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長編時代小説コーナ

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Jan 7, 2008
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カテゴリ:伊庭求馬孤影剣
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「藩主、諏訪忠政の様子と警護の動きを探ってまいれ」

 二人の忍びが土塀を音もなく飛び越え姿を消した、蝉時雨が一瞬、やんだ。

「散れ」  頭分の指図で残りの人影が闇にとけた。

 潜入した二人は、格子戸をなんなく開け、足音を消し中奥へと進んでいる。

「無警戒じゃな」  屋敷には人の起きている気配がない、二人が忍び声で語り

奥の寝所に近づいた。寝所からは微かな鼾(いびき)の音が聞こえる。

 臥所には蚊帳(かや)がつられ、藩主の諏訪忠政の熟睡する姿がみえる。

 二人が顔を見合わせニヤリと不気味な笑みを浮かべた。

「中奥は藩主一人じゃとお頭にお知らせいたせ、わしは寝所を探る」

 残った一人が寝息を窺がい、そっと寝所に身を入れようとした。

 途端に凄まじい剣気を感じた。

「しまった」 と、身を後退しょうとした瞬間、蚊帳から光芒が噴きあがり右肩を

袈裟に斬りさげられた。影の軍団と恐れられた忍び者でも、躱す事のできない

斬撃の凄さであった。

「何者か」  斬り裂かれた蚊帳から、白練の寝衣装姿の武士が現われ誰何し

た。深手を負った忍び装束の曲者が、後方に飛びのき眼を凝らした。

 血濡れた大刀を手に悠々とした態度で近づいてくる。

「諏訪因幡守さまか?」  錏頭巾の曲者がかすれ声を発した。

「小賢しきかな、わしは家老の嘉納隼人正じゃ」  「なんとー」

「貴様は何者じゃ、白状いたせば命はとらぬ」

 家老の嘉納隼人正の躯から、身のすくむような剣気が放射されている。

「ぐっー」  曲者が苦痛の声をあげ畳みに斃れ臥した。逃れられない凄腕と

知り舌を噛み切って果てたのだ、忍び者の身についた性(さが)であった。

「莫迦者」  嘉納隼人正が無造作に頭巾をはぎ取った。

 苦悶の色を浮かべた、凶暴な顔つきの坊主頭の男であった。

「隼人正、無事か?」  廊下より若々しい忠政の声がした。

「殿か、矢張り襲ってまいりましたな」  「水野忠邦の手の者か?」

「左様に思われます」  戸外から凄まじい懸け声が轟き、曲者と藩士との

闘いが始まったようだ。鋭い指笛が聞こえ曲者が逃げ去ったようだ。

 隼人正が懸け行灯に明りを点した。

「殿、お怪我はございませぬか」  庭先の格子戸が開けられ藩士たちが姿を

みせた。  「心配はない、そちたちに怪我はないか?」

「三名が軽傷を負いましたが大事はありませぬ、しかし曲者を逃しました」

「面目次第もございませぬ」  藩士等が強盗提灯(がんどうちょうちん)を持って

集まってきた。  「奴等は忍び者じゃ。なまじ闘えばそちたちの命が危うい」

 諏訪忠政が落ち着いた口調で、無事な藩士たちを安堵の思いで見つめ隼人

正に声をかけた。  「隼人正、書院にまいれ」

「襲っては参らぬと思いますが、念のために警護の指図をいたし伺います」

 嘉納隼人正が、てきぱきと藩士に指示を与え奥に姿を消した。

「殿もご家老も豪胆じゃ、いささかも動揺されておられぬ」

 藩士たちが、二人の態度に驚きを隠さずにいる。

 この騒動を聞きつけた、付近の大名家から続々と見舞客が訪れてきた。

「曲者の侵入にござるか」  「何者の仕業かの」

「判りませぬが、既に逃げ去りました。お騒がせいたし申し訳ござらん」

 用人の岩村弦四郎が応接している。

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Last updated  Jan 7, 2008 12:32:53 PM
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