これも学校の図書室から。アントワネットによく似たマルグリットとその周辺の出来事はフィクションだけど、王妃という「女の一生」を生きた女性については歴史に沿って描かれた歴史小説である。ことに圧巻はルイ16世一家のパリからの逃亡劇で、これを読むだけでも本書を紐解く価値はある。
遠藤周作といえばカトリックで、この小説にもでてくるが、ちっともバタ臭くないのは勿論舞台がフランスだからであろう。善良だが無能な国王(ややイエスくさい)と、誇り高いが我儘だった王妃の悲劇についてはいまさら語るに及ぶまい。またギロチンにまつわる政治劇についても。むしろ作者があえて大きく歴史離れした修道女のアニエスに、作者自身の分身を見る思いがした。…
【中古】文庫 王妃 マリー・アントワネット(上)【画】
【中古】文庫 王妃 マリー・アントワネット(下)【画】