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カテゴリ:ヤング・マイロン
明日に迫ったナスコボスの処刑を前に、バンブーの救出部隊を自ら率いるゲコクはウィンラッド城の城壁のたもとにある険しい絶壁に体を張りつかせていた。かつて山で暮らし、数々の山を登頂してきた彼の技術が今こそ生かされていた。
ゲコクがまだ少年だったころ家はとても貧しかった。しかもたった一人の妹は重い病にかかり、明日をも知れない状態だった。そこで病気の妹を励ますためにかねてより彼女が欲しがっていたアーゲッキサーヤの人形を盗もうとして店主に取り押さえられた時、偶然通りがかった若き日のコータッツ王に救われ人形を妹のもとに届ける事が出来た。妹は懸命の看病にもかかわらずその三ヶ月後に亡くなったが、最後までその人形を抱きしめていた。ゲコクはきっとその人形も妹と一緒に天国にお供してくれたのだろうと思えてならなかった。 彼はこの時の恩を決して忘れる事はなく、いつか王に報いようとこれまで生きて来た。 そして今その時がやって来たのだ。 アズキンを含むバンブーの救出部隊はゲコクに導かれ強風が吹きすさぶ険しい絶壁を懸命に登って行った。 一方、キョンとレーオ、サクラン、ミーシェのほかバンブーからはクロン、ユーダンたち五名がともにウィンラッド城の秘密の入口から侵入して石の裏階段を進んでいた。 「キョン様、こんな抜け道があるなんて知りませんでしたよ。」 以前、偵察でこの城に苦労して潜り込んだ事のあるクロンは驚きの表情で言った。 「まったくだ、こんな通路があるとは。さすがにこのお城を居城とされていただけのことはありますね?」 ユーダンも同意した。 「そうね。この通路は父のコータッツ王と五年前に亡くなった母上、それと私たち三姉妹とシモン将軍だけの秘密でした。」 キョンは言った。 「この階段の先はどこに通ずるのですか?」 ユーダンの問いにキョンは答えた。 「中階にある武器庫に出る事ができます。」 「ゲコクさんたちの方はうまく行っているかなあ?」 レーオが言うとキョンは答えた。 「大丈夫でしょ、彼の事だから。きっと今頃は城の東に広がる湖を渡ってもう一つの秘密の入口から侵入しているはずです。」 裏切り者がいるらしいという事から今回の作戦は、キョンとゲコク二人だけの秘密になっており、他の者には一切告げられていなかった。 五百段を超える裏通路の階段もようやく終わりに近づき、武器庫の石壁の裏までやって来た。その裏壁の一部にわずかな穴が開いており、武器庫の中の様子をうかがう事が出来た。キョンは武器庫に誰もいない事を確かめると石壁に手を当て、右下隅近くの小さな切れ込みを探り当てた。彼女はミーシェを呼んだ。 「ミーシェ、手伝ってくれる?」 キョンとミーシェはその石壁の切れ込みに指先を潜り込ませると力を込めて引っ張った。 すると壁の一部の石がゴリゴリと音を立てながら引き抜かれた。それからその穴の周辺のいくつかの石をまるでパズルのようにずらしては引き抜いて行き、ひと一人がくぐり抜けられる程の大きさの入口が現われた。 「さ、早く。」 キョンの言葉を合図に一行は次々と武器庫へと潜り込んだ。 その時。 「あっ危ない!」探索魔術でいち早く危険を察知したレーオの叫びが終わらないうちに、武器庫の扉が開きたくさんの兵士がなだれ込んできた。 そしてその最後にアクダイとゲオルグが部屋に入って来た。 「これはこれはキョン姫、お久しぶりですな。なにもこのようなところからおいでにならなくとも、城門からいらっしゃればお迎えに参りましたものを。」 そう言ってアクダイは不敵な笑みでニヤリと笑った。 Copyright (C) 2013 plaza.rakuten.co.jp/zakkaexplorer/ All Rights Reserved. 「雑貨Explorer」 今回のキーワードは「秘密の通路」で76件ヒット。 これがあったら遅刻常習犯の私は重宝したと思う。
やっぱり秘密の通路はスペクタルものには欠かせない。
心が強くなるための秘密の通路かな?
ピースといえばワンピースだがスリーピースって.....知らない。
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