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カテゴリ:グーとタラの宇宙放浪記
ボチコレオ星は砂漠だらけの星というが、実際にはボチコレオ大砂漠という砂漠が一つあるのみである。つまりボチコレオ大砂漠が星全体を覆っているのだ。 宇宙船の修理に時間がかかる埋め合わせで、彼らはボチコレオ星の観光ツアーに早速案内された。観光旅行船が空港を飛び立つとすぐにボチコレオ大砂漠が目の前に悠然と現れ、見る者はその雄大さ壮大さに圧倒され、しばらく釘付けになるほどだった。 が、しかし・・・・・ どう見てもただの砂漠、どっちを見てもただの砂漠、どこまで行ってもただの砂漠ですぐに飽きてしまい、目的地に着くまで5標準時間かかるという事なので、その間宇宙船でやっていた『7だらけ』の続きをして暇を潰すことにした。 もう勝ち目がないグーはゲームを抜けて地球犬のジャスティンと遊ぶ事にした。 「ねえグー、後どのくらいで次の目的地に着くの?」 ジャスティンは自動翻訳装置を通してグーに質問した。 「さあなあ、後4標準時間くらいじゃないか?」 グーは答えた。 「その目的地には何があるの?」 ジャスティンの質問にグーも首をひねった。 「さあ、何があるのかなあ?行ってのお楽しみという事で教えてくれないんだ。そこまで言うんだからきっとすごいものなんだろう・・・・・・多分。」 グーは最後の「多分」という言葉に一抹の不安を込めて言った。何せ先ほど初めて見る大砂漠に感激したのもつかの間、すぐに飽きてしまったくらいだから。 『7だらけ』ゲームが案の定ジョンジさんの大勝利で終わる頃、観光旅行船の機長から目的地到着の案内放送が流れた。 「皆様、間もなく『奇跡樹』生育地に到着です。見学のご準備をお願いいたします。滞在時間は1標準時間を予定しております。」 あまり当てに出来ないとは言え、他にする事もなく一同はいそいそと着陸した観光旅行船のタラップを降りた。みんなが見渡すばかりの砂漠ばかりの景色のどこにその『奇跡樹』があるのかきょろきょろしていると、現地案内人の女性がニコニコして手を振っていた。きっとそこにあるに違いないと思い行ってみると、その女性の足元に高さ40センチくらいの頼りなく小さくやせ細った木が生えていた。 「えっ?これが『奇跡樹』?」 タラは呆気にとられて言った。だがその女性は澄まして言った。 「ええそうです。この40センチの『奇跡樹』の根は何と地中に25キロメートルも伸び、そこにあるわずかな水分を吸収して生き延びているのです。」 それはすごい!・・・・とは思うものの地表に出た木の部分はたったの40センチ。この木の他にはどこを見回しても石ころひとつなくただの砂ばかり。そこに彼ら5人と1匹は1標準時間も何を見て過ごせというのであろう? 強い日差しの大砂漠にポツンと高さ40センチ、幹の太さが3センチほどの、根に比べてあまりにもひ弱な木が頼りなげに立っているだけなのに。 確かに砂漠ばかりのボチコレオ星にとっては脅威の光景なのかも知れないが・・・・・ 仕方なしに周辺をウロウロするだけの彼らだったが、そこでこの星を揺るがす最初の大事件が起きた。
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