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家曜日~うちようび~

2018.12.16
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テーマ:ささやかな幸せ
​​​​​​今夜だけは あかりが欲しい

ひかりじゃない あかりが欲しい

甲本ヒロト(ザ・ハイロウズ クリーミーより)

いまから二十五年以上前の話。僕、嬉し恥ずかし十九歳。十二月、その年一番の寒波が東海地方を襲った冬の夜のこと。
もうすぐクリスマスってんで、街はまばゆい電飾の光で色めきだっていた。
が、夜が深くなるにつれ、それらの電光も、やがては、ひとつ残らず、消えた。
僕はといえば終電に乗り遅れ、名古屋の今池という歓楽街の片隅の、薄汚い公園のベンチに腰を下ろしていた。


うちの書斎の照明は、ペンダントライト「グラフ ワフト」。
市販のものは、若干コードが長いらしく、妻はコードを短く調整してくれる雑貨屋さんを探し、
家族でドライブがてら、遠方まで行って購入し、そこで調整してもらっていました。


その日、今池のライブハウスに、お気に入りのパンクバンドのライブを一人で観に来て、大騒ぎして、
その帰り際、見知らぬパンクスが「電車賃がねーのよ。お金貸してくんない?」と申すので、
「オッケー!オーライ!困ったときはお互い様よぉ! てか、あんた誰?」
なんつって、ポケットからくしゃくしゃの千円をほじくりだして、まあ、相手にくれてやったんだけどさ。
ところが、駅の改札で、あの千円が自分の所持金、全財産だってことに気が付いてさ。やっべー、切符買えねー。
んで、猛ダッシュで、そのパンクスのとこ引き返して「金返せコノヤロー!」つったらさ。
なんだか知らねーけど、そいつキレちゃって、僕、ぶん殴られちゃって。
んで、去り際に、何故か三百円だけくれてさ。
そんなこんなで、よたよたと駅に戻ったら、もうシャッター閉まってた。

しゃーねー、野宿すんべ。

ベンチに横になって就寝を試みるも、とにかく寒いの何のって。
何か暖を取れる物を探そうと、公園内を物色すると、ゴミ箱に大量の雑誌が捨ててあった。
僕は、ゴミ箱から「ジャンプ」「マガジン」などの分厚い漫画雑誌数冊をあさって、
雑誌をへの字形に開いて、自分の足元から胸のあたりまで隙間なく、掛け布団代わりに掛けた。
あったけぇー。漫画雑誌のお布団は思いのほか暖かかった。
僕は押し寄せる孤独感を紛らわせるために、ひたすら「あったけぇー。あったけぇー。」とつぶやき続けた。


この「ゆがみ」、しっぶぅーーい!


小一時間が過ぎ、うとうとしかけた頃、どこからともなく一人の浮浪者が現れて、僕に話かけてきた。
「おい、そのジャンプ、よこせ。」
「・・・は?」
「今週号、まだ読んでねーんだ、よこせよ。」
「おいおい、おっさん、そいつは無理な話だぜ、見りゃ分かるだろ、これは僕のぽっかぽかの掛け布団だからな。」
僕はベンチに横になったままの姿勢で、浮浪者に答えた。
「だったら、このフライデーと交換しろよ。」
浮浪者はぺらっぺらのゴシップ雑誌をゴミ箱からわし掴み、僕に放り投げ、僕のジャンプに手を掛けた。
「泥棒野郎っ!」
僕は慌てて起き上がり、浮浪者に奪われぬよう、ジャンプを掴んだ。
真冬の真夜中の公園で、僕と浮浪者は、
ゴミ箱に捨ててあった漫画雑誌を、引っぱり合って、奪い合った。

突然、浮浪者が手を離した。

僕は、その勢いで地面に転げた。

公園の土が、口に入った。

ションベン臭い味がした。

「ふん、乞食めっ!」

浮浪者が、僕に吐き捨て、立ち去った。

乞食はテメーだろ!

と言い返してやりたかったが、当時の僕の服装はビリビリのパンクファッションで、実にみすぼらしく、

浮浪者の身なりの方が、しゅっとしていたので、言い返せなかった。

まあ、そんなようなもんだ・・・。

僕は、自分に、吐き捨てた。


学生の頃、ロックだ自由だと、共に歌い騒いだ仲間たち、あいつらみんなどこ行った?
お付き合いした女の子たち、あいつらみんなどこ行った?
卒業と同時に、どいつもこいつも、すっかり見かけなくなっちまった。
マジ、あいつら、みんな、どこへ消えた?

僕は、これから、
どんな大人になるのだろう?
どんな人生を送るのだろう?
こんな僕でも、結婚したりするのかな? 
こんな僕でも、子供がいたり、座敷犬なんか飼ってたり? 
こんな僕でも、いつか高級住宅街に住んで、ふかふかの羽毛布団で寝たり出来るかな?


・・・むり、むり、あり得ねー。


あーあ、なんだかもう、どーでもよくなってきた。

立ち上がるのも、面倒くさい。

呼吸するのも、だるい。

あーあ、寒みー。

死んじまうほど寒みーよ。

・・・凍死って、どうなの。

今日、ここで、なんとなーく終わっても、

それなら、それで、いーか・・・・。

夜空を見上げると、白い、冷たいのが、ホコリのように、ちらつきはじめていた。

​​​
​​​​​​​​​​​​我が青春、
ゴキブリ以下!​


あたたかい、あかりです。
           

​​​​​​​
結局、僕は、始発で家に帰りましたよ。
僕は、凍死しなかった。
いや~、心のほうは「もう死んじゃってもいっかぁ」つって思ってもさぁ、
本能のほうが「生きろ!生きろ!」つって大暴走しちゃってさぁ、
カッコつけて「絶望」なんてしてみたものの、
結局寒さに耐えきれず、一目散に公衆便所の個室に逃げ込んで、一晩過ごしました。ははは。
「絶望」三分もたねーの。ぎゃはははは!

どうやら「僕の仕組み」は、

そんなに繊細に出来てねーみたい。

生命力、
ゴキブリ並み!


だはははははははははは。



そんじゃあ、親愛なる読者様、

ちーと早いですが、

ま、メーリークリスマスってことで。
​​


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最終更新日  2018.12.17 12:21:35
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