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長編時代小説コーナ

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Jan 30, 2008
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カテゴリ:伊庭求馬孤影剣
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 この頃の江戸町人の一日は明六つ(午前六時)に始まり、暮七つ半(午後五時)

に仕事を終え、六つ半(七時)に夕食をとるのが習わしであった。

 その後、五つ(八時)には亭主、子供等が就寝し、女房は五つ半に床に就い

た。夜の四つ(十時)には町の木戸が閉められ、人々は寝静まったものだが、

この事件から人々は、夜遊びを止め五つ半(九時)頃は人通りが途絶え、巡回

の町奉行所の役人や、火付盗賊改方の役人の足音がするのみであった。

 竹屋の渡しから吾妻橋が闇の中に薄っすらと見える。

 ここは浅草駒形町付近である、一人の町人が馴染みの店で一杯ひっかけ、

川風をうけながら家路へと向かっていた。五つ半前というに人影すら見えない。

「けっ、面白くねえ」  悪態をついた町人は飛礫の猪の吉であった。

「おっ、珍しく開いているぜ」  薄汚れた提灯が点り風にゆれている。

 ここも馴染みの店である。  「親父、一杯くんな」

「これは猪さんかえ、こんな時に珍しいね」

 親父の政次が、醤油樽に腰をおろしながら迎えた。

「暇そうだねえ、刺身をくんな」   「あいよ、めじが美味いよ」

 親父が錫のちろりで酒を暖め、ぐい呑みに注ぎ皿にめじ鮪の刺身を盛り

つけ、猪の吉の前に置いた。

「脂がのって美味いね」   「これからは出もどり鰹が美味くなるよ」

「もどり鰹だろ?」   「なあに、出もどり女と同じよ」

 たわいのない会話で酒を飲んでいる。

「親父も一杯やんなよ」   「頂くよ」

 親父の政次が汚れた手拭を首にかけ、美味そうに酒を啜った。

「猪さん、物騒な世の中になったね」   

「改革なんざやるからさ」

「こう景気が悪きゃあ、首座の水野の殿さんも危ねえな」

 二人が愚痴をこぼしあって飲んでいる。

「うーん」  猪の吉が表を見つめた、四、五名の男が足音を消して駆け去った。

 猪の吉の眼が鋭く光った、なにか彼の嗅覚に不審なものが感じられた。

「親父、悪いが用を思いだしたぜ」  銭を置いて表に出た。

 猪の吉の視線に、盗人被りの男たちの後姿が見えた。

「臭せえな」  独り言を呟き、裾をからげて猪の吉が跡をおった。

 男たちは軒下の翳をえらび、敏捷に疾走している。

「奴等、忍び者だ」  一目で見抜いた猪の吉が、ひたすら追跡を始めた。

 一団が足を止めた、そこは鶴屋という大手の質屋の前であった。猪の吉が

物陰から見つめた。五名の男が表の軒下に集まり、中央の男が手を振った。

 二人が裏手に廻り、残った三名が周囲を見廻している。緊迫感が漂い、

辺りは人影もなく静まり返っている。突然、店の中が騒がしくなり、女の悲鳴が

微かに漏れてきた。

「野郎ども最近、町を騒がす曲者の一味だな」

 猪の吉が懐中の飛礫を握りしめた、今夜はおいら一人で始末をつける。

 満々たる自信である。表戸が開き二名が素早く店の中に消えた。

 残った一人が気配を絶って見張っている、血の臭いが漂ってきた。

「この江戸で勝手な真似はさせねえ」

 低い忍び声をあげた猪の吉に驚いて、男が匕首を取り出し闇を透かしみた。

 飛礫が夜の闇を割って過たず男の眉間を直撃した、猪の吉が死骸を引きずり

物陰に隠した。  「お頭っ」  中から二人の男が現れ異変を感じ身構えた。

 飛翔音が響き、またもや眉間を砕かれた。

「誰じゃ」  「おめえ達は、江戸を荒らしている連中かえ」

 猪の吉が懐手で姿を現した。

「おのれ、何者だ」  姿勢を低め匕首をかかげ迫ってきた。

「そこまでにしてくんな」  猪の吉が威嚇し飛礫が放たれた。

 苦痛の呻きをあげ道端に転がった、過たず相手の膝を砕いたのだ。

 店内から二人の男が躍り出てきた。

「三人は始末したぜ、命が惜しくば得物を捨てな」  猪の吉が凄味を利かした。

「おのれは何者じゃ」  二人が左右に散り、匕首が闇に煌いた。

「二度とは云わねえよ、得物を捨てな。さっするにおめえ達は六紋銭と名乗る

忍び者だな」  「殺せ」  二人が同時に匕首を翳し襲いかかってきた。

 猪の吉が後方に、二度、三度と反転し匕首の鋭鋒を避けた。

「只者ではないな」  「駿河台で、おめえ達七名を斃した仲間の一人だ」

 不敵にも答え、満を持した飛礫が連続して投じられた。

「ぐっ」  苦悶の声を洩らし、一人は心の臓を直撃され、残りの一人も眉間を

砕かれ絶息した。    「おめえ達は下忍だな」

 猪の吉が、ゆっくりと膝を砕いた男に近寄った。盗人被りの男が苦痛を堪え、

後ずさった。  「何者か白状しねえ」  猪の吉が恫喝した。

「くそっ」  男が匕首を捻るように投げ、すれすれに躱し盗人被りは剥いだ。

 丸坊主頭の男の顔が現れた。  「矢張り、六紋銭の忍び者か」

「おのれは誰だ、何故、おれ達を知っておる」

 男が油断のならない目つきで忍び声を発した。

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Last updated  Jan 31, 2008 08:49:23 AM
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