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2007.10.01
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カテゴリ:評論・エッセイ

『私と20世紀のクロニクル』ドナルド・キーン

日曜に一気読み。面白かった。
やっぱり自伝評伝伝記のたぐいは子供の頃から好きなんだな、自分。

いまや世界中の英語圏の日本文学の講座で、彼の書いた日本文学史はテキストとして使われている。そして彼が研究テーマとしてきたのはひたすら古典で、近松も平田篤胤も渡辺崋山も、自分にとっては原文読んだことすらない歴史上の人物なのに、ガイジンにスラスラ読まれるとなんか悔しい(笑)。キーンさんの、一見たどたどしく聴こえる日本語は、丁寧に話そうとするがゆえなんだな。

日本語は源氏物語どころか、マニュスクリプトの草書体も読めるそうだし、中国語もフランス語も話せて理解できて、過去にはドイツ語もイタリア語も古代ギリシャ語もラテン語もやってたって、どんだけ? まあラテン語わかればかなりの欧州系の語学は予測がつく範囲なんだろうな。

一時、ケンブリッジにいた頃の話が笑えた。イギリスの名門大学は、すでに死語となっているラテン語や古代ギリシャ語を学ぶ伝統があったから、日本文学に興味を示した学生も、最初に接した日本語は古典で、しかも「古今集」の序文の原文だったというのだ! 20世紀も後半になって!
だからして口語もひたすら古典様式にのっとって、「まじめな男」と言いたくて「ひたすらなをのこ」とか言っていたらしい。激笑!!! だ、だいじょうぶかイギリス人? オックスブリッジで日本文学学んでも、日本じゃ通じないぞ!

スポーツのできない、今だったら典型的な暗くてオタクな子供だったキーンさん。でも勉強だけはいつも一番で、飛び級で奨学金もらって16歳でコロンビア大学行くあたりから、すでに学究の徒としての素質は十分。欲せず求めずひたすら象牙の塔の住人であり続ける。
9歳で父と一緒にヨーロッパに行った経験、日本語通訳として捕虜の調査をしていたこと、インドやシンガポールなど、結構世界中行っているのにも驚いた。

そして軍をやめてから(海軍所属だったにもかかわらず、軍のことは何も知らなかったらしい)、京都に住んで日本文学を勉強しようとあちこち手を尽くす。奨学金も研究資金も期間が終了して日本を去らねばならなくなると、「もう(金がないから)二度と日本には来られないかもしれない」とか思って、飛行機のなかでメソメソしてるんだ(笑)。なんかかわいいぞ。

ところでキーンさんはどうやら独身なんだな。三島由紀夫と仲がよかったからそっち系かと疑っちゃうじゃないか(なんて失礼な)。大江健三郎が一線を引こうとしたのも、そっちの匂いを敏感に嗅ぎ取ったからじゃないのとか(ますます失礼な)。

彼が幸運だったのは、無欲でひたすら研究に打ち込む姿勢を、当時まだ日本文学研究者の白人なんてほとんどいなかったこともあって、周囲の評論家や小説家がほうっておかなかったところだ。志賀直哉、谷崎潤一郎、川端康成、三島由紀夫、阿部公房……もはや日本文学史の中に刻まれている過去の大家との交流はすごい。そして自分より年下の人々がどんどん鬼籍に入ってしまったのに、まだボケもせず85歳から5ヵ年計画で本を書こうとしている。頭が下がる。

ところで不思議なのは、サイデンスティッカー氏のことがほとんど出てこないところだ。海軍日本語学校では同期ではなかったのかな? 仲がよかったと聞いているけど、この本では敢えて避けているのはありありだ。あとがきの時点で、すでにサイデンさんが回復見込みのない状態だったからだろうか。
まあ、川端康成がノーベル文学賞をとったのは、ほとんどサイデンスティッカー氏の功績だし、キーンさんは三島にとらせたくてやっきになっていたから、2人はある意味、ライバルだったんだろうな。
サイデンさんはコロラドの農夫の息子、キーンさんはコロンビア大→ハーヴァード→ケンブリッジで学び、その後も英語圏でずっと教鞭をとっていた典型的なWASPだもんねえ。もう出自からして違いすぎる。自分はどうやらどっちも好きらしい。最近はもう美老年萌えだ。





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Last updated  2007.10.02 08:30:09
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