1178199 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

長編時代小説コーナ

長編時代小説コーナ

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

龍5777

龍5777

Favorite Blog

街道のハナミズキ New! Pearunさん

^-^◆ 思わず にっ … New! 和活喜さん

プロ野球〜ソフトバ… New! クラッチハニーさん

この頃の韓国に来て… New! 韓国の達人!さん

いさまろの【1億円稼… Isamaroさん

Comments

 人間辛抱@ Re:何故、安保法制が必要なのか。 (08/09) どうもお久しぶりです。 新型コロナウイル…
 http://buycialisky.com/@ Re:士道惨なり(11)(12/10) cialis muscle paincialis daily use side…
 http://buycialisky.com/@ Re:改定  上杉景勝(12/11) cialis 5 mg prezzo in farmaciaanti cial…
 http://buycialisky.com/@ Re:騒乱江戸湊(04/28) cialis in spanien kaufenavoid counterfe…
 http://buycialisky.com/@ Re:「改訂  上杉景勝」(04/21) what happens if a woman takes viagra or…
 http://viagraky.com/@ Re:士道惨なり(11)(12/10) offshore viagra &lt;a href=&quot; <sma…

Category

Freepage List

Calendar

Jan 27, 2008
XML
カテゴリ:伊庭求馬孤影剣
にほんブログ村 小説ブログ 歴史・時代小説へ クール にほんブログ村 小説ブログへ 励みになります、応援宜しくお願いいたします。

「目的はただひとつ、道中で襲いくる水野忠邦の手先を殲滅するにある」

 主水が肉太い相貌を引きしめて告げた。

「影の軍団とは信州上田に土着いたす、六紋銭と名乗る忍び集団。そのなか

を旅をすると申されるますか?」  隼人正が驚き顔をした。

「伊庭殿とは、そうしたご仁じゃ。生きざまは悪鬼羅刹道。わしも大目付として

翳ながら尽力いたす積りじゃ」

「絵図はどうなりまする」  兄の主水の言葉に隼人正が訊ねた。

「隼人正、そちなれば絵図をどういたす」  「まずは、金塊を捜しまする」

「金塊を発見いたしたら、高島藩としていかがいたす」

 主水の口調に揶揄が込められている。

「幕閣に差出まする」

「莫迦め、そのような事をしたら、水野忠邦を利するばかりじゃ。奴は改革を

唱え、幕府財政の緊縮と奢侈の禁止を命じ、己の栄華を謀っておる。そのよう

な男に金塊を与えるとは笑止の沙汰」

 主水が隼人正を痛烈に皮肉った。隼人正が顔を伏せた、ようやく兄、主水の

考えが判ったのだ。主水が言葉を続けた。

「隼人正、高島藩は参勤交代のおり、甲州道中を利用できる藩じゃな。その際

に宿泊いたす本陣、脇本陣の宿場に顔が効こう、伊庭殿のために極秘で便宜

を図るように通達いたせ」  「分りましてございます」

「わしは、四谷の大木戸や八王子の千人同心、甲府勤番の者などに秘かに意

を通じておこう、話は済んだ。久しぶりに一杯やろう」

 酒好きの主水が、酒肴の用意を命じた。

 酌のやりとりを終え、それぞれが独酌に移った。

「隼人正、そちは六紋銭の忍び者をどう看(み)た?」

「襲撃時に二名の者を始末しましたが、それほど凄腕とは感じませなんだ。

だが、伊庭殿の腕は流石にございました」

 隼人正が己が感知できなかった、忍び者を一刀で仕留めた求馬の腕を語っ

た。 「先日の七名は、伊庭殿の逆飛燕流の秘剣で斃された者共であろうな」

 主水が杯を干し、隼人正に語りかけた。

「兄じゃ、伊庭殿の秘剣をご存じにございますか?」

「数年前に見せてもろうた、今でも瞼に焼きついておる」

 主水が杯を手にし、往事を懐かしむように視線を宙に遊ばせた。

「兄じゃの居合でも叶いませぬか?」  主水が思わず苦笑した。

「その頃の伊庭殿は、公儀隠密の手練者を敵としていた。今の六紋銭なんぞ

は、物の数ではあるまいな」  主水が不敵な面で言い切った。


 翌日、嘉納主水は千代田のお城の芙蓉の間に大紋長袴で詰めていた。

 大目付は、従五位下諸太夫の官職に任じられていた。

 勤務は四つ上がり(午前十時登城)八つ下がり(二時下城)の月番制であった。

 彼はお勤めを終え、桜田門外から駕籠に乗り、駿河台へと向かっていた。

「大目付さま」  警護の士の声がした。  「何事じゃ」

「老中首座の用人、加地三右衛門さまがお待ちにございます」

「水野忠邦さまの用人が?」  「御意に」  「駕籠を止めよ」

 野太い声で命じ主水が駕籠から姿を現した。駕籠脇に紋服姿の加地三右衛

門が膝を付いている姿があった。

「加地殿、拙者にご用かな」  「はっ、内々にお話がございまする」

「うむ」  おもむろに主水が駕籠をおり、その場を離れた。

「お訊ねいたしたき儀がございます」

  加地三右衛門が低い声で嘉納主水を仰ぎみた、相変わらず細い眼が用心

深く瞬いている。主水が無言で加地三右衛門を見つめた。

「主人の命で罷り越しました。先日、高島藩邸近くで不逞の者共が殺された

事件がございましたな、下手人が分らず探索が打ち切られた由。我等の探索

で元公儀隠密の仕業と判明いたしました」

「ほう、それは何者かの?」  主水が炯々とした眼差しを向けた。

「凄腕の浪人のみしか判りませぬ」

 加地三右衛門が、じっと嘉納主水の顔色を窺がっている。

「隠密が抜けた事件は、数年前に一件ござったが、その後の事は知り申さぬ」

「数年前にございまするか?」  加地三右衛門と主水の眸から火花散った。

「その時期、拙者は堀井讃岐守さまに疎まれ、無役の身となっておりましてな、

詳しい事情は存じてござらん」 加地三右衛門は無言でいたが軽く頭を下げた。

「ご行列先を乱して申し訳ございませぬ」  「宜しいか?」

「有難うございました」  その声を背にうけ、主水は駕籠に乗り込んだ。

 行列が、ゆっくりと動きだした。「掛かりおったな」と、主水が独語し頬

を崩した。いよいよ奴等が動き始める、この時を待っていたのだ。

 屋敷にもどり、嘉納主水は用人の根岸一馬を呼び寄せた。

「根岸、水野忠邦が餌に喰らいついた、用意の品をお蘭のもとに届けよ。その

前に、高島藩を訪れ隼人正から、書状を受け取り一緒に持参いたせ」

「畏まりました」

血風甲州路(1)へ











 

    

 





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  Jan 27, 2008 03:39:46 PM
コメント(5) | コメントを書く
[伊庭求馬孤影剣] カテゴリの最新記事



© Rakuten Group, Inc.