テーマ:障害児の親として(1425)
カテゴリ:カテゴリ未分類
ADHDという言葉は、危険な言葉だと思います。
幸いにも小学校入学前に、ADHDを指摘されている場合のことを、まず想定してみます。 以前は、認識が浅い学校が多かったですから、「ADHD」とだけ書いてある、医師の診断書を、ただ学校側に提出しても、それは学校側を戸惑わせてしまうだけのことがありました。 今では、だいぶ国をあげて、啓蒙活動がすすんできていますが、以前には、彼は「ADHD」だ、ということだけがクローズアップしてしまい、「ここは、教育機関であって、治療機関ではない」と言われ、発達障害児専門の学校・学級へ行ってもらおう、との結論を出してしまうことも少なくありませんでした。 信じられないのですが、今でもあります。 しかし、中途半端な理解ほど逆にやっかいなものはありません。ひとり一人違う子どもの状況を、ワンパターンに捉えてしまい、「ああ、あのADHDね」と勝手にイメージを固定されてしまいます。 とにかく、専門家は、東北なら数名しかいないくらいなのですから、聞きかじりの学校の先生に「診断」「処方箋」が書けるはずも、読み解けるはずもないのです。よっぽど、白紙の目で子どもを見てくれる先生の方が、適切な対策が打てるのです。 なぜかというと、ADHDというまだ不確かな学術用語や、理論に目が向いてしまい、肝心の子どもそのものに、目が向けられなくなってしまうからです。 たとえ、発達検査等の所見を詳しく書いてある書類をみせても、かえって、その書いてある資料にとらわれすぎて、それを100%重大視してしまう恐れがあります。そのときもし、診断した医師と別の医師や専門家に、学校側が尋ねたりして、診断書に書いてある意味を逐一チェックしていくと、ますます、勝手な概念が一人歩きし、通常学校では指導不可能という思いを強くされることがあります。 専門的所見は、本来、実践の場で活かしていける形で伝えられなければなりません。単なる学術用語の羅列では、逆効果なのです。 ですから、何としてでも、それまでお世話になった、子育て支援の保育士・幼稚園教諭、医師、保健師、臨床心理士などに直接、申し送りをしていただかなければ、とんでもないことになります。 ADHDと一言で言っても、一人ひとり千差万別だからです。 そして、一人ひとりに合わせた教育プランを実施してもらわなくてはならないからです。 個別教育計画と言っても、実際には、指導方法について特別に研修を受けた教員でないと、なかなか対応が難しいものがあります。従って、担任の先生がそうでない場合、クラスにもう一人、先生が必要です。 でも、ただ、人を配置すればいいのでは、もちろんありません。無神経な補助教員が、一人にべったりとついていては、他の子と壁をつくり、ストレスをためてしまいます。 当市でも、そのための補助教員の募集がありますが、半年か一年限りの「雇用対策」であります。信じられないことです。お上からの指示で、教育委員会は仕方がなく適用しているのでしょうが、為政者の無神経こそが問題です。 しかし、補助教員配置を親御さん側が、学校側にお願いするのも、実際問題、難しいことです。これも、今までお世話になった専門家の先生方から学校に説明していただきましょう。もちろん、親も同席して。 その際、親御さんは、生活上の、子どもの苦手なこと・得意なこと・好きなことなど、先生の参考になるであろうことを、できるだけ具体的に、ペーパーにまとめ、担任の先生に渡すべきでしょう。 さらに、保護者会などで、他の保護者への説明が必要な場面が想定されます。辛いでしょうが、親御さんご自身が説明される必要がありますが、ここでも、一人では立ってはいけません。お世話になっている専門家、親の会のお仲間など、バックアップしてくれる方がそばにいてくれることが必要です。 こういう丁寧なことをしても、それでも、学校や先生・保護者の理解を得られず、孤立してしまう家庭もあります。その際、かつては適切な教育を受ける権利を求めて家族が裁判を起こすということもありました。それも最終手段としてはあり得ますが、その精神的・経済的負担を考えると、できるだけ避けたいものです。 その一方、劣悪な学校教育環境に甘んじて耐えて、義務教育を終えるお子さんも大勢います。これも、論外です。 どうしようもなくなったら、あれこれ悩むより、専門家に相談しながら、まず敵の本丸である、地域の教育委員会に当たることをおすすめします。その地域によって、窓口がいろいろでしょうが、相談にのってくれる部署があるはずです。 その際、くれぐれも、学校や先生への一方的非難にならないように気を付けて、客観的事実を話すようにしましょう。あくまでも、そこは敵地なのですから。 そして、その地域で改善の動きがあるか、可能性はあるのかを見極めるのです。 同じ地域でも、隣の学校は、ガラっと違う風土をもっている場合があります。そして、学区制度を見直し、柔軟な姿勢をとってくれる地域も増えています。 特定の学校と泥沼の戦いをするよりは、可能性を見極め、早いとこ、転校をするのが一番だと、私は思います。 これら、すべての活動に、第三者を入れることを強くおすすめします。当事者同士ですと、必ず熱くなってしまいます。 それから、他の保護者への説明会と、クラスメイトへの説明会を、別に開かせていただき、(これも誰かのバックアップをいただきながら) でき得れば、みんなを協力者に仕立て上げられれば、最高ですね。 その意味でも、親御さんは、クラスの顔にならなければいけません。学校から足が遠のくなんて、もっての他です。 誰もが、その子の背後に、親御さんや家族の顔を思い浮かべ、何とかしてやらなくちゃ、と思われるまでに、あらゆる人にご自身を売り込むべきです。そうです。セールスマンになるのです。 校長先生・教頭先生にも、給食のおばさんにも、事務室の人にも、用務員さんにも、職員室の他の先生にも、地域の交通整理のおじさんにも。田中角栄さんも、そうしたではありませんか。 どこで助けてもらうのか、わからないのです。 たいへんなようですが、慣れると、それはそれは、楽しいものですよ。 以上、とっくに実行されている方も多いと思います。何せ、私はその方々からのアドバイスで、こんなお話をさせていただいているのですから。 でも、親御さんご自身が、人と接するのが苦手でしたらどうしましょう。 大丈夫、道はあります。 きっと、私のようなおせっかいな、「寅さん」があなたの側にも、きっといます。同じ悩みをもつ親の会は、ほとんどの県にできている? かなあ? あるような気がするんだけど。 とにかく、思い切って、SOSを発信しましょう! 「押してもだめなら、引いてみな。それでもダメなら回してみな」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
|
|