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カテゴリ:少女マンガ系
『プライド(12)』一条ゆかり 完結巻。すごかった。こうきたか。もう後半涙でぐしゃぐしゃになりながら読んじゃった。とってもご都合主義でドラマティックで感動的で、これぞ王道、ザ・少女マンガという展開。 ものすごい省略技を使っていて、その行間を想像すると、とめどなく泣けてくるのだった。 久々に「ああ、少女漫画はこういうラストもありだった」と思い出した。主要キャラの理想的なバッドエンド。なんか最後の最後でいい人になって菩薩みたいになっちゃうから死んじゃうんだよ、萌ちゃん。心が真っ黒な人は、そのまま突き進まないとダメだよな。改心したり謝ったりするようなキャラじゃないのに、母性に更生を仮託したらだめよ一条さん(笑)。一番似合わない死に方じゃないか。しかも人としては最低な描かれ方をしていた母親までいい人にして殺すこたないのにな。 でも萌えちゃんは死ぬことでプライドを守ったし、周囲のキャラはとにかく全員が史緒ちゃんのプライドを優先しているところが妙ちゃあ妙。だって彼女のような心根の人間はいわば想像上のキャラで、すべての女子のドリームだ。だから男も女もライバルもみんな彼女を大事にし、畏怖し、真の意味で密接なつながりはもてない。一条さんキャラでは最強のはずの持ち駒である蘭丸ですら、彼女をあきらめた。 愛のない男と結婚して、かつて傷つけられた女と夫との間にできた子どもを育てていくって、どんだけドリームなんだよ少女マンガバンザイ!とか思ったけど、どうやら十分な支援とレディとしての扱いを神野さんから受けているうちに、史緒ちゃんの気が変わってきたらしい。おやあ? 最初の頃は生理的にもダメだった気がするけど、一夜を過ごすことすらしないうちに愛情が芽生えてきたのかな? それとも遊びなれていない史緒ちゃんには、かすかな嫉妬=ラブだと思っちゃった? まあでもお家存続と世間体のための結婚て、大概こんなものだろう。 そして考えたら史緒ちゃんはその後もオペラ歌手として世界中の舞台に立つんだろうから実質的には別居婚で子育てなんてしないよな。緑川家の墓を建てたのは神野家かふみよおばちゃんちなのかが気になる(笑)。忘れ形見の赤ん坊はさすがに初老の二人では育てていけないから、せめて墓ぐらい建てさせてくれと懇願した、に500ユーロ!(けちくさっ) 絵の崩れっぷりには愕然としたけど、「死ぬまで女」であることに執着しそうな一条さんらしい作品だったし、楽しかった。お疲れ様でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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本当に最悪な結末。萌の留学が面白かったので、のし上がっていく強い姿がみたかった。
(2018.06.26 07:29:40)
漫画はお嬢様と貧民育ちの対決構図だと思います。私の周囲のキャリア女性にこの漫画にはまった女性がいました。実際私の方が趣味で声楽などやっていたのですがズボン役しかレパートリーがないです。そのせいかお嬢様外見の薬剤師から見下された事はあります。私もそう貧民ではないけど、向こうが男性に虚言癖でオペラアリアが歌えると言い出したときは驚きました。
(2019.01.20 12:27:36)
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