1178265 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

長編時代小説コーナ

長編時代小説コーナ

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

龍5777

龍5777

Favorite Blog

^-^◆ 若手社員の早… New! 和活喜さん

怪盗ギャンビット1 … New! 千菊丸2151さん

ソフトバンク、阪神… New! クラッチハニーさん

向いている向いてな… New! 韓国の達人!さん

街道のハナミズキ New! Pearunさん

Comments

 人間辛抱@ Re:何故、安保法制が必要なのか。 (08/09) どうもお久しぶりです。 新型コロナウイル…
 http://buycialisky.com/@ Re:士道惨なり(11)(12/10) cialis muscle paincialis daily use side…
 http://buycialisky.com/@ Re:改定  上杉景勝(12/11) cialis 5 mg prezzo in farmaciaanti cial…
 http://buycialisky.com/@ Re:騒乱江戸湊(04/28) cialis in spanien kaufenavoid counterfe…
 http://buycialisky.com/@ Re:「改訂  上杉景勝」(04/21) what happens if a woman takes viagra or…
 http://viagraky.com/@ Re:士道惨なり(11)(12/10) offshore viagra &lt;a href=&quot; <sma…

Category

Freepage List

Calendar

Jan 12, 2008
XML
カテゴリ:伊庭求馬孤影剣
にほんブログ村 小説ブログ 歴史・時代小説へ クール にほんブログ村 小説ブログへ 今年も応援宜しくお願いいたします。

「お二人さん、馬鹿にかまわず帰んなさいよ」

 お蘭の声に誘われ、船頭が小腰をかがめ大川を下っていった。

「船頭、わしらも帰る。舟を日本橋河岸に廻してくれ」

 求馬が乾いた声で指示をした。

「へい、判りやした、それにしてもていした腕でございやすな」

 感心した船頭が棹をあやつり、その場を離れた。

 舳先から水をきる音が、長閑に聞こえてくる。

「お蘭、少しは静かにいたせ」

 求馬の叱責をうけ、お蘭が身をちぢめた。

「ドドンー」  最後の花火が夜空に大輪の花を咲かせ、夜空を彩った。

「まあー、綺麗」

 お蘭が夜空をあおぎ見ている、先刻の一件を忘れ、小娘のようにはしゃいで

いる。求馬がその様子を眺め苦笑を浮かべた。

「さっきは胸がすうーとしましたよ、流石は旦那ですね」

「お蘭、酌じゃ」

「はいな」  お蘭が嬉しそうにも求馬の傍らに座った。

 高島藩上屋敷の一室では、今宵も極秘の会談が行われていた。

 諏訪忠政に家老の嘉納隼人正、それに用人の岩村弦四郎の三人であった。

 屋敷内には、藩士たちが人目につかず配置され、蟻一匹も逃さぬ万全な

警護が敷かれていた。特に中奥の警備は厳重をきわめ、選びぬかれた手練者

が配されていた。

「隼人正、そちの存念が聞きたい」

 藩主、諏訪忠政が硬い顔つきで訊ねた。

「殿、金塊秘匿絵図は本当にございますのか、さらに金塊の存在は確かなもの

にございまするか?」

 嘉納隼人正が濃い髭跡をみせ、真偽を質した。

「絵図は、ここにある」

 忠政が立派な漆細工の細長い小箱を、隼人正の膝前に置いた。

「見事な品にございますな」

 岩村弦四郎が、感嘆な思いを低い声で呟いた。

「開けて中の品を見るがよい」  忠政が許可を与えた。

「拝見つかまつります」

 隼人正が小箱を手にし、押し戴くようにし蓋をあけた。

「これは、見事な懐剣にございまするな」

 箱の中には、婦人用の小刀(ちいさがたな)が納められていた。これも

見事な装飾がほどこされ、諏訪藩の紋所が金箔で描かれた逸品である。

「この懐剣に絵図が隠されておりますのか?」

 隼人正の問いに、忠政が黙して肯いた。

「さらば、拝見いたしまする」

 隼人正が懐剣を手にし、不審そうに主人の顔をみつめた。懐剣にしては

軽すぎるのだ。

「柄を抜いてみよ」

「これは」  岩村弦四郎が驚愕の声を洩らした。刃は三文の一ほど残され、

切っ先が途中から無くなっていたのだ。

「考えたものですな、この懐剣の鞘に絵図を隠す工夫をほどこしましたか」

 岩村弦四郎が興味深く見つめるなかで、隼人正が鞘中から丁寧に絵図を

引きだした。折り畳まれた古い紙が、年代を推測させるに十分であった。

 弦四郎が息を飲み込んで、隼人正の手許を見つめている。

 慎重に絵図を広げ、隼人正が大きく息を吐き出した。二尺ほどの正方形

の絵図が、三人の目の前に広げられ、行灯の明りに照らし出された。

 見事な筆跡で玄公金秘匿絵図と朱色で描かれ、克明な諏訪湖の全容と城

が描かれ、湖水の三ヶ所に、丸印が付けられている。

「この、丸印すべてが隠し場所か、一ヶ所のみかは判別できませぬな」

 隼人正が忠政に語りかけた。

「余の考えも同様じゃ、じゃが問題がある。今の時代では、絵図にある丸印

の箇所を発見するには無理がある」

「それは何ゆえにございまする」

 岩村弦四郎が、不思議そうに主人の顔をみつめた。

「余は色々とこの絵図を調べた。我が諏訪家の城は昔は島崎城と云った、

今の高島城は、太閤の臣下であった日野根高吉殿が島崎城を廃し、角間川の

三角州の先端に築城した城じゃ」

「成程、城の位置が違っておりまするか」

 隼人正と弦四郎の両人が唸った。

「この絵図が描かれた年代を考えると、丸印を見つけだすことは至難の業じゃ」

 諏訪忠政が、一息いれている。

血風甲州路(1)へ

 





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  Jan 12, 2008 02:49:46 PM
コメント(0) | コメントを書く
[伊庭求馬孤影剣] カテゴリの最新記事



© Rakuten Group, Inc.