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楽天・日記 by はやし浩司

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2008年09月25日
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カテゴリ:家族のこと


●金の奴隷

++++++++++++++++++H.Hayashi

金の奴隷にも2種類ある。
プラスの奴隷と、マイナスの奴隷。

プラスの奴隷というのは、金の力にものを言わせて、
得意になるタイプ。

マイナスの奴隷というのは、いわゆるケチ。
貧乏であることを売り物にして、(本当に貧しい人もいるが)、
始終、チマチマしている。

++++++++++++++++++H.Hayashi

● プラスの奴隷

若いころ、こんな社長がいた。
日本全体がバブル経済に向けて、狂ったように走り出したころのこと。
会社の主だった社員はもちろんのこと、取り引き先の人や、何と近所の人たちまで招待
して、台湾や香港へ旅行していた。

私はそのときその旅行の世話と、通訳をしていたので、それがどんな旅行だったかを、
よく知っている。
その社長は、たとえば大きなレストランに入ったりすると、「チップ」と称して、
1000円札を、パパーッとあたりにバラまいたりしていた。
私はそれを見てあきれたが、社長は、得意満面だった。
そういう形で、その社長は、自分の力を誇示していた。

プラスの奴隷になると、金持ちであることを、自慢したくなるものらしい。
親戚や縁者を金銭的に援助したり、ものを買い与えたりする。

しかし誤解してはいけない。
だからといって、利益を得た人たちが、それでその人に
感謝しているかといえば、そういうことはない。
尊敬しているかといえば、そういうこともない。
金(マネー)の力は、ものを動かす力はあっても、心を動かす力は弱い。
恐ろしく、弱い。

前にも書いたが、こんな話を聞いた。

● 金(マネー)の力は、弱い

長い友人に、K氏という人がいた。
昨年、脳梗塞で倒れ、そのまま他界してしまったが、その地域の開業医として、かなりの
収入を得ていた。
で、そのK氏のもとに、K氏の親類たちが集まってきた。
いつの間にか、K氏が、そうした親類たちの金銭的なめんどうをみるようになっていた。

K氏はいつも私にこう自慢していた。

「弟と妹に、4人の息子や娘たちがいるが、みんな私が大学を出してやった」と。
学費を援助したというのだ。
K氏には、そういう形で、甥や姪のめんどうをみるのが、生きがいだったようだ。

が、そのK氏が他界した。
突然の死だった。
私は通夜と本葬の両方に参列させてもらった。
しかし、である。
K氏の兄弟らしき人たちは来ていたが、K氏が学費を援助したと思われる若い人たちは、
来ていなかった。
そのことをK氏の妻に確かめたとき、「そんなものだろうな」と思った。

……こう書くからといって、K氏が「金の奴隷」だったというのではない。
私が書きたいのは、金(マネー)の力は、所詮、その程度のものということ。
よい例が、日本政府がしている国際援助。
国際援助してやって喜ぶのは、その時点の為政者(政治家)だけ。
国民のところまで、日本の(心)が届くことは、まずない。
むしろ為政者たちは、それを自分の手柄として、日本から援助があったことを、
国民から隠そうとする。
そういう例は、ゴマンとある。
というより、それが「ふつう」。

同じようにK氏が学費を援助した、先の息子や娘たちにしても、学費の出所さえ
知らなかったのではないか。
K氏の兄弟にしても、息子や娘たちには、それを黙っていた可能性が高い。

私はそういう葬儀を見ながら、ワイフとこんな会話をしたのを覚えている。
「Kさんが、こういう事実を知ったら、悲しむだろうね」と。

● ある社長の話

さて話をプラスの奴隷にもどす。

レストランで1000円札をバラまいた社長の会社は、バブル経済がはじけてまもなく、
不渡り手形を2度出し、そのまま倒産。
一時、小さな会社を再興したが、それも、半年足らずで、倒産。
そのあとは市内のマンションに移り、そこで生活をしていた。

私がその元社長に呼ばれて、再び会ったのは、それからちょうど1年目のことだった。
相変わらず、高拍子というか、親分風を吹かしていたのには、驚いた。
話を聞くと、台湾から梅干を輸入したいので、貿易を手伝ってほしいということだった。

私は私なりの方法で、すぐその可能性を調査した。
香港にも、台湾にも、私のパートナーがいた。
が、結果は、「やめたほうがいい」だった。
理由はいろいろあった。

それを元社長に伝えに行くと、私の話を半分も聞かないうちに、元社長はそばにあった
コップを床にたたきつけて、突然、私にこう怒鳴った。
「お前は、オレの恩を忘れたのか!」と。

