フルカラー 重量:約800g 発行予定日:2023年7月13日 発行部数:初版1000部 ISBN:978-625-99032-0-0 発行元:ミフリ出版 第2回配本分予約特典としてトルコからの送料(約30ドル)なしで、日本国内のレターパックライト代のみとお得です。 配本日程は未定ですが、決まり次第順次発送いたします。 お申込み、お問合せ窓口は ◇オヤマニアの会:instagramまたはe-mail ◇イーネオヤロゼット: https://igneoya-rosette.ocnk.net/ ◇ミフリ:(下のリンクにある)ミフリ&アクチェのショッピングサイトで予約受付中! 第2回配本分は初回より数量少くなりますので、お早目にご予約よろしくお願いいたします。 お振込み確認でき次第予約確定とさせていただきます。 ------------------------------------------------------------------ YouTubeに「ikumi nonaka」チャンネルを開設しました。 トルコの伝統手工芸、食文化、生活、牧畜などをご紹介していきます。 新着のお知らせがいくように、チャンネル登録をぜひお願いします❤ ikumi nonaka チャンネル ------------------------------------------------------------------ ミフリのショッピングサイトはコチラ↓ ミフリ&アクチェ にほんブログ村 にほんブログ村 その他・全般ランキング お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
June 18, 2023 08:48:09 PM
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