|
カテゴリ:ヤング・マイロン
「コータッツ、よい知らせだ。ナスコボスに加えて先ほどキョンも捕えたぞ。おまけに二女のネコファムは盗賊らしき者たちの襲撃で死によったわ。そして残った二人の娘たちもお前の目の前で処刑してやるわ。」
そう言って勝ち誇ったようにアクダイは笑い、そばに立つゲオルグとうなずき合った。 「なに?それは・・・・・」 さすがのコータッツもこの知らせに膝から崩れ落ち、その場にうずくまると両手を床に押し当て、ぶるぶると震わせ悲しみにあえいだ。 「私の計らいで今頃キョンとナスコボスは同じ部屋で最後の夜を泣き明かしているころだ。今宵はお前にも仲間を連れて来てやったぞ。そいつも明日には処刑してやるから最後の夜をともに嘆くがいい。慈悲深い私に感謝するのだな。」 アクダイは振り向くと家来に言った。 「連れて参れ。」 開かれた鉄扉の向こうに引き立てられて来る黒い影が現われた。 「コータッツ王!」 声の主はナスコボスとともに捕えられ、コータッツの腹心であるシモン将軍だった。 「おお、シモン!」 厳しい拷問に痛む体を引きずって、シモンはよろよろとコータッツに歩み寄ると彼の前にひれ伏して言った。 「申し訳ありません。私が至らぬためにナスコボス様をお守りする事ができませんでした。」 「何を言うシモン、お前のせいではない。悪いのはそこにいるアクダイとゲオルグだ。」 そう言ってコータッツは震えるシモンの両肩に手を置いた。 「ふん、老いぼれと無力な家臣とで一晩慰め合えばいいのだ。明日は皆を処刑した後、コータッツお前も処刑してやろう。お前の唯一残った手勢のセブイン家の居城セブルス城も今包囲させており、落ちるのは時間の問題だ。」 アクダイは待ちに待った日を迎えてようとしている事に満足して、声高らかに笑った。 「キョンとは別部隊でわざわざ飛び込んで来る反抗組織の愚か者どもも、もうじき一網打尽にしてやるわ。そうすればもうお前などに用はない。さっさと始末して、父子で仲良く死の世界に旅立たせてやる。」 ゲオルグもそう言って、背筋の凍る様な陰湿な笑みを浮かべた。 勝ち誇ったアクダイとゲオルグは意気揚々と部屋を出て行き、コータッツとシモンだけが明かりもろくにない、尖塔の頂上の部屋に残された。 「シモン、気に病むではない。実は....」 こう言って密かにバンブーのミズキーを通してもたらされたキョンの作戦やナスコボス、ネコファムの状況を羊皮紙に筆談で伝えた。 驚くシモンの顔色はみるみる赤らみ、今や彼もアクダイ、ゲオルグ打倒の新たな野望に血がたぎる思いになっていた。 しかしゲオルグが探索魔術でこの部屋の会話に聞き耳を立てているため、表向きは悲壮感を装い、「キョン様も、ナスコボス様も囚われ、ネコファム様はお亡くなりになるとは....」と嘆いて見せた。 「シモン、私の形見にこれをやろう。明日はお前にも同じ運命が待ち構えるのだろうが。」 そう言って顔だけはにやりと笑いながら、幽閉されている間にコータッツ自身が作った竹細工の人形を手渡した。 シモンは実によく出来た竹細工の人形を受け取るとしばらく眺めていた。彼は王がなぜわざわざこのような人形を形見にとくれたのか思ったが、ふと思いつき人形の首に手を伸ばし、やがて驚きの声を上げたものの慌てて口をふさいだ。 Copyright (C) 2013 plaza.rakuten.co.jp/zakkaexplorer/ All Rights Reserved. 「雑貨Explorer」 今回のキーワードは「竹細工 人形」で128件ヒット。 幸達さんの竹細工もすごい。やはり竹細工も奥が深い。
これも優雅。
アジア特有の竹を使えばアジア特有のアートになる。
また内田康夫。雰囲気あるある。
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[ヤング・マイロン] カテゴリの最新記事
|