1178180 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

長編時代小説コーナ

長編時代小説コーナ

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

龍5777

龍5777

Favorite Blog

^-^◆ 思わず にっ … New! 和活喜さん

プロ野球〜ソフトバ… New! クラッチハニーさん

この頃の韓国に来て… New! 韓国の達人!さん

スープカレー New! Pearunさん

いさまろの【1億円稼… Isamaroさん

Comments

 人間辛抱@ Re:何故、安保法制が必要なのか。 (08/09) どうもお久しぶりです。 新型コロナウイル…
 http://buycialisky.com/@ Re:士道惨なり(11)(12/10) cialis muscle paincialis daily use side…
 http://buycialisky.com/@ Re:改定  上杉景勝(12/11) cialis 5 mg prezzo in farmaciaanti cial…
 http://buycialisky.com/@ Re:騒乱江戸湊(04/28) cialis in spanien kaufenavoid counterfe…
 http://buycialisky.com/@ Re:「改訂  上杉景勝」(04/21) what happens if a woman takes viagra or…
 http://viagraky.com/@ Re:士道惨なり(11)(12/10) offshore viagra &lt;a href=&quot; <sma…

Category

Freepage List

Calendar

Mar 3, 2008
XML
カテゴリ:伊庭求馬孤影剣
にほんブログ村 小説ブログ 歴史・時代小説へ クール にほんブログ村 小説ブログへ 励みになります、応援宜しくお願いいたします。

 夕食後に三人は、酒を飲みながら明日の相談をしていた。

「明日は、いよいよ小仏峠じゃ」  求馬が二人を眺めやった。

「旦那、奴等は襲ってきやすかね?」  「わしにも判らぬ」

 求馬も六紋銭の動きが、かいもく見当がつかないようだ。

「旦那、小仏峠で奴等は必ず襲ってめえりやすよ」  猪の吉が断言した。

「猪さん、いやに自信たっぷりだね」

 お蘭が酒に顔を染め猪の吉を見つめた。風呂あがりの浴衣姿が色っぽく眼の

やり場に困る、こうした緊張した旅を続けると女の肌が恋しくなるのだ。

(危ねえ、危ねえ) 猪の吉が酒で気を紛らせるように、湯呑みの酒を飲み下し、

言葉を継いだ。

「この宿場を出ると直ぐに駒木野宿ですぜ師匠、その先が駒木野の関所だ。

出るとすれば小仏峠しか考えられねえ」  求馬が無言で肯いた。

「関所を出ると小仏宿じゃ、その先が難所で知られた小仏峠となる」

 求馬がその先を語り、二人を見つめた。相変わらず醒めた相貌である。

「あたしは旦那に従うだけさ」

 お蘭が桜色の顔で求馬の横顔を見つめている、その顔に女盛りの色香が

湧いている。猪の吉が立ち上がり、軒下の手拭を肩にかけた。

「猪さん、またお風呂かい」  「ああ、もう一度湯に浸かって来るよ」

 猪の吉が廊下伝いに風呂場に向かった、明日は危険な旅立ちとなる。

 せめて二人だけの時間をと考えた、猪の吉の心遣いであった。

 鼻歌を唄いながら浴槽に浸かっている。 

「ご免なさいよ、相湯をお願いしますよ」 

 突然、若い女の声がして湯気の中に、ほんのりと白い裸身が現れた。

 三十前と思える女は裸身を隠さず、乳房と秘毛を朧に見せながら片膝をつき

掛け湯を浴びて浴槽に身を沈めた。豊満な乳房が眼の前に見える。

「旦那は、お一人ですか?」  「いや、連れと一緒だよ」

 両手で湯をすくい顔を拭った、何とも刺激を受ける晩だぜと心に呟いた。

 湯の音が響いてくる、猪の吉が肩まで湯に浸った。

「いい湯ですね、旦那は何処まで行かれます」  馴れなれしい態度である。

「上諏訪だよ」 「江戸のお人ですか、わたしも江戸で奉公していた事がありま

すのさ」  「そうかい道理で江戸の言葉と思ったよ、何処までだえ」

「甲府まで行きますのさ」  微かに笑いの含んだ声が返った。

「道中でまた会うかも知れねえな」

「わたしはお駒といいます、袖すり合うも多少の縁と申しますね。また道中で

お会いしたいものです」  歯切れの良い声を聞きながら浴槽からあがった。

「いい躯をなすっておられますね」

「揶揄っちゃあいけねえよ、もう歳だ」  猪の吉が躯を拭い浴衣をはおった。

「旦那、お名前を聞かせて下さいな」  「おいらは、猪の吉だよ」

 ふり向き答え、お駒と名乗った女を見つけ驚いた。切れ長の眼をした美形で

あった。  「こんな田舎で美人と相湯とはついているね」

「猪の吉さん、あんたも良い男だよ」

 揶揄われ、猪の吉が慌てて風呂場を飛び出した。

 翌朝、旅籠を出た街道で猪の吉が空を指差し叫んだ。

「旦那、空を見て下さいよ」  重畳と連なった山並の西北には灰色の雲が

厚く覆っている。  「天候が荒れそうじゃな」

 求馬が笠越しから眺め呟いた。お蘭も心配そうに西の空を見つめている。

「心配してもはじまらん、兎に角先に行こう。空模様では途中の小仏宿で泊まる

ことにしょう」  三人は銀杏並木の下を西に向かった。

 八王子を過ぎると街道は相模に入る、浅川の橋を渡り右に折れると小仏峠に

至る街道である。幕府は峠の手前に駒木野宿と小仏宿を置き、駒木野に関所

を設けていた。当時の関所は明け六つから、暮れ六つまで開けていた。

 旅人は関所前の溜り場で待機させられ、順次に面番所で人改めを受け関所を

通過したものだ。求馬は二人を伴い番役人に、三人の道中手形を差し示した。

 周囲には指股、袖搦、突棒を持つた足軽が厳重に監視している。

「そこもとが伊庭求馬殿か?」  番役人が横柄な態度で訊ねた。

「左様」  答えつつ懐中から油紙に包んだ大目付の書状を差し出した。

 番役人が不審そうに手にし、見る見る顔色が青くなった。

「一切の取調べなく通行させるべきこと。大目付、嘉納主水」

「これは失礼を致しました。伊庭殿とお供の方々は速やかにお通り下され」

 求馬が軽く一礼し乾いた相貌を見せ関所を通過した。猪の吉とお蘭がそれに

従った。「流石は天下の大目付さまの書状だね」 と猪の吉がご機嫌である。

「無事に通りぬけられましたね」 紺絣(こんがすり)の道行き衣に菅笠を被っ

た女性が声をかけ通り過ぎた。

「お駒さんかえ?」  「はい」  菅笠の下から妖艶な流し目をくれ旅慣れ

た様子で歩み去った。  「猪さん、何時の間に知り合いになったの」

 お蘭が揶揄った。  「猪の吉、あの女と何処で知り合った?」

 求馬が鋭く尋ね、猪の吉が昨晩の風呂場の一件を語り、頭を掻いた。

「猪の吉、あの女の足さばきを見ろ」

「・・・・」  猪の吉の眼光が強まった。

「旦那っ」  「六紋銭のくの一じゃな」  求馬の頬が崩れていた。

血風甲州路(1)へ






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  Mar 3, 2008 11:43:02 AM
コメント(9) | コメントを書く
[伊庭求馬孤影剣] カテゴリの最新記事



© Rakuten Group, Inc.