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カテゴリ:映画
映画字幕翻訳の第一人者の戸田奈津子は語る。
「地獄の黙示録」の映画を訳すときのことはとても意気込んで一生懸命にやったが、字幕というのはとても難しい。紙の上で100点満点と思っても、動く画面にのっかると別のものになる。そこら辺はやってみないとわからないだろうが・・・。紙の上の文字と画面の一部になった時の文字と違うものになり、別の命をもつ。そんなことはやってみないとわからないわけで、つまり下手だと水と油になってしまう。画面にスッと日本語がのっかってこない。そこら辺のことが苦労した。 振り返ったら20年、でもそんなにかかると思ってなかった。もしかしたら明日、もしかしたら明日、とその時点においては思っていた。でも叶わないから、落ち込んだり不安になるが他にやりたい事がないわけである。周りの人はそんなうだつの上がらないことに賭けてないで、この仕事どうと色々言ってくるが、全然魅力がないからやりたくないわけである。あるいはこの男と結婚したらどう?とか言われても、結婚したくなく断るわけである。するとやはり映画の道しかない。映画の仕事は評論家とか宣伝部に勤めるとかいろいろあるが字幕しか頭になかった。映画でも他の仕事は全然興味なかった。 洋画が好きで英語が好きなため英語は勉強したわけである。きちんと力つけていたので活かしたいので映画を見ると字幕になってしまう。 人間、好きな事を追求しない人生なんて失敗だと思う。どんなことでも好きな事やることが一番。失敗の可能性はあるが・・・。20年良く耐えたというが、いつか叶うというバラ色だけではない。何かにかけるということはギャンブルで五分五分であり失敗する事もきちんとみていないともし本当に叶わなかった時に、ばら色のことを考えていたらもう立ち上がれない。だからそれはよく自分では分かっていた。でも当時は日本も高度成長期で、どんなに貧乏になっても飢え死にはしないという開き直りはあった。ゴミを漁っても生きていける、だから怖くないっていう意識である。 20年間本当にやれなかった仕事が堰を切ったかのようにきたので、本当にうれしいわけである。だから何を頼まれてもNOと言えない。好きだからからスピルバーグの新作だとかもってこられると、こんどどんな映画かなとか、すぐにやりたくなるわけである。だからこの20年間はとにかく仕事漬けである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008年01月05日 20時49分49秒
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