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カテゴリ:バスク~木版ハンドプリント
話はトカットのタシュ・バスク(木版ハンドプリント)に戻ります。
「トカット・イチ・ドルス」は、名前の通り、ぐるっと囲まれたボーダーの中が正方形の大きな版で埋め尽くされたデザイン。 正方形の大きな版はお花と葉のモチーフから出来ているもので、ただそれは時代や職人さんによって少しずつ少しずつ形を変えて今日まで来たようです。 「トカット・イチ・ドルス」から派生したモデルに「トカット・ウズムルス」というのがあります。 「ウズム」は「葡萄」、「ル」は「~のある、~の付いた」、「ス」は「トカットの~」の意味で、「トカットの葡萄のモチーフがある(ヤズマ)」のことを指します。 ![]() 基本的には「トカット・イチ・ドルス」と同じです。 メインの正方形の版に少しだけ変化があり、最初はお花だった部分がだんだん花の数が増えて「葡萄」になっていったようです。 こんな感じに。 ![]() 小花が3つ並んでいます。 別の職人さんが、これを見て、「よし、俺はもっと手の込んだものにしよう」と小花の数を3つから8つに増やしました。 ![]() これはなかなかいいぞ・・・・と、もっと花の数を増やしてみようと12個になりました。 ![]() これを見た他の職人さんが「葡萄の実をモチーフに入れたのか、華やかになっていい感じだ、俺も今後は葡萄のモチーフを加えてみよう」と、小さな複数の花だったものが気が付いたら「葡萄の実」になっていた・・・・ということなんでしょう。 こういう変化は他のモデルでも見られます。 わかりやすい例が「アスマ・ヤプラウ」、つまり「葡萄の葉」という、これもトカットに古くからある代表的なモチーフの一つですが、最初は葡萄の実と葉と蔓だったのが、葡萄の実の部分がケシのような大きな花に変わり、蔓が消え、葉だけがそのまま残り、最終形のモチーフからはこれがなぜ「葡萄の葉」なのかが全くわからない・・・というものです。 葡萄から花へと逆バージョンですが、現在までに数多く作られたモデルであるため、年代ごとに追っていくと、その変化が顕著でとても面白いです。 「トカット・イチ・ドルス」も作り手の、変化を求める気持ちや、他の人よりより良いものを作りたいという探求心などから変化していったのでしょう。 小花の数が増えただけで中には「葡萄」には見えないものもありますが、小さな丸いものがたくさんあることから「葡萄の房」を連想させ、この名前が付いたのだと想像します。 それにトカットは言わずと知れた「葡萄」の名産地でもありますからね。 この葡萄に限らず、林檎、サクランボなどの果実を多く描いたのもトカットのバスクの特徴のひとつです。 「トカット・ウズムルス」はトカットのレシャディエとゲメレック、トカットの隣県であるエルジンジャンで使われていたそうです。 「トカット・イチ・ドルス」「トカット・ベシリシ」同様、「トカット・ウズムルス」も地の色に西洋茜の根を使うアリザリン染めをしていたため、20世紀に入ると草木染めの衰退とともに作られなくなりました。 また地の色が赤や紫ぽかったところから、葡萄のモチーフであることも(たぶん)加味されて「トカットの紫色の(ヤズマ)」を意味する「トカット・モルルス」とも呼ばれていたとのこと。 ボーダーにはS字が縦に2個つながったような形の版が使われましたが、それが伝統的な組み合わせだったにしても、時代や場所によって様々に変化していったと言えます。(続く) -------------------------------------------------------------------- 10月21日ー27日のトカット滞在のイーネオヤ&バスクツアーにもぜひご参加ください。 トカットツアーのお問合せは旅工房さんの秘境専門デスク TEL 03-5956-3148 まで。 オヤフェスのお問合せ・出展参加お申込みは私まで → ★ よろしくお願いいたします。 ------------------------------- ミフリのショッピングサイトはコチラ↓ ![]() ミフリ&アクチェ ![]() にほんブログ村 ![]() にほんブログ村 ![]() にほんブログ村 ![]() その他・全般ランキング ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
August 1, 2018 12:03:00 AM
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