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カテゴリ:現代日本文学
この小説、一応一人称の「主人公」がいるのだけれど。
狂言回し、という感じ。 喩えて言えば、シャーロック・ホームズの伝記を書くワトソンのような。 そんなスタンスなのだ。 では、この小説のホームズは誰かと言うと、「神谷」。 「神や」の洒落かもしれない。 主人公ともども芸人である。 漫才師である。 ただし、コンビを組んでいるわけではない。 主人公は神谷を「天才」だと崇めている。 そうかもしれない。そうでないかもしれない。 判断は読者に委ねられている、と思う。 それでも芸人として、漫才師として、一切の妥協を自分にも観る者にも許さない姿勢は確かに、尋常ではない。 現実にこういう人がいるか、いたかはともかくとして、デフォルメされた漫才師を漫才的に描いたという意味では、特異な小説だと思う。 また、先ほど、主人公の立場をワトソンになぞらえたが、このワトソンは漫才師だけあって、結構神谷にツッコミを入れる。この辺のやり取りも、この小説の面白さのひとつである。 火花は、切ない。 しかしその一瞬の輝きに、漫才師は己の芸のすべてを賭けるのかもしれない。 【中古】【全品5倍】火花 / 又吉直樹 【中古】 火花 / 又吉 直樹 / 文藝春秋 [単行本]【宅配便出荷】 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020.03.16 21:39:23
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