勇治からのはがきがやっと届いたとき、たまらず金子の目から嬉し涙があふれます。はがきには、体調を崩し数日間、静養していたことと、金子の写真を受け取ってうれしかったこと、手紙を出せなかった謝罪の言葉がありました。
すぐに金子は返事を書きます。
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おはがきいただきました。お許しくださいませ。
私は貴方を一時疑いました。
もうお返事をいただけないなら、すっかりあきらめて、ただ自分ひとりの力を信じて進もうと決していました。
お便りをいただけて、こんなにうれしいことはございません。胸がいっぱいです。
寝ることすら忘れて勉強なさっているご様子、貴方は心配しないでとおっしゃいますが、心配で心配でたまりません。
貴方がお弱ければまたいっそう、貴方のことが思われます。
私は貴方が大好きでたまらないのです。最初にお便りをいただいたときから。
文は人なりというのは、本当のことだと思います。
私は生一本で熱情的で、生涯を意義あらしめたいと、目的に対して勇気を持って進む人間です。けれど、あなたの情熱に比すれば情けないばかりです。
貴方のような偉大な男性と、私ははじめて出会いました。貴方のよき理解者であり、友でありたいと望んでいます。
古関様、貴方の手で、私に貴方の友としての資格を与えてください。絶えず導いて下さい。
貴方のお手紙を胸に抱き、私は今、嬉しさに涙をあふれさせています。
金子
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数日して、熱列な手紙が戻ってきます。
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Last updated
2020.05.25 23:19:33
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