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Jan 18, 2008
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カテゴリ:伊庭求馬孤影剣
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 封書が警護の士の足元に落ちてきた、警戒しつつ拾いあけた途端、

傍らに人の気配を感じた。いつの間にか痩身の浪人が佇んでいた。

「伊庭求馬にござる、是非ともお取次ぎを願いたい」

「まことに大目付殿の、ご紹介の方か?」

 警護の士が冷汗をうかべ尋ねた。

「左様、その封書は大目付殿の直筆、ご家老の隼人正殿にお渡し下され」

 形容のできない気迫が、警護の士の躯を襲った。

「お待ち下され」

 警護の士が手槍を地面に落とした、その微かな音で格子戸が開いた。

「誰じゃ」  寂びた声がし、大刀を片手とした武士が姿をみせた。

「それがし伊庭求馬と申す。ご家老の嘉納隼人正殿とおみうけいたす」

「元公儀隠密の伊庭殿にござるか」

「左様」  求馬が封書を渡してくれるよう、警護の士に頼んだ。

 封書をあけ書状に視線を走らせた隼人正が大きく肯いた。

「確かに、兄、主水の筆跡にござる。中にお入り下され」

 求馬の痩身が、ふわりと宙を跳び廊下に身を移した。その様子を警護の

士が仰天して眺めている。

 白面の双眸と隼人正の剽悍な眼差しが絡みあった。

「思ったとおりのご仁じゃ、ささ、奥にお入り下され」

 求馬は臆したふうもなく佩刀の村正を携え、隼人正の案内で廊下を伝った。

 書院には、二人の男が待っていた。

「殿、兄の使いとして参られた、伊庭求馬殿にござる」

「伊庭殿と申されるか、わたしが諏訪忠政じゃ。まずは座られよ」

 青年藩主の顔に、興味の色が刷かれている。

「拙者が家老の嘉納隼人正にござる」

「用人の岩村弦四郎にござる」

 高島藩の重鎮、三人が正式に名乗りをあげた。

「夜間に不粋な訪問をいたし申し訳ありませぬ、それがしは伊庭求馬と申す

素浪人にござる。大目付嘉納主水殿に頼まれ参上つかまった」

 上座に諏訪忠政が座り、行灯の横に三人が座した。

 求馬が主水の用件を語り、上様寵愛のお真紀の方の暗殺の詳細を語った。

「お真紀の方の暗殺犯とも、剣を交えられたか」

 嘉納隼人正が驚いている。

「判っておれば斬り捨て申したが、残念なことをいたしました」

「大目付殿の言付けの内容を聞かせて下され」  

 諏訪忠政が訊ねた。

「絵図を守ることを厳命なされました、また、六紋銭の忍び集団は信州上田に

土着いたす者共、諏訪のお城に異変が生じることを懸念されておられました」

「異変とは、どういう意味にござる?」  隼人正である。

「首座が諏訪に異変を起こせと命じられたら、高島藩の存続はいかに?」

 求馬が乾いた声で三人を眺めた。

「我が藩のお取り潰しは、水野の思いのままですな」

 隼人正が憤りを込めた声で応じた。

「藩を己の自由に出来ますれば、金塊は意のままにございます」

 求馬が水野忠邦の、悪謀の核心をずばりと突いた。

「伊庭殿、貴方ならどうなさる」  岩村弦四郎が口をひらいた。

「その大元は絵図にござる、いかに安全に水野忠邦から守るかそれが

要諦にございます」

「どのような手立てがござる」

 藩主、諏訪忠政が落ち着いた口調で求馬の意向を聞いた。

「絵図をそれがしに託して頂けませぬか」

「絵図をご貴殿に」  三人が顔をみつめあった。

「信頼に値せぬと思われるなら、致し方のない事にござる」

 求馬が、乾いた声で断じた。

「殿、拙者はその案に賛成いたします」

 隼人正が剽悍な眼差しで賛意を示した。

 瞬間、求馬の痩身が格子戸に向けられ、佩刀の村正、刃渡り二尺四寸

(約七十三センチ)が鞘走り、光芒を放って格子戸が両断された。

「むっ」  外から苦痛の声があがり、両断された格子戸と共に錏頭巾

の忍び者が、朱に染まって斃れ込んできた。

「曲者っ」  隼人正が庭に躍り出ていった、求馬は平然と血糊を拭い、

村正を鞘に納め、 「曲者は一人にござる」 と些かの気負いもなく告げた。

 一刀流の遣い手の嘉納隼人正も気づかぬ、気配を察した求馬の凄腕をみ

せられ藩主の忠政と、用人の岩村弦四郎が息を飲み込んでいた。

 足音も荒く抜き身を手にした、隼人正が戻ってきた。

「藩士、一名が殺害されておりました」

 嘉納隼人正が無念げに、忠政に報告した。

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Last updated  Jan 18, 2008 10:59:16 AM
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