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Jan 20, 2008
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カテゴリ:伊庭求馬孤影剣
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 求馬が、ひたっと歩みを止めた。凄まじい殺気を感知したのだ。

「きえっー」 鬱蒼と茂る樹木の翳から凄まじい懸け声があがり、必殺の

一撃が、襲った。身をひねりざま、抜きつけた村正が一条の帯となり迸り、

錏頭巾の男が血飛沫あげ斃れ伏した。

「何者か?」  求馬が村正を素振り血潮を弾き飛ばし、誰何した。

 いつの間にか、六名の曲者が求馬の周囲を取り巻いていた。

「高島藩から、出て参ったの?」

 不気味な低い声が求馬に投げられた。瞬間、求馬の痩身が風のごとく、

走り、愛刀、村正二尺四寸の、一閃を右手の男の肩へ送りつけていた。

「くっー」  苦悶の声を背に、求馬は、もう、同じ地点には立っていなかった。

 それは瞬時の出来事であった、これで二名を彼らは失った。

 残りの五名の曲者が、角鍔(かくつば)の大刀を連ねて求馬の痩身を包囲し

た。血潮の臭いが漂うなか、放胆にも求馬は左下段の構えで佇んでいる。

 じりっと包囲の輪がちぢまった。生暖かい風が吹きぬけ、双方が膠着した

まま対峙した。求馬が村正の切っ先を、ぴくっと動かし、誘いをかけた。

「きえっー」  正面の男が猛然と、面討ちを狙って踏み込んできた。

 求馬は無意識の本能で、左に躱しざま、村正が下段から光芒を放って跳ね

あがった。仕掛けた曲者の右脇腹を刎ね、切っ先が左首筋から抜け、村正が

円弧描き、左手の曲者の頭蓋を断ち割った。ぱっと血潮が闇空に噴き上がっ

た。求馬、自慢の逆飛燕流(ぎゃくひえんりゅう)の秘剣の舞いであった。

 水際だった求馬の腕に、残った三名が低い体勢となり構えを変化させた。

 これほどの腕をもった浪人とは、思わなかったのだ。

 三人の男に戦慄が奔った。その時、ようやく猪の吉が足音を忍ばせ現場に

駆けつけ、草叢に身を潜めた。

 闇の中で求馬の前に、三人の錏頭巾の忍び装束の男が眼に入った。

 一人が、じりっと求馬の背後に廻り込んでいる。

「貰ったぜ」  猪の吉が飛礫を投じた、唸りをあげ、あやまたず錏頭巾

が砕け、声をあげる間もなく斃れ伏した。

 残った二人が、突然の事で動揺し躯を後方に引いた。

 再び飛礫が、飛翔音を響かせた。左手の曲者が肩に直撃をうけ、苦痛の

声をあげた。見逃さず求馬の痩身が、風を巻き二人に襲いかかった。

 村正が一閃、二閃と煌き、血煙とともに最後の二人も草叢に転がった。

「ご苦労、後を頼む」

 求馬が、乾いた声をかけ、ふり向くこともなく闇に孤影を消した。

「おいらとした事が、遅れをとったぜ」

 猪の吉が独語し、草叢に身を潜め苦笑を洩らした。

 丑の刻(午前二時)、ひっそりと一人の浪人が現場に現われた。

「矢張り、出張ってきたな」

 鬼気迫る殺気が、猪の吉の膚に伝わってくる、浪人は死骸を一人一人改め

ている。

「野郎、帰りが遅いので確かめにきたな」

 猪の吉が、気配を絶って見つめている、修羅場を潜り抜けた者しか出来ない

芸当である。ようやく浪人の動きが止まった、暗闇の周囲を眺め廻している。

 ぞくっと猪の吉の背筋に、悪寒がはしり抜けた。

「隠れておらずに姿をみせよ」

 忍び声が風にのって猪の吉の耳朶に響いた。

 その声に、猪の吉は動きを封じられた。

「六紋銭の手練者を、七名も倒すとは見事な手並みじゃ」

 再び、忍び声が聞こえ、百戦錬磨の猪の吉が身動きできずに蹲った。

 完全に潜んでいる事を悟られている。格段に腕の差があることを知らせれ、

猪の吉は気配を絶っている、見つかったらやられる、長い根競べである。

 飛礫を握った掌が汗で濡れ、躯から冷汗が滴ってくる。

 ひたすら瞑目した耐えた。

「見事な忍びの業じゃ、わしは闘牙(とうが)の三十郎。今度会ったら殺す」

 忍び声が方向を変えて聞こえ、猪の吉が眼をひらいた、既に浪人の姿は

消えうせていた。

 一番鶏が鬨を告げ、周囲は白々と明るさを増していた。

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Last updated  Jan 21, 2008 11:01:04 AM
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