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カテゴリ:星新一
星新一流時代小説集。時代考証がしっかりしていて、そこに架空の人物を外挿する手法はSF的といえないこともない。
「江戸から来た男」「薬草の栽培法」「元禄お犬さわぎ」はスラプスティック。「ねずみ小僧次郎吉」「ああ吉良家の忠臣」のむなしい結末。「かたきの首」を読むと敵討ちの実態がよくわかるし、「藩医三代記」は「陽だまりの樹」よりもリアルだ。 「厄除け吉兵衛」は江戸時代の庶民の迷信的信仰のよろず屋で、「道中すごろく」のあがりは勘定奉行の裏話だった。「島からの三人」は「悪いやつほどよく眠る」の犠牲になったけれども、「紙の城」の主人公は贋書屋として江戸の官吏を欺き、世の中をうまく渡った。まこと表題作の殿さまがのたまうように、昔の人たちはそれなりに精一杯生きていたのだ。それに対して今現在の考えをあてはめられ、あれこれ批判されては迷惑にちがいない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.10.12 19:03:05
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