■こんなんは買ってはいけない。
これはいかん。 「可愛いスッポンが卵から孵ってくる姿が見れます!(原文ママ) 夏休みの自由研究にも最適!」 などと書いてあるが、なんと無責任な商品だろ。【送料無料】日本スッポンのタマゴ 5個入り価格:6,500円(税込、送料込) 仮に、うまく5個の卵が全部孵化したとして、5匹のニホンスッポンを飼えるだろうか。 いや、絶対に飼えない。 断言する。 ニホンスッポンの小さいやつ、すなわちベビースッポンは大変にデリケートであるから、死なせてしまう確率の方が高い。 ワタクシの場合は、孵化後1カ月のベビースッポンを手に入れましたが、知り合いのペットショップ店長に報告すると、 「絶対死ぬよ」 と断言されてしまったほどである。 そのぐらい、飼うのは難しいということ。 そこをなんとか乗り越えて、ベビースッポンが子どもスッポンぐらいにまで、成長できたとしましょう。 ここで水槽問題が出てきます。 ニホンスッポンは気性があらくて、同じ水槽に何匹もいれて飼うことはムリ。 水槽が5つ必要になります。 飼える? ニホンスッポンは30cmくらいまで成長するし、かなり運動量のあるカメだから、小さな水槽ではダメ。 うちはニホンスッポンのミゲール1匹のために、90×45×45cmの水槽を利用しています。 水槽はほどよく日光が当たる場所、でも暑すぎず影もある場所に設置し、冬はヒーターを入れて、水をあたためてやります。 飼える? そこをなんとか乗り越えて、5つの水槽を用意し、子どもスッポンが青年スッポンぐらいにまで、成長できたとしましょう。 ここで、メンタルな問題がでてきます。 だいぶ大きくなってきたスッポンが怖いのです(笑)。 噛むのです。 素早いのです。 飼える? ワタクシはベビーのころから話しかけて育てたので、うちのスッポンは呼べば来るし、あまり噛まない程度(←ポイント)には人になれています。 つまり、なれていても、なにかの拍子に噛みます。 そこをなんとか乗り越えて、お互いにうまくコミュニケーションをとりながら、青年スッポンが大人スッポンに成長できたとしましょう。 ここで、月日の問題がでてきます。 ニホンスッポンの寿命はだいたい15年~20年。 飼える? そんな長い間、水槽をスッポンが快適なように維持できる? 世話できる? ワタクシの場合は、23歳のころ、「嫁に行くときはスッポンと一緒だ」と覚悟を決めて飼育をスタートしましたが、ホント、一生カメと添い遂げる気持ちがないとダメだと思う。 ニホンスッポンその他カメは、覚悟がない人は、飼ってはいけないと思う。 池や川に放流なんてのは、もってのほか。 で、最後にお値段ですが。 このショップのお商売を邪魔したいわけではないけど、ペットショップでは、500円硬貨ほどの大きさのベビースッポン(孵化後1カ月以内ぐらい)が、だいたい600円~1200円(今まで実際に店頭で見た価格帯)で売られていることを考えると、ちと高すぎやしないか。 と、以上のことをどばばばぁぁっと考えて、こりゃいかんとつい急いで日記に書いてしまったのですが、 一方で、ベビースッポンは実に可愛らしく、ワタクシは当時、ベビースッポンを指して「水の妖精」などと呼んだものだし、 大人スッポンになってからも、カメっぽくない独特の魅力があって、見飽きないものです。 だから、覚悟を決めて、卵から手に入れて飼育したいという人がいらっしゃるなら、ぜひとも、卵購入と同時に、孵化したスッポンが暮らす水槽も用意しておいてほしいと思う。 とりあえず、プラスチックの安い金魚用セットで良い。 卵から出てきたスッポンに責任を持つ準備もしておいてほしいと思う。 そして、ニホンスッポンの生態や飼育について、出来る限り調べておいてほしいと思うのです。