カテゴリ:Q輔とU子と「壁にある物」
ハゲと雑貨のエトセトラ
第一夜「ハングイットオール」 吾輩はハゲである。名前はまだない。 毛がないしー、金もったいないしー、理髪店とか行ってねーしー。 家電屋で購入した家庭用のバリカンで、月2回程風呂場で丸坊主にしている。 ハゲ人間にも様々なタイプがいますが、僕は俗にいう「明るいハゲ」なので、 育毛しねー、植毛しねー、カツラなんかにゃ興味がねー。 今日もご機嫌にハゲ面さげて、 お天道様を頭皮に感じ、 街を、世間を、闊歩しているぜ、コノヤロー! ただぁ~し!明日は特別。 僕が妻の代わりに、次女のOちゃんを初めて保育園にお迎えに行く日。 絶対に帽子をかぶっていかなくちゃ・・・。 深くかぶっていかなくちゃ・・・。 よし!絶対に帽子を忘れないよう、 玄関にあるハンガーラックに 帽子を引っかけておきましょう。 えーと、イームズ夫妻デザインの不朽の名作「ハングイットオール」。 んーと、妻からの情報では、世間ではリプロダクト品が多いのだけれど、 我が家のはハーマンミラー社の 正規品なんですって。???。 うーむ、僕には妻の言ってることが よく解りませんが・・・。 詳しい人、意味わかります? 「アート性の高い雑貨」というより 「マジ?、カバンや帽子をひっかけてもいいの?この美術作品!」 って感じですな、こりゃ。 繰り返し言うが、明日の保育園には、忘れずに帽子をかぶっていかなくちゃ。 もうあの日のような大惨事はゴメンだ! あの日のような保護者や保育士を巻き込んでの大騒動だけは避けなくちゃ・・・。 ・・・そう、あれは、長女のP子が園児の頃(今は小学1年生)、 同じく僕が妻の代わりに、初めて保育園にお迎えに行った日のこと・・・。 長女のP子は、根っからのお調子者。加えて初めてパパが保育園にお迎えに来たのが よほど嬉しく興奮したのでしょう、僕の姿を見るなり、僕の頭部を指さして、 「ねぇ!みんな見て!P子のパパ、ハゲツルピッカ!」 と園庭に響き渡る声で叫びやがった。そんで、自分の発言に自分でウケて、 エヘッ!エヘヘッ!エヘヘッ!とアホ丸出しの大笑い。 まわりの園児、さすがに「え?これって笑っていいの?」と一瞬ひるんだが、 P子の「ねぇ~パパぁ~。何でパパ、毛がないのぉ~。」というアホな問いに、 「あれ?しまったぁ~!髪の毛会社に忘れてきたぁ~。」 というアホな受け答えを僕自身がしてしまったのが大惨事の始まり。まわりの園児たちに 「あ。このハゲは、ハゲ呼ばわりしてよいハゲなのだ。」と即座に承認されてしまい、 まわりの園児10人ぐらい、どいつもこいつも、 「ハゲツルピッカ!ハゲツルピッカ!」の大合唱。 離れた部屋にいたヨチヨチ歩きの幼児たちも、園庭の賑やかさ一体何事かと、部屋から顔を覗かせ、 お姉ちゃんたちにつられて、ケタケタケタとお手々叩いて大笑い。 僕ぁ~初めて見ました、幼児のスタンディングオベーション。 僕もまだその時は、 「うむ。うむ。叫びなさい。笑いなさい。幼き子供は愛くるしきものじゃのう。」 という感じで一緒になって楽しんでいて、何なら青くじゃりじゃりした僕の坊主頭を 園児を並ばせて一人ずつ触らせてあげるという、斬新なアトラクションを開始しようかなと。 開始しようかなと思ったその矢先。 「こらっ!誰君!なんて失礼な事を!」 と、何や知らんスーツ姿の父兄がやって来て、園児の一人をすごい剣幕で叱り始めた。 あのぉ~、だんなぁ~、どうか坊ちゃんを叱らないでくだせぇ~、 アッシが勝手気ままにハゲてるだけですからぁ~。 と言って助けてやりたいが、うーん、なんか言えない空気。 「だって!P子ちゃんがはじめに言ったんだもん!」「P子ちゃんは関係ない!」 いやっ、関係あるっての!うちの娘がアホなんだってのっ!。 坊ちゃん、すまねぇ、おっさんがハゲてるばっかりに・・・。 そっからは、まわりの保護者も、そのスーツ姿のパパにつられるように、 あちらこちらで我が子に教育的指導をおっぱじめる始末。 「誰ちゃん!なんてはしたない言葉つかうの!」とか。 (すまねぇ。はしたない頭で・・・。) 「誰ちゃん!P子ちゃんのパパに謝りなさい!」とか。 (や、やめてっ!死ぬ!謝られたら情けなくて僕ぁ死ぬ!) そんで、若い保育士たちはというと、 (笑っちゃダメよ、私達!・・絶対ここは笑っちゃダメ!) という、笑死寸前の形相丸出しで、 「はーい。とにかく早く帰りましょ~。」 (ぜってー笑うな!このハゲはともかく、他の父兄にゃ、笑っちゃいけねーハゲもいる!) って感じで事態の収拾にあたる有様。 逃げるように園庭を後にする僕とP子。 次からは絶対帽子をかぶって来よう・・・。 なんだか得体のしれぬ疲労感をどっと感じながら、 P子と手をつないで夕暮れの路地をとぼとぼ歩く。 すまねー。園児たち。 おっさんが、空気の読めないハゲで。 すまねー。保護者の方々。 アッシが、教育上よくないハゲで。 すまねー。保育士の先生方。 アッシが、はなはだ迷惑なハゲで。 「パパ!今日すっごい人気者だったね!」 と、何故かとても嬉しそうなP子。 エヘッ!エヘヘッ!エヘヘッ!・・・アホ笑い。 「・・・おバカさん。」 そう言って、僕はP子のほっぺたを軽くつねった。 いや。 けっこー強くつねったかもしれない。 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018.11.13 19:43:41
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