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楽天・日記 by はやし浩司

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2006年11月09日
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カテゴリ:日々の随筆
【MTさんへ、はやし浩司より】

 私も、若いころ、あちこちで、ひどい目にあいました。おかげで少しは、利口になりました。が、それが(現実)というか、(外国)なのですね。日本の常識は、どこかぬるま湯的。外国では、通用しません。

 少し前にも書きましたが、アメリカ人は、道に迷っても、ぜったい、見知らぬ人には道を聞きません。自分で地図を開いて、それとにらめっこをしながら、目的の場所をさがします。で、あるとき、私が、「どうしてそのあたりの人に聞かないのか?」と聞くと、そのアメリカ人は、こう教えてくれました。

 「相手の人がこわがるから」と。

 ご存知ですか? アメリカでは道を聞くフリをして、その人に近づき、ピストルで脅(おど)してお金を奪うという犯罪が、少なくないそうです。ばあいによっては、ズドン!

 が、日本では、中学校で使う英語の教科書などには、道をたずねるという英会話が載っていますね。「郵便局は、どう行けばいいですか、教えていただけませんか?」「この道をまっすぐ行って、三つ目の角を、右に曲がってください」と。

 しかしそんなことをたずねるアメリカ人は、いません。つまりあれほど、ムダな英会話というのもないということになります。

 で、MTさんのメールを読んでいて、感じたこと。……言うなれば、中国は、自己責任の国ということでしょうか。あるいは社会制度そのものが、まだ未成熟? 日本では、大雨が原因で洪水が起きても、住民は、市を訴えたりします。「行政の怠慢が原因で、洪水になった」と、です。つまりそれだけ、日本人というのは、(お上)に対して、依存性が強いということになります。

 それがよいのか悪いのか、私にはわかりませんが、こうした依存性は、教育の場にも、たびたび見られます。

 少し前にも書きましたが、ある小学校で、こんな事件が起きました。

 ある子ども(小1、男児)が、学校の帰りに、同級生に石を投げられ、ケガをしたのです。たいしたケガではなかったのですが、母親が、それに反発。翌日、学校へ行き、担任に、「もっとしっかりと、子どもたちを監視してほしい」と申し出たそうです。が、その先生は、正直な人だったのですね。その母親に、こう答えたそうです。

 「そこまでは、できません」と。つまり「帰り道のことまでは、責任を負えません」と。

 その言葉に、母親はさらに反発。今度は、その足で、校長室まで行って、校長に抗議したそうです。きっと「あの先生は、無責任だ」とか何とか、そんなようなことを言ったのだと思います。

 しかし、実際問題として、先生が、そこまで監視するのは、不可能です。で、その先生は、その日の終わりの会のとき、子どもたちの前で、「昨日、○○君に石を投げたのは、だれだ」と、言ってしまったというのです。

 が、これがまたまた大問題に発展してしまいました。

 それを聞いた母親が、「そんなことを先生がみなの前で言えば、うちの子がいじめにあっているということが、みなにわかってしまう」「ますますいじめられるようになってしまう」と。

 ……こうした一連の母親の行為の向こうに、私は、日本人独特の、あの依存性を感じてしまうのです。もし自分の子どものことがそんなに心配なら、自分で、自分の子どもの送り迎えをすればよいのです。多分、中国人なら、そうするでしょうね。しかしそういう発想は、日本人には、ありません。

 「何でも、かんでも学校」という発想です。たまたま今夜も、NHKテレビで、国語力についての報道番組がありました。最近、若者たちの国語力が、低下しているという内容のものでした。

 その中で、ある作家(○○賞受賞者)が、こうコメントを述べていたのには、驚きました。「学校での基礎教育を、もっと充実すべき」と。

 ここでも、また「学校」です。しかしどうして「学校」なのでしょう。私なら、「母親の言葉教育から始めるべき」と言うでしょう。あるいは「母親の言葉教育を、もっと充実すべき」と言うでしょう。

 言うまでもなく、子どもの国語力、なかんずく会話能力を決めるのは、母親自身の国語力だからです。その国語力が、子どもの国語力の基礎となります(※)。

 わかりますか?

 「自分で何かをしよう」と考える前に、「お上(=学校)に何かをしてもらおう」という発想です。こうした発想が、日本中の、すみずみにまで、行き渡っている。日本人の骨のズイのズイまで、しみこんでいる。

 (外国)は、もっときびしいですね。日本人の私たちが考えているより、はるかにきびしい。MTさんからのメールを読んでいたとき、別の心で、そんなことを私は考えていました。ちがうでしょうか?

 ……ともあれ、お元気そうで、何よりです。しかし、MTさん自身がそうなのですから、ご主人は、もっとたいへんな経験をなさっておられるかもしれませんね。風習や制度がちがうというより、文化そのものがちがいますから……。むしろ戦前の日本人のほうが、中国に同化しやすかったかもしれませんね。日本人は、よきにつけ、悪しきにつけ、戦後、アメリカ型の西欧文明を受けいれてしまいましたから……。

 今、MTさんが感じておられるギャップというか、カルチャ・ショックは、その狭間(はざま)で生じているのだと思います。おおいに頭の中で火花を飛ばして、それを楽しんでください。少なくとも、お子さんたちには、たいへんよい刺激になっているはずですから……。(少し、無責任な意見で、すみません。)

 で、日本は、今、秋たけなわといったところです。暖房はまだ必要ありませんが、ひんやりとした寒気を感じる毎日になりました。

 また、どうか、上海の様子を知らせてください。よろしくお願いします。楽しみにしています。

 (まだ転載許可をもらっていないのに、楽天の日記のほうに、MTさんのメールを紹介してしまいましたが、お許しください。多分、いつものように了解してもらえるだろうと思い、勝手にそうさせていただきました。ごめんなさい!)


(注※)子どもの国語力について






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最終更新日  2006年11月09日 07時38分45秒
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