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Jan 26, 2008
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カテゴリ:伊庭求馬孤影剣
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 灯を消した寝室で、お蘭は喜びに身を震わせていた。

 求馬が、お蘭の洗い髪に顔を埋め、彼女の裸身をかき抱いていた。

 乳房を揉まれ、可憐な乳首を含まれ、背筋に思いもせぬ快感がはしりぬけた。

豊かな腰が蠢き、求馬の躯が思いがけない強さで抱きしめられた。

「お蘭、わしが好きか?」

「好き」  切れぎれの言葉が途中から、声にならない吐息に変わった。

「旦那、離さないで」 それだけ云うことが精一杯であった。

 お蘭を知ってから三年は経つ、奔放な性格のお蘭により求馬は挫(くじ)けそう

になる、気持ちを何度となく助けられた。

 それは、全てお蘭の献身的な愛情の賜物であった。
 
 己の生きざまを変える気持ちはないが、お蘭との生活に満足していた。

 だが、またもや危険な仕事に足を突っ込む仕儀となり、お蘭まで引き込む羽目

となった。それだけにお蘭が不憫であった。

 しっとりとした裸身が求馬の腕のなかで息づき、洗い髪が肌に心地よい。

「お蘭、そちの命をわしにくれぬか」

 お蘭が腕の中から、求馬を仰ぎみた、煙ったような眸子である。

 まだ、快感の余韻のなかにいるのだ。

「旦那はわたしの命、いつでも喜んで差し上げます」

「近々、甲州道中に旅発つ、そちも一緒じゃ」

「嬉しい、ご一緒に旅が出来るのですね」  「猪の吉も同道いたす」

 求馬がお蘭を抱きしめ、お蘭が求馬の胸に顔を埋めた。嗅ぎ慣れた体臭に

つつまれ恍惚となった。

 お蘭は猪の吉が一緒と知り旅の危険を感じたが、そうして旦那は生きてきた

のだと納得した。危険な旅と分っても心が躍った。


 諏訪高島藩上屋敷から、黒縮緬の紋服袴姿の武士が姿を現した。

(そろそろ残暑も終りじゃな)と、周囲を見廻して独り言を呟いた。

 相変わらず残暑は厳しいが、どことなく空の色が秋めいている。

 武士は諏訪高島藩江戸家老の嘉納隼人正であった。 

 彼は駿河台の小路をゆったりと辿っている、白壁が続き鬱蒼と繁った樹木

が、日差しを遮(さえぎ)ってくれる。行き先は目と鼻の先にある、実家の

嘉納主水邸であった。

 隼人正を認めた門番が奥に消え、かわって用人の根岸一馬が出迎えた。

「お久しぶりに存じます」   「根岸、兄じゃは居られるか?」

「本日は非番にて、退屈そうに為されておられます」

「そうか、ご尊顔を拝したい」   「さぞや、喜ばれましょう」

 隼人正は慣れた様子で奥に歩を進めていった。

「兄じゃ」  「隼人正か」  書院で主水が脇息に躯をあずけている。

 二人とも髭跡の濃い顔つきで、まるで双子の兄弟をみるようである。

「ご免」  隼人正が主水の前の座布団に腰を据えた。

「久しいの」  「はっ、ご尊顔を拝し恐悦至極に存じます」

「堅苦しい挨拶なんぞぬきにいたせ」  主水が肉太い相貌をゆるめた。

 腰元が茶を置いて去った。

「水野忠邦に、絵図紛失届けを報告いたした」

 主水が、単刀直入に口火をきった。   「いかがにございました」

「流石は狸、既に報告を受けておったとみえ、驚いた様子もみせなんだ。勿論、

高島藩に玄公金秘匿絵図なんぞが、伝わっておる事は誰も知らぬことじゃ」

「我が藩は、落ち度を追求されませぬか?」  隼人正が性急に訊ねた。

「大名、旗本の法度遵守は大目付たるわしの職掌じゃ。高島藩がわしに報告

したことに付いては、老中首座としても文句は言えぬ」

「お家は安泰にございますか?」  兄弟が濃い髭跡の顔を見つめあった。

「心配はいらぬ、だが、絵図の紛失は忠政殿やそちの差し金と考えておる節

が窺がえる」  主水がにやりと破顔した。

「隼人正、絵図を伊庭殿に託したか?」

「はい、七名の六紋銭が斃された晩に、伊庭殿が兄じゃの書状を持って訪れ

て参りました。殿は伊庭殿を信頼いたし絵図を託されました」

 隼人正が語り終え茶を干した。   「そちは不服かの?」

「滅相な、これ以上、水野忠邦の独断専行は許せません」

 隼人正が剽悍な眼差しで断じた。

「隼人正、わしは水野の小汚さが許せぬ、影の軍団なんぞの忍び者をかかえ、

己の政敵を倒す手口に憤りを感ずる」

「伊庭殿の正体が、奴等に漏れましたか?」

「水野忠邦の懐刀の加地三右衛門が手を廻しておる。なかなかの遣(やり)手

じゃ、わしは、伊庭殿の情報を奴等に洩らす積りじゃ」

 主水の言葉に隼人正が反対した。

「兄じゃは、伊庭殿を裏切るお積りか?」  隼人正が声を荒げた。

「興奮いたすな、この件は伊庭殿のたっての願いじゃ」

「分りませぬ」  隼人正が小首を傾け、兄の主水を凝視した。

「これは極秘じゃ、伊庭殿は絵図を持って近々に甲州道中を使い、上諏訪の

高島城に向かわれる」  「矢張り、行かれまするか」

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Last updated  Jan 26, 2008 11:18:09 AM
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