やなせさんといえばどうしてもアンパンマンのイメージが先行するけれども、個人的にはこの本が「推し」である。飯森広一氏の漫画『ぼくの動物園日記』では、犬が虎のお母さんになる話があった。これは実話だそうだから、やなせさんもあるいはこの話を知っていたのかもしれない。
けれども決定的な違いがある。本書は、うつくしくもかなしい愛の物語だということだ。人間はライオンを猛獣だと思っているから、逃げたライオンを撃ち殺そうとするのは当然かもしれない。けれども、彼は母親想いの「やさしいライオン」なのだ。いつの世も、物事の本質は少数の者にしか理解されず、それが往々にして悲劇の源になる。
この物語をこのように読み解くことは、あまりにも不遜すぎるだろうか?
やさしい ライオン (やなせたかしの名作えほん 2) [ やなせたかし ]
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