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カテゴリ:ヤング・マイロン
キョンたちは作戦を話し合っていた。
もちろんゲオルグに聞かせるためだけのものではあるが。 「ミーシェ、あなたはクロンが首尾よく戦士の像の下に潜り込める様に、警備兵たちの注意を引き付けてちょうだい。」 「任せて下さい。ちょっと手荒い事をする事になりますが、あいつらの鼻をあかしてやりましょう。」 キョンの言葉にミーシェは久しぶりに大暴れすることがうれしそうに答えた。 ネコファムの付き人として長年仕えたミーシェはもともと、シモン将軍の厳しい訓練をネコファムの妹のナスコボスとともに乗り越えて来た武術の使い手だった。 彼はネコ族チンチラ種でヒト族に比べれば小柄であったが、その素早い動きはとてもヒト族には捉える事が出来なかった。彼が本気で相手を倒す気なら、倒される相手はいつ自分の胸に剣が打ち込まれたのかに気づく事もなく死を迎える事になるのである。 「ところでアズキンたちはどこからやって来るのですか?」 ミーシェは同じ武術の道を目指すアズキンとはことのほかウマが合い気になって聞いた。 彼や他の者はキョンのいう東の湖からゲコク部隊が侵入してくる作戦を信じている事は無理からぬことだった。 「彼らはいったん森に上陸し、そこから東の秘密の入口に向かう手筈になっています。」 キョンは言った。 そのころゲオルグはキョンたちを監禁した部屋に仕掛けた響き石を通して聞こえてくる会話ににやりと笑った。 「キョンめ、敵を欺くにはまず味方からという事だな?だが私にはそんな小手先のまやかしは通用しないぞ。しかもネコファムが死んだように見せかけおって。」 彼は西の通路から進むネコファムが既に三人の刺客を倒した事についてはなぜか気にしている風でもなかった。 「レーオあなたは・・・・・」 キョンが言いかけた時、部屋の鉄扉のかんぬきがガタンと大きな音を立てて開かれる音がした。 アクダイの兵士たちがやって来たようだ。今時何をしに来たのだろうとキョンは扉の方に目をやった。 重々しく扉が開き、扉の向こうから通路の明るい灯火の光が差し込んできた。 そして明るく輝く入口の向こうから三人のヒト族の者の影がこちらへと進んできた。 いや三人というより、二人に両腕を抱えられ、一人の男が足を床にだらりと伸ばしてずるずると引きずられて来るのであった。 「ユーダンさん!」 クロンは慌ててその男のもとにかけだした。 「クロン、おやめなさい。」 キョンの制止の言葉にも耳を貸さずクロンは走りだした。 すかさず兵士の一人がやって来るクロンを蹴り飛ばした。 クロンは床に激しく体を打ち付けられたが、再び立ちあがり兵士たちに飛びつこうとしたが、ミーシェがいち早く彼を抑えて兵士たちに容赦なく切り捨てられることから守った。 騒ぎが収まると兵士たちはユーダンを床に投げ出すと何事もなかったようにさっさと部屋を出て行ってしまった。 慌ててみんなはユーダンのもとに駆けつけ息を呑んだ。眼は腫れあがり、口からは血が溢れ、背中には無数の鞭の痕が刻み込まれて、完全に意識を失っていた。 彼が連れていかれて五時間もたっていた。その間ずっと激しい拷問を受けていたのであろう。 「こんな惨いことを。こんな事をする必要などないのに。」 キョンはなぜか無表情でポツンと言った。 Copyright (C) 2013 plaza.rakuten.co.jp/zakkaexplorer/ All Rights Reserved. 「雑貨Explorer」 今回のキーワードは「傷ついた 兵士」で194件ヒット。 中東やアフリカでは少年兵がこのような過酷な運命に置かれている。
確かに傷ついた兵士が登場した。
正に傷ついた兵士には彼女は天使に見えたことだろう。
硫黄島での日米の戦いを双方の視点(日本側の視点で描いたのが『硫黄島からの手紙』)から捉えた映画。どちらが良い悪いではなく、戦争が悪いのだ。
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