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2017年03月18日
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星働く女性たち…「男装の麗人 伊音」…最終処分の半額…駆け込み寺居酒屋ポン吉 39話

マスターの音吉は毎日のようにこの大手のスーパーに食材を買いに来るのが日課になっていた。その前に2階の衣料品売り場で冬物最終処分のような特価品を見つけては買っている。冬物、夏物なら来年の冬と夏に着られるからだ、ただ、音吉はそんなに貧乏ではないが、なぜか?安い物を買うということがストレス解消になると信じている変わった性格のようだ。

その冬物最終処分セールには当初価格の12800円の衣類が3000円で売られていた。音吉は淡茶のダッフルコートを選んでレジに持っていくとそのレジの女の子が、
「あらら、JR西大路駅前の「ポン吉」さんのマスターではありませんか?」
「はい、そうですが…」
「いつも「洋風居酒屋ポン吉」のブログを拝見しています。店の前をいつも通勤しているのですが、なかなか女1人では入りにくくて…」
「そんなことはありませんよ~たいがい女性は1人のお客さんが多いですから」
「そうでしたか~ああ、このダッフルコートですか、これ午後4時半から30分間のタイムサービスで半額になります」

音吉が時間を見るとまだ3時だった、そこでそのレジ係はこれ私が買って今夜お店に持っていきますとなった。音吉はそれなら儲かった分の1500円でビールでもワインでもお好きな飲み物を5杯サービスしますと約束をしていた。その夜、音吉のコートを持って来た女性は「伊音」と名乗り年は25歳だと自己紹介をしている。この伊音は背がすらりと高い色白の美人だった。その伊音が持ってきたダッフルコートを店で着たが、ママの幸子も伊音もよく似合っているいっている、それを店のブログに載せると幸子が写真を撮ってくれた。

その後、この伊音はママの幸子と気が合うようで週に2回は店に来るようになったが、そのママから音吉にこの伊音を週に1日だけアルバイトをさせてほしいという申し入れがあった。音吉は、
「はいはい、それはいいよ~伊音さんはまだ25歳とこの店では一番若いからすぐに人気者になる」
「あらら、私が39歳で悪かったネ、音吉どん」
「いゃいゃ、そんなことは言ってはいない…」
「ところがその伊音さんは店では男装ででたいといっているのよ~マスター」
「男装…オカマの反対の男装?」

幸子はその伊音から直接伊音の悩みを聞いていた。伊音はまだ医療機関などの診断結果はないが、自分はどうも性同一性障害ではないかと思っている。今まで好きになった人はすべて女性でまだ男性とのセックスはなく処女だと告白していた。それで「男装とレズ」の同好会に入って男装を密かに楽しんでいるといっていた。

その伊音は火曜日に店に入ることになった。伊音は宝塚の男役のような衣装で現れたので女性客には大人気になっていた。そのスーツの胸の膨らみは元々貧乳らしくてそんなに目立たない、その時たまたま店にいた客の30歳の麗子と気が合うのか、その後、この2人でよく店に遊びに来るようになっていた。幸子の情報によるとこの麗子はレズだという。そこで音吉がママに、
「しかし、伊音さんの好きな相手は女性になるが、その麗子さんの好きな相手は男装の男になるので少しこれは矛盾するのではないかい?」
「そうよね~私もそう思って聞いたら、なんでも麗子さんは男装する女性が好きだからこれは矛盾しないといっていたわ…」
「しかし、麗子さんは伊音さんを女性として愛しているなら、これは伊音さんにとっては侮辱になるが?」

そうこうしているうちにこの2人は一緒に住むことになったという。そこで伊音は音吉に相談をしていた。伊音は、
「麗子さんは私がまだ男の人を知らないことに気を使ってまずは私がそれらのことを体験してほしいといっているのです」
「それらのこと?、しかし、伊音さんは男が嫌いなんですよネ…」
「はい、麗子さんがいうのにはこの世界に私を引き込んだ責任がある。私が男の人のあれこれを知った上でそれを判断してから私との同棲を決めてほしいというのです」
「つまり、一応女としての体験をした上でのことですか?」

その話を横で聞いていた幸子は、
「音吉どん…出番ですよ~」
「おぃおぃ、なんで俺がそんなリトマス試験紙になるの?それでやっぱし男なんてくだらんと思われたら俺のプライドがズタズタに切り裂かれる」
「何をいっているの!音吉どん、伊音さんは若い処女ですよ!これから先に天地がひっくり返ってもそんなチャンスはありません。しかもここは仮にも「駆け込み寺居酒屋」といわれているのに若い女性が困っているのに助けないの…」

こんなウソのような本当の話になって伊音と音吉は南インターのラブホテルにいた。この伊音は男との関係はないが、レズの麗子にはかなり色々仕込まれているから音吉もそんなに罪悪感はなかった。そして音吉の愛撫に身を任せて無事に処〇喪失の儀式は終わっていた。

それから数日した火曜日には伊音のアルバイトの日になったが、なぜか?伊音はいつもの男装ではなく高校の制服のスカート以外には履いたことがないという花柄のスカートを履いてきた。これに幸子は、
「伊音ちゃん…どうしたの?そのスカートは?」
「はい、ママ、どうも私は性同一性障害ではなく、私が勝手にそう思っていただけでした…」
「あらら、それはよかったけど…それはどうして?」
「はい、音吉さんに抱かれて私はやっぱり女だということがわかったからです」
「それなら麗子さんとのことはどうするの?」
「はい、それはそれとして麗子さんともお付き合いをすることになりました」
「あらら、まだ若いのに両刀使いなの?…それはそうとあの音吉どんはどうだった?」
「はい、それはそれは優しくて…ママ、音吉さんを私にください」
「伊音、あんたね~たった今、この店のアルバイトをクビにします!、二度と店にこないで!」
「………………」

なぜか?幸子のご機嫌が悪くて今回は後味の悪い結末になった。
         


         

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最終更新日  2017年03月18日 07時07分18秒
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