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続々・絨毯屋へようこそ トルコの絨毯屋のお仕事記

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January 6, 2024
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オヤと言うのは伝統と名が付いても古式の一定のルールがあるわけではなく、各時代時代の積み重ねであり、当時の流行りの名残りであったりする。
例えばアンカラのナウルハンのイーネオヤ。糸は未撚りのシルク糸を自分で撚るか、撚らずに使う。スカーフに取り付ける土台の部分はかぎ針で芝生を作り、そこにイーネオヤのモチーフを付けるのが基本。



かぎ針で作られる芝生は、より簡単な作業でいかにオヤスカーフを豪華に見せるかを考えた結果で、かなり高さがある。
そしてこの形に則ったものが「ナウルハンの伝統のイーネオヤ」と呼ばれる。

しかしさらに古い時代まで遡ると、芝生の丈がすごく短い。
もっと昔のものになるとかぎ針の芝生自体が存在しない。
ここ数年、高齢者が手放す古いイーネオヤを手に入れる機会が何度かあり気が付いた。
ナウルハンのものじゃないのかとも思ったけれど、モチーフはナウルハンのものだし糸質もそう。
つまり、ナウルハンの伝統の形だと思い込んでいたあの芝生は何十年か前のある日、誰かの工夫で生まれたものでその後流行し、それが定着したものなのだ。



古いと言われるモチーフもそう。
その時に生まれた新しいものが人気になり他の女性たちにコピーされ続けた結果が伝統となる。
そりゃそうだようね。最初からその形があってその伝統の形を守りなさいと教えられるわけではない。
そう考えると「今」作られている新しいデザインも、マネして作る人が増えれば増えるほど、後世において伝統のイーネオヤのモチーフとして残るってこと。
SNSの普及でどこにいても世界各国のイーネオヤの作り手の作品を見ることができる。
もしかしたら日本人の誰かオリジナルモチーフがトルコで多数マネされて、100年後に伝統のオヤと呼ばれているかもしれない。

伝統の、と言われるものは実は常に誕生しているのである。

4日目にムシュクレ村出身のセルダー先生のお家に行った。
村でのオリーブ収穫作業がひと段落ついたお姑さんも来ていた。



お姑さんに最近、作っているものやお孫ちゃんたちのために作り溜めている新しいイーネオヤスカーフを見せてもらった。
お姑さんの場合、既に村に伝わるモチーフを作っていることが多いが、昔に作っているものと比較すると明らかな違いがあった。

モチーフとモチーフの間にあるアラモチーフである。
些細なことなのだけれど、それも理由があって変わっているのがわかった。
そして作り方も想像と違っていた。

これも最近の村の定番になっているらしいので、いずれはこれがムシュクレ村のイーネオヤの特徴として挙げられることになるのだろう。



セルダー先生が用意してくれたプレートには、チーボレキ、クスル、カバックタットルス、バナナケーキが並んだ。村の材料やオリーブオイルが使われていて美味しかった。
しかし、こういう普段の食べ物にも流行り廃りがある。
女性たちが作るスイーツの種類にも大きな変化はある。

イーネオヤにも需要の問題や流行があって、時代による変化があるのは当然である。
それでも私が古いものに固執するのは「古い」からではなく、当時のオヤの素材や、その素材の違いによる技術の差、また熟練者が多かったことからの精密さなどに魅かれるからである。

(続く)
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オヤマニアの会からイベントのお知らせです。



3月16日(土)~18日(月)
トルコのイーネオヤ

複雑そうなトルコのイーネオヤですが、目の作り方は1つだけです。その積み重ね方の工夫で形ができあがる構造になっています。ですからある程度のレベルに達するとモチーフの作り方は想像できるかと思います。しかしトルコ各地の村々を訪問し、女性たちと交流する機会が増えるごとに想像と異なる方法でオヤが作られていることに気が付くことがあります。
今回も現地の女性たち直伝のその土地ならではの特殊な作り方や面白い工夫があるイーネオヤのモチーフのワークショップをお楽しみにしてください。材料やアクセサリー類、ヴィンテージのオヤスカーフなどの展示販売も予定しています。ヴィンテージものにはよく見ると上記に触れたような面白い秘密が隠されていたりします。イーネオヤ技術の向上には各地の古いものをたくさん見るというのが一番の近道かもしれません。

3月19日(火)~24日(日)
オスマンル刺繍

オスマンル刺繍は過去にも紹介してきたように、オスマン帝国時代にトルコで発展したシルク糸とメタルリボン、メタル糸を組み合わせた超絶刺繍です。宮殿やお屋敷などで娘の嫁入りのために本人たちが手掛けることもありましたが、お金をかけて専門の職人さんに作らせることでプロの高度な技術によって製作されてきたことも特徴のひとつです。
19~20世紀の素晴らしいオスマンル刺繍の世界を実際に見ていただき、さらに現地の国営伝統文化研究所で学んだ先生によるワークショップも多数ご用意しています。

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オヤマニアの会の新刊本販売のお知らせです。

アイドゥンエフェオヤ(31点)、アイドゥン(15点)、キュタフュヤ(29点)、カスタモヌ(7点)、ブルサ(29点)、ナウルハン(13点)、エーゲ海地方(22点)など、トルコ各地の貴重なアンティ―クイーネオヤ146点を掲載しています。1目1目が見えるようにに撮影していますので骨董オヤの再現にも参考になるかと思います。

古いイーネオヤはトルコに来ても特定の博物館でしか見ることができません。
博物館レベルの個人所有のイーネオヤコレクションをまとめた世界初無二のトルコのオヤ本です。
1ページに全体画像とモチーフの拡大画像、データとして地域、モチーフ名、素材、サイズが表記されています。トルコのオヤ好きさんはもちろん、レース、手仕事、手芸、民族文化、古いもの、美しいものなどに興味ある人にオススメです。



タイトル:OYA Traditional Turkish Needlelace
(日本語・トルコ語・英語併記)
オヤマニアの会編
サイズ:21.0×29.7×1.4cm A4版
ページ数:160ページ フルカラー
重量:約840g
発行予定日:2023年7月
ISBN:978-625-99032-0-0
発行元:ミフリ出版

お申込み、お問合せ窓口は
◇オヤマニアの会:instagramまたはe-mail
◇イーネオヤロゼット: https://igneoya-rosette.ocnk.net/
◇ミフリ:(下のリンクにある)ミフリ&アクチェのショッピングサイトで発売中!

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トルコの伝統手工芸、食文化、生活、牧畜などをご紹介しています。
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Last updated  January 6, 2024 04:23:32 PM



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