「恩」というのは、私をあちこちの海外旅行に連れていったことをいった。
私はそそくさと、元社長のマンションをあとにしたが、それからも3、4回、怒りの
電話がかかってきた。

「金の奴隷」というのは、そういう人をいう。

● プラスの奴隷vsマイナスの奴隷

そこで、ではプラスの奴隷とマイナスの奴隷は、どこがどうちがのか。

話が少し外れるが、一般論として、大きく儲ける人は、その一方で、大きく損をする。
「儲け」と「損」は、つねに表裏一体となっている。
ここに書いたK氏にしても、たしかに「損」はしたが、もう少し若いころには、当時は
まだ珍しかった大型クルーザーを所有していた。
伊豆と那須に、別荘をもっていた。
市内にも、数か所、マンションを所有していた。

K氏にしてみれば、甥や姪の学費など、(小遣い)の範囲だったかもしれない。
ともかくも、「損」を気にしていたら、大きく儲けることはできない。
それに「損」が、つぎの「儲け」の原動力になることもある。
私も、似たような場面に出会ったことがある。

何かのことで損をしたりすると、「ちくしょう」と思って、さらに仕事に精を出し
たことがある。

では、マイナスの奴隷とは?

わかりやすく言えば、小さな世界に閉じこもり、チマチマ、ケチケチと生きている
人たちをいう。
損もしないが、さりとて大きく儲けることもない。
たいていは小銭の守銭奴となって、毎日貯金通帳を見ながら暮らす。
私もその仲間だから、偉そうなことは言えない。
だから私も含めて、このタイプの人は、大きな仕事ができない。

● 金(マネー)に毒される人たち

どちらであるにせよ、金の奴隷たちは、金(マネー)の奴隷になりながら、奴隷に
なっていることにすら気がつかない。
たとえば前にも書いたが、テレビの人気番組に「お宝xx」というのがある。
視聴者がもちよった品物や絵画に、その道の鑑定家たちが値段をつけるという番組である。

あの番組による影響は、すさまじかった。
私自身もいつの間にか、影響を受けてしまった。
たとえば絵画にせよ、それがすばらしい絵画かどうかという判断をするよりも先に、
「値段はいくら?」「有名な画家の描いた絵か?」という視点で、見るように
なってしまった。

中身よりも、外見。
外見よりも、評判。
評判よりも、値段。
「この絵は、300万円だから、すばらしい」
「あの絵は、無価値だから、見る価値もない」と。

しかし テレビ番組を責めても、意味はない。
ああした番組が人気番組であるというのは、それをささえる視聴者がいるからに
ほかならない。
つまり金の奴隷が多いから、ああいう番組は、人気を博す。
しかしこれは人間にとって、悲しむべきことと言ってよい。
理由の第一。

● 失うもの

金の奴隷になればなるほど、ものの本質が見えなくなる。
絵画を例にあげるなら、その絵画のもつすばらしさがわからなくなる。
あるいはすばらしい絵画、(絵画のよしあしは、あくまでも個人的嗜好によるもの
だが)、そのすばらしさを判断できなくなってしまう。

同じように、成功、失敗も、金銭的な尺度でしか、みなくなってしまう。
「あの人は金持ちだから、すばらしい」
「この人は、貧しいから、すばらしくない」と。

さらにそれが拡大してくると、自分自身の人生まで、金銭的な尺度でしか、みなくなって
しまう。
幸福の尺度さえ、相対的なものとなる。
「隣の人より、よい生活をしているから、私は幸福」
「隣の人より、小さな家に住んでいるから、私はみじめ」と。

そういう生活が基本になっていると、「生きる」ことそのものが何がなんだか、わからなく
なってしまう。

● 日本全体が、金権主義国家?

が、それだけではない。
一度金(マネー)に毒され、金の奴隷になると、それから抜け出るのは、容易なことでは
ない。
価値観、さらには人生観、生きる哲学すらも、それに固定されてしまう。
政治だって、そうだ。

日本は一応、民主主義国家ということになっているが、実際には、金権主義国家。
たまたま今日、AS総理大臣率いる、AS内閣が発足する。
今朝の新聞を読むと、政治的イディオロギーなど、どこにもない。
「景気回復」「景気刺激策」などなど、すべて、金(マネー)、金(マネー)、金(マネー)。
金(マネー)にまつわる話ばかり。
政治そのものが、金の奴隷たちの「マスター(主人)」として君臨している。

金の奴隷……プラスの奴隷と、マイナスの奴隷がいる。
今朝は、それについて考えてみた。
(080925)





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最終更新日  2008年09月25日 09時09分21秒
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