ジャンガダとは何か。南米の筏の一種である。先の
『動く海上都市』では太平洋を遊覧したが、今度の主人公は動く家に乗って、植村直己よろしくペルーからブラジルまでアマゾン河を下ろうというのである。何のために? 娘のために、そしてわが身と家族の名誉のために! その不撓不屈の精神にもかかわらず、第一部の終わりでとらわれの身となってしまうあたり
、『皇帝の密使』のミシェル・ストロゴフを思わせるし、暗号の謎解きのスリルは『地底探検』以上である。そうして毎度のことながら今回も陽気な道化役、しかし物語の中で重要な役割を果たす道化役が出てくる。ラストの小気味よさは、まるで『走れメロス』のようである。
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