タイトルのとおり宇宙をテーマにした短編が多い。もっとも印象に残るのは「処刑」で、これは集中もっとも長いお話でもある。
ミステリー仕立ての作品も含めて概して軽妙なコントが基調のなか、いくつかの例外もある。「たのしみ」はホラーだし、「セキストラ」は前衛的で、「蛍」は教科書に載ってもおかしくない。また「小さな十字架」は一編の美しい童話である。「テレビ・ショー」を読むと性教育で悩むのがバカらしく思えるし、トリを飾る「殉教」は科学もまた宗教たりうることを示唆し、機械の語る死者の声を信じて、嬉々としてレミングよろしく自殺していく人々の群を描く、まことに忘れ難い佳品である。
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Last updated
2009.08.18 19:48:26
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