「やさしい魚」
川崎洋
やさしい魚のやさしいうろこが
月曜日に一枚火曜日に二枚剥がれた
剥がれたうろこは銀色にひかりながら
海の中見えない底へ沈んでいく
やさしい魚のやさしいうろこが
水曜日に三枚木曜日に五枚剥がれた
うろこが剥がれて
やさしい魚はひりひり痛い
やさしい魚のやさしいうろこが
金曜日に十四枚土曜日に三十八枚剥がれた
日曜日 歌おうと海に来てみれば
砂に終止符のようなやさしい魚のなきがら
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『大人になるまでに読みたい15歳の詩③ なやむ』より。
読んで連想したのは、
「夕焼け」であり、
「動物の受難」であり、
香川紘子の詩でした。
皆さんは何を連想しましたか?
大人になるまでに読みたい15歳の詩 3