『オール・ユー・ニード・イズ・キル』

2017.10.05

同名タイトルの日本のラノベが原作である。（インベーダーを）殺せばいいのだ、というが文法が間違っているし、内容からして『オール・ユー・ニード・イズ・トゥ・ビー・キルド』の方が正確だ。もっと言うなら英語タイトルの『明日の淵』や『復活のループ』の方がふさわしいと思うのだが、タイトルに拘るのはこれくらいにしよう。

人生をやり直すというテーマは手塚治虫の十八番だった。『ファウスト』『百物語』『ネオ・ファウスト』は言うに及ばず、『ザ・クレーター』にもその手の短編がある。中でもこの映画に最も近いのが「大当たりの季節」だろう。作品はいかにもハインライン風なアメリカン・テイストに彩られているが、中身はゲーム大国ニッポンのシュミレーションゲームそのものだ。やられてもリセットして全ステージをクリアするまでやり直せばいいという感覚だ。

だが。
現実は甘くない、というのがアメリカ人の感覚だ。やがて、もうリセットできないという状況がやってくる。インベーダーの親玉までどうやって辿り着き、世界をリセットすればいいのか？　もうこれしかないという結末だが、何度も繰り返し観るとあちこちに隠された伏線や日本へのオマージュが見えて面白い。レンタルでもいいので、ぜひDVDで視聴されることをお勧めしたい作品である。