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September 4, 2007
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カテゴリ:森見登美彦


気になる作家、森見登美彦氏の2作目を読了。

今年は、夏の暑さが特に厳しかったように思う。蒸し暑さで、眠りにくい夜も多かった。
こんな寝苦しい夜は、寝床で怪談集を読むのにピッタリだ。
背筋をささらでなぞるような、鳥肌が立ち、ぞーっとするような感覚を肌で感じながら、この本を読み進めた。

この「きつねのはなし」は、京都のとある骨董店をめぐり、繰り広げられる摩訶不思議な物語を収録した奇譚集である。
「きつねのはなし」、「果実の中の龍」、「魔」、「水神」と、四話収録されているが、ひとつひとつの話に、細い見えない帯のリンクがあるような、ないような。その辺りは、読者の想像の世界に委ねられている。

端正で隅々まで神経の行き届いた文体で、淡々と綴られる、つかみどころの無い怪奇な物語。古風でかっちりした文体ながら、著者の技量の巧みさに翻弄される。視覚、嗅覚、触覚まで揺さぶられ、ぬるりとした得たいの知れないモノの恐怖に震え上がる。作者の織り成す世界に足を踏み込んだ読者は、京都という古の土地に、それぞれが持つ様々な想いを馳せることになるだろう。

私は京に生まれ育ったが、森見氏の描く「京都感」というのを、彼の作品を読む度、懐かしくも、また、実に「新鮮」にも感じる。著者の目線は、京都の一大学生として捉えた京都感であり、地元に生まれ育った者が感じるそれとは、若干隔たりがある分、その思いが強くなるのだろう。

私が、幼少からごく自然に慣れ親しんだ古の祭事、行事、神社仏閣、生活様式も、著者ならではの捉え方が微妙に違ってるからこそ、生まれてくる物語の数々。土着の人間からは、あまりにも生活に密着し過ぎて、こんな想像力豊かな奇譚集は決して生まれないよう気がした。
酒粕を火であぶって食べるシーンもたびたび登場し、私を喜ばせてくれた。

彼が、こんな風に京の街を見ているんだという発見と、同時に出て来る慣れ親しんだ地名・町並みの文学的描写が、たまらなく心地良く、また手にとって読んでみたいと思わされる。

「果実の中の籠」が一番しっくりと、私の感性に馴染んだ。お気に入りの作品である。他の作品もすごく気になっている。図書館での他の予約本が早く手に入らないかと、待ち遠しい毎日である。

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Last updated  September 4, 2007 01:37:42 PM
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