意外と(?)良かったモンゴル・日本ビジネスフォーラム(3)
チャッツラガンを日本で販売する、という会社の例は、多くの人たちがチャレンジしてなかなか成功できな分野です。私自身も、このチャッツラガンには成功できそうなパワーがあると期待していますが、思うようにいかないのはいかにも残念です。是非とも、成功するまで粘り強く頑張ってほしいと思います。講演後この会社のブースに立ち寄って、いろいろ話を伺いましたが、その社長さんに「随分、詳しい方ですね」と、もしかしてちょっと怪しまれたかもしれません。(笑)コンペティターではありませんので、ご安心をと言いたかったけど、そこまでは話せませんでした。本質的な問題ではありませんが、ネーミングの問題も面倒です。日本人の中にも「チャチャルガン」「チャッツラガン」(ともにモンゴル語名)「サジー」(中国名)「シーバックトーン」(英語名)「シーベリー」(新しい呼び方?)など様々な呼び名があります。なので、もともと知名度がないところに加え、人によって名前が違うので、日本に根付くには簡単ではなさそうです。モンゴルのアニメを日本やアジアに紹介するというビジネスもありました。これはとてもいい発想だと思います。が、この日本側のパートナー企業がどこまで力があり、どう正常なビジネススキームに落とせるかはわかりません。いろいろと噂のある企業のようなので、その辺がちょっと心配です。偶然でしょうか、「断熱材」の会社が二つ出てきました。一つは羊毛を原料とした「羊毛断熱材」です。これは聞いたことがありますし、モンゴルらしい製品だと思います。ただ、日本の場合、「耐火断熱材」には、消防法をはじめ労働安全衛生法など様々な法規制対応が求められることでしょう。更に、建材流通も大きな障害となることでしょう。大きな問題はあるでしょうが、是非とも成功してほしい事業です。もう一つの「断熱材」は意外でした。なんとBazalitというモンゴル産の天然の石を原料にしているのだそうです。モンゴル国内では既にシャングリラホテルなどで実績があるようですので、こちらはうまく日本に導入できれば、可能性があるんじゃないかと思いました。が、この断熱材の2社は、単独でやっているのか、日本のパートナー企業とやっているのかはわかりません。代理店程度はお付き合いあるでしょうが、それだと「売れるか売れないか試して、お終い」になるかもしれません。一般にモンゴル人は、巨大な日本マーケットの規模を聞くと「その1%で十分」と思いがちになりますが、その1%を獲得するのが大変なのです。更に、仮に1%程度では、モンゴルの輸出側は満足だとしても、日本側はとても利益を出せる水準にはならないことが多いのです。その辺の誤解はないように頑張ってほしいものです。最後は、バータルジャブ・ハグワジャブというモンゴル国商工会議所理事長兼会長が挨拶に出てきました。この肩書、もう聴衆者が大幅に減った会場の雰囲気などから、当然「日本とモンゴル仲良くしましょう」的挨拶だけなんだろうと思っていました。ですが、この人、本気で話しているのがわかりました。何も見ないで、どんどん数字が出てきます。「モンゴル企業は透明性が課題です」。「150年の資本主義の歴史を持つ先輩として、教えてください」「33000社が日本からの投資を待っています」などなど、気持ちのこもった発言をしていました。外務大臣と言い、この会長さんと言い、やはり「お、モンゴルは変わったな?」「変わろうとしているのかな?」と思わせるのは、スライドの出来栄えではなく、発言者の熱意と本気度だと感じました。「いいフォーラムだった」というのはあくまでも「ひどかった以前に比べて」というものです。これらが、本当に変化のスタートになるのかどうかは、もう少し見ていかないといけないと思います。(完